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手に入れたスキルはガチャでした  作者: 林藤ハルト
学園生活編
50/57

人間と魔族の違いを学びます 前編

「今日は何にしますかねぇ」


昼食を食べ終わった僕達3人はギルドに来ていた。

僕は日課になっているのだが、リアとエミリーは太らないようにするためだという。


2人共細いし多少ふっくらしても問題ないと思うんだが・・・


これについては深く考えないようにしよう。


「何これ!?」


「なにか見つかったか?」


リアが見つけたクエストは魔王城の偵察だった。情報収集は盗賊職の仕事だと聞いたことがあるがこんなクエストを受けても大丈夫なんだろうか?


「まさかそれ受けるのか?」


「そんな訳ないでしょ。こんなの受けるやつは自殺志願者以外考えられないわ」


「ですです。こんなクエスト受けて生きて帰れるわけありません」


やっぱりね。


ん?


僕なら生きて帰れるんじゃね?というか普通に魔王に会えるし偵察くらいなんてことないんじゃ・・・


よし受けよう!!


◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇


「ね、ねぇ大丈夫なの?」


「問題ない。」


「どこから入るんですか?」


「そんなの正面からに決まってるだろ?」


「「はい?」」


そう言って僕は隠蔽工作など全くせずに正面の門まで歩いていく。


2人はまだ心配なのか僕より10メートル程距離をとっている。


知り合いに会いに来ただけだから大丈夫なんだけどな。


「二人とも久しぶりだな」


「お久しぶりですね。ユキさん、魔王様に会いに来られたのですか?」


「ああ、通してくれるか?」


「もちろんです。少し待っていてください」


門番が前に来た時と同じ奴で助かった。


門の前で5分ほど待つと奥から1人の女性が出てきた。シエルさんだ。


「しばらくぶりだなユキくん。この場で話すのもなんだ、魔王様が奥で待っている。入るといい」


「おじゃましマース」


「だ、大丈夫なんですか?」


「だいじょぶだいじょぶ」


「こっちの二人は?」


「僕のパーティメンバーだよ。」


「そうだったか、はじめまして私は大悪魔(アークデーモン)のシエルだ。よろしく頼む」


「はぁ・・・」


2人はまだ警戒しているようだが、構わず中へ入って行く。


中は以前と変わらず暗い。

やはりここは落ち着くな。


「レオー会いに来たぞ」


「久しぶりだねユキ!大分強くなったんじゃないか?」


「当たり前だろ?僕だって鍛錬してるんだから」


「なんならひと勝負して行くかい?」


「いいね!でも遠慮しとくよ。魔王を相手どれるほどの実力は無いからさ。」


「そうかな?今の君なら10秒は持つと思うけど」


「10秒なんてあってないようなものだろ」


そう言って流していると後ろの2人は唖然としていた。


この反応は当然と言えるだろう。

なんせ人類の敵である魔獣を統率する魔族の頂点である魔王が目の前にいるのだ。


「ちょっと待って・・・ユキくんって魔王と知り合いなの?」


「そうだよ?というか友達かな」


「魔王ですよ?人類の敵ですよ!?友達ってそんな・・・」


「え?俺って人類の敵なの?」


---ん?


「人間の間では『魔王とは人類に害を成す魔獣を統べる者である』って言われてるよ」


「そうなのか!?」


レオの問に2人は頷いた。


「まいったな・・・道理で人間との交流が出来ないわけだ・・・」


「どういう事?」


「そもそも魔人と人間の違いは何か知ってるかい?」


「さぁ?2人は?」


「私達も詳しいことは知らないわ」


「だろうね、魔人と人間の違いは魔力の質にあるんだ。この世界に存在する魔力には、自然エネルギーである〈無〉の他に〈陰〉と〈陽〉の二つがある。このうち陰の魔力を持って生まれるのが魔人で陽の魔力を持って生まれるのが人間だ。人の間では魔獣を統率する力を持つのが魔人だと思われてるみたいだけど、魔人にそんな力は無いよ。」


「魔力の質が違うだけで基本スペックも変わるのか?」


「どういうこと?」


「だって魔人って魔法抜きの身体能力が人間の比じゃないだろ?それって陰と陽に関係があるのか?」


「あぁそういう事か、もちろんあるよ。陰の魔力は力が強くてその分荒い、逆に陽の魔力は静かだ。魔力は術式や魔法陣を使わない状態でも全身を巡っているからね。その影響が身体能力にも出るんだ。」


「つまり魔人の方が強いってことです。だから人間は警戒しているんです。」


なんでそうなるんだよ!!


人間は臆病な生き物だが、これだけで何故警戒する必要があるんだ?

陽の魔力が静かなら術式を組みやすいだろうに・・・。

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