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手に入れたスキルはガチャでした  作者: 林藤ハルト
始まりの街編
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パーティを組もう②

「それじゃあ手頃なクエストを受けてみようと思うんだけど、何か希望はあるかな?」


「私は魔獣がいいな。死体の解体が苦手だから精獣はちょっと・・・」


この世界には2種類の魔物が存在する。

ひとつは魔石から魔力を供給する魔獣。

もうひとつは精霊のように空気中の魔素を吸って生きる精獣。

このふたつの魔物の最も大きな違いは肉体にある。

魔獣は死ぬ時ごく稀に角や牙といったものを残すこともあるが、魔石を残して消えてしまう。

それに対して精獣は魔素を多く取り込んで魔物になってはいるが、体は他の動物と変わらないので死んでも肉体が全部残る。この間のドラゴンは精獣の部類に入るのだ。


どうやらリーゼは解体が苦手なようだ。


「他に希望はあるか?」


「ボク的には精獣の方がありがたいかな。プラウドウルフの爪の買取価格が上がってるから狩り時だと思うんだ。リーゼちゃんの意見と真逆になっちゃうけど、解体の担当からリーゼちゃんを外せば問題ないと思うよ。」


「解体しなくてもいいなら大丈夫だよ。」


「俺は問題ねぇな。」


「僕も無いよ。買取価格が上がってるなら一人あたりの取り分も増えるだろうからね。」


「じゃあ決まりだな。」


そうして、僕の初めてのパーティクエストが始まったのだった。


◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇


「見つからないもんだねぇ。」


ケットは気だるそうにそう漏らした。


「プラウドウルフは群れで動くやつじゃないからね。見つけるのが1番しんどいのさ」


「へぇ詳しいんだな」


メドルは魔物に関する知識が豊富だ。街の付近にある3つの森の中から今居るこの森に入ったのもメドルの指示だ。

プラウドウルフは強い湿気を嫌う傾向があるから北の森はダメ。残るのは西か東のみ。その2箇所のうち東は最近盗賊が現れているため警戒心が強いプラウドウルフは近寄らない。

だから必然的に西の森になったわけなのだが、思うようには行かず探すのに難航しているわけだ。


「にしてもいねぇもんだな。」


「こんなことならクロガネを連れてくるんだったな・・・」


「「「「クロガネ?」」」」


そういえば、言ってなかったな。


「僕の従魔ですよ。ダークウルフに名前をつけたんです。鑑定スキルを持ってないので今どんな名前の魔物になってるかは分かってないんですけどね。」


「へぇー従魔術って〈調教師(テイマー)〉じゃなくても使えるんだー初めて見た。」


「いいや。従魔術は使ってないよ。」


「じゃあ、どうやったんだい?」


「名前付けたら『あなたに忠誠を誓います』って言われてそのままね。正規ルートじゃないと思うから従魔って定義ていいのかは分からないけど」


「珍しいこともあるもんだな。」


そう言って顎を撫でるガゼット。

そして何故かケットが目を輝かせている。


「なにか来るよ!!」


「「「「え??」」」」


こっちに向かってものすごい速度で走ってくる生き物が見える。


あれクロガネじゃね?


『こんな所におられましたか。主よ。』


「あーやっぱりクロガネだったか。」


「この子がクロガネ?おっきいねぇ。それに可愛い。」


リーゼを初めにみんながクロガネを撫で回している。そんなに可愛いか?デカいし可愛い要素はそんなにないと思うんだが・・・


ってあれ?


「クロガネ!お前影の中になにか入れてないか?」


『危うく忘れてしまうところでした。これを見てください。』


そう言って影から明るい茶色の毛を持つ狼の魔物を出した。


いつからそんなスキル手に入れたんだよ。・・・ってか僕はなんで気づいたんだ?


「それ・・・プラウドウルフじゃねぇか?」


「確かにこの毛の色はプラウドウルフのものだよ。でも名でこんなに沢山・・・」


『子奴らが私に喧嘩を売ってきたのでな。ちょいと懲らしめてやったのだ。』


懲らしめたって・・・こいつら死んでますよ?クロガネさん?


「僕らがプラウドウルフを探しても見つからなかったのはお前が狩りまくったからか・・・」


クロガネが出したプラウドウルフの死体はひとつではなかった。

その数なんと20匹!!


これじゃパーティクエストの意味ねぇよ!!

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