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13、お買い物に行こう!3

「話に聞いた通り、本当に品数豊富」

 ズラリと食材が並ぶ様は、まるで大手スーパーみたいです。


「えっと、まずは小麦粉…」

 主食のコーナーに行けば、ありました小麦粉。

地球の物に比べると少し製粉精度が甘いですが、これでパンやピザ、パスタやうどんだって作れちゃいます。


ちなみに此方のパンはコッペパン型のものが主流で、食パンは無いようです。

というわけで試しにコッペパンを10個ほど購入。

自作の方が美味しければそちらにシフトします。


とか思っていたら小麦粉の隣にありましたよ…お米っ!

手に取ってみましたが間違いありません。

なんとなんとお米がありました。


「あ、あの、これ…」

「ハンの実だね。毎度」

 店員のお兄さんがニッコリ笑顔で答えてくれました。

ハンの実…飯の実って意味でしょうか?

マリアの記憶にはありませんでしたから一般的な物ではないのでしょう。


「珍しいですね。此処で巡り会えるとは思ってもみませんでした」

「まあ、こいつはイース大陸でしか作られてないからね。お客さんはもしかしてそっちの出?。だったらミーソやショーユもいるかい?」

「あるんですかっ!?」

 案内してもらったら、確かにこれは味噌と醤油。

大豆が手に入ったら自作してみようと思ってましたが、既にあるとは嬉しい限りです。


「そいつらは百年前に召喚された勇者さまが伝えたって言われてる物でさ」

「勇者さま?」

 その人って絶対、日本人ですよね。

しかも勇者召喚?

それって私のように神様からの依頼ではなく、アーステアの人が呼び込んだってことですかね?


「その勇者さまってどんな方なんですか?」

「い、いや俺もよく知らなくてさ。町の図書館に行けば詳しい本があると思うぜ」

「そうですか、じゃあ今度行ってみます」

 私と違い、いきなり異世界に呼ばれて苦労も多かったでしょう。

お米や味噌、醤油は勇者さまの望郷の念の結実。

その恩恵に心から感謝です。


というわけで、どれも特大袋と瓶で大人買いです。

これでお酢を買えば『(砂糖)()()(醤油)(味噌)』が揃います。

今までは手元に無いので、代わりに薬剤のクエン酸を使ってましたから

ちゃんとしたお酢が買えて嬉しいです。


何よりこれで和食が作れるっ。

肉じゃが、筑前煮、お味噌汁、天ぷら、茶わん蒸し、野菜きんぴら、カボチャ煮。

夢が広がります。


ワクワクしながら店内を巡回していたら瓶入りのマヨネーズがありました。

しかも聞いてみたら全世界的規模で愛用されてました。

実はこれも勇者さま発信。

何でも『これがないと俺、死ぬから』と言い放ち、開発に全精力を注いだとか。

米や味噌、醤油はそのついでだったようです。

…私の感傷を返せ。アホ勇者。


気を取り直して次はお肉のコーナーへ。

此処では豚肉ぽいものと牛肉ぽいものを3㎏ずつ購入。

ついでにベーコンとソーセージらしき物も。


森にも魔猪とか魔牛がいるので、狩ろうと思えば狩れるんですが

(【スリープ保存】と【真空チルド】を使えば簡単です)

どっちもワンボックスカーくらいデカいんですよね。

これを一人で解体することを考えると、つい二の足を踏んでしまいます。

それに私だけでは食べ切るのに何年かかるんだって話です。


なので食べ切りサイズのコッケだけを狩ってましたけど、適量サイズがあるなら

喜んで買わせてもらいます。


続いては、お待ちかね 乳製品のコーナーです。

あ、チーズ発見。

試食させて貰ったら、スイスのエメンタールチーズによく似た味わいでした。

これならチーズフォンデュはもちろん、グラタンやキッシュも作れますね。


隣でバターも見つけました。

こちらも試食、まったりとした舌触りに上品な塩味。

日本でもなかなかお目に掛かれない高級品です。

2つとも箱買いしました。


ついでにミルクも買ってゆきましょう。

キャオという魔牛の一種の乳だそうです。


「樽で買うのかい?」

「はい、ダメでしょうか」

 アイテムボックスに入れておけば腐ることはありませんからね。


「いや、買ってもらうのに文句はないんだが」

 戸惑った様子の髪が少し寂しいおじさんが、此処の店主のケントさんです。

「一度にこれだけ買ってくれる客は珍しくてな。こいつは他の商品に比べて動きが悪いのに、一定の購入客がいるから店頭から外せなくて困ってるんだ」

「売れ行きが良くないって、どうしてです?」

「野菜と煮込むくらいしか使い道がないからさ」

 つまりシチューやスープにしか料理方法がないってことですか。

味見をしてみると確かに脂肪分が多く、牛乳のように直飲みには不向きです。


「だったら別の使い道を教えましょうか?」

「そんなものがあるのかい!?」

「ありますよー」

 誰もが大好きなスイーツが。


材料はミルク、砂糖、以上。

バニラオイルとかあれば上々なんですが、無くても良し。

使う道具は鍋と木べら、目の細かい網のみ。

実際に作ってみてくれというケントさんに道具と材料を提供してもらい、お店の隅で調理開始。


鍋にミルクと砂糖を入れ1/3くらいになるまで焦げないように注意しながら、どこでもコンロたる【弱火】を使って煮詰めます。

ヘラでかき混ぜると鍋底が見えるくらいになったら火を止めて【涼風】で冷まします。

この間にも水分が蒸発し濃縮されてゆきます。

口当たりがなめらかになるように網で(こし)ます。

【冷凍】で冷やしながら空気を含ませるように勢い良くかき回し、ふんわりしたらそのまま一気に冷やし固めて終了。


濃厚ミルクアイスの出来上がりです。


【冷凍】がなくとも初級の氷魔法が使える人がいればモーマンタイ。

かき回す時に摺り下ろしたフルーツを入れたりすればバラエティー豊かに。


さあ、そこのあなたも Let's Try! 


いつの間にか集まって来ていたお客さん達に試食してもらうと、これが大好評。

砂糖の実のおかげでスイーツの種類はそこそこ豊富ですが、冷たい甘味は皆さん初体験だったようです。


初級の氷魔法なら使える人がけっこう近所にいたりするようで、お客さん達は嬉々としてミルクを買ってゆかれました。


「凄いよ、嬢ちゃん。ところでこのレシピの特許は」

「私の故郷の料理ですからっ」

 みなまで言わせず、本日何度目かのセリフを口にします。

料理関係は全部これで押し切ろうと思う所存です。


その他にも細々とした物を買い、締めて 19,650エル。

アイスのこともあり、かなりおまけしてもらいました。



ケントさんの隣が台所用品や食器を扱うお店だったので、こちらも覗いてみました。

何しろ家の鍋類は鉄鍋とミルクパンしかないので、もう少し種類を増やしたかったので。


フライパンに大小の鍋セット、それに蒸し器があったのでいそいそと購入。

お玉とフライ返しに包丁も新しいのをゲット。


食器も木製ばかりなので、少々お高めですが陶器の物を買いましょう。

お皿をサイズ違いで4枚とグラタン皿、小鉢っぽいものを数点。

そしてポットとカップ5つのティーセット。

白地にキョロちゃんとは違いますけど青い鳥の絵があって、それに一目惚れ。

でも値札にある数字は12,500エル。

うーんさすがに高い。

でも今までハーブティーはミルクパンで淹れていたので、やっぱりちゃんとしたポットが欲しいんですよね。


値段を見て悩んでいたら店主の奥さんが話しかけてくれました。

「あんたさっき隣でアイスってヤツを作ってた子だろ」

「はい、そうです」

「いやー、あれは美味しかったよ。雪みたいに冷たいのに甘くてさ。

ウチでも作って子供らに食べさせてやろうと思ってね」

「でしたら食べる時にクッキーを砕いたものや、小さく切ったフルーツ…出来たら酸味の強いものを混ぜると美味しいですよ」

「そりゃあ良い事を教えて貰ったね。後でやってみるよ。

ところでそのセット買うのかい?」

「値段で悩み中です」

「なら他のも併せて全部で25,000エルでどうだい?」

「買ったっ!」

 アイス効果で此処でもおまけしてもらえました。




ブックマークありがとうございます。

相変わらずの拙いお話ですが楽しんで頂ければ幸いです。

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