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短編集 冬花火

見えない関係

作者: 春風 月葉

 なんて醜いのだろう。

 鏡に映る自分を見ると、私はしばらくあなたのことを直視できなくなってしまう。

 そして少し時間が経つと、私はあなたを見たくて仕方がなくなってしまう。

 なんて美しいのだろう。

 一切の汚れを映すことがないガラス細工のように透きとおった美しい両の眼は、この汚れた世界を映さない。

 西洋人形のように整った容姿、白い乳白色の肌の上で薄い桜色の唇が艶やかに光っている。

 あなたも私を直視できない。

 あなたの瞳は世の汚れからあなたを守る代わりに死んでしまった。

 それはとても残念なことだけれど、私は心のどこかで安心してもいた。

 あなたが私を、私の醜い姿を見たら、きっと私の前から消えていってしまうと思うから。

 でも心のどこかではこんなことも思っているのだ。

 もし、私の姿を見てもあなたが私と共にいてくれたなら…と。

 なんて醜いのだろう。

 この汚れた黒い心は、容姿は、生き方は…。

 美しいあなたの持つ唯一の汚れはきっと私の存在だろう。

 それがわかっているのに、私はあなたから離れられない。

 彼女の眼に自分が映らなくてよかった。

 あぁ、私はなんて醜いのだろう。

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