7:固有魔法はチート気味
残酷描写あり。
主人公がチートになってきました。
これからもどんどんチートになっていきます。
時刻は12時刻45分。男はゆっくりと歩きだす。服装ボロ布から漆黒のフード付きコートに変わり、裸足だった足には革靴。 その後ろ姿に手を振るのは涙を必死にこらえている女。
「いつでも帰って来ていいからね」
男は振り返らない、だが久しぶりの大きな声で返事をした。
「分かった。行ってくる」
その声を聞き、涙をポロポロとこぼしながら女は叫んだ。
「行ってらっしゃい」
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「いつでも帰って来ていい、か………」
女の見送りをうけてから5時間。男は人の手が加えられた道をゆっくりと歩いていた。
目的地はオキニス帝国。王国から山を越えた所にある大きな国だ。まずはそこで2ヵ月くらい滞在してから次は種族、ドワーフの王国、ドワーフ王国に向かうつもりだ。
ドワーフ王国はドワーフが建国した国で鉱山が豊富に存在し、珍しい鉱石もあるそうだ。その鉱石でどれくらい強くなれるだろうか。まだまだ先なのに今からワクワクしてしまう。
「帰って来て、ね」
全てが終わっても自分の命があったなら……必ず帰ってくるさ。男はもうだいぶ離れた所にいる彼女(••)の顔を思い出していた。
「あぁ、必ず帰って来て見せるさ」
最後の、最期の目標は決まった。もう迷う事は無い。
「そのためにも、今は強く、強く、もっと強く、もっと強く、もっと強く、もっと強く、もっと強く、もっと強く、もっと強くなる」
今はそれを実行するだけ。男は少し歩く速さを速めた。
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「へぇ、これ魔力を流すと葉っぱが固く鋭くなるのか……使えるね」
男はたまたま小便をするため森に入った時珍しい木を見つけたため同化したらとても役立つ木だと言う事が判明した。
右腕をナイフの木に変え、葉っぱを生産する。消費魔力は1枚につき1といったところだろうか。そして葉っぱにもう1魔力を流すとナイフのような固く鋭い葉っぱになる。葉っぱの長さは10センチほど。
男は試しに近くにあった直径30センチくらいの木に葉っぱを刺して見たところ、5センチ程刺さった所で止まった。
「まあまあ鋭いかな」
満足したところで男は右腕を元に戻し、小便を済ませてから道に戻った。
ナイフの木を見つけてから50分。太陽が沈み始めたので男は森に入りアイテムバックから不思議な薪を取り出し、空気が入りやすいように組んだ。
「燃え移ったら困るな」
地面に生えている草に燃え移る事を危惧し、男は薪を組んだ所の草を同化して取り除いた。
彼女の家を出発する前に同化しておいた炎を指先と同化して不思議な薪に火をつける。
普通の薪と違い不思議な薪は火がつきにくいようだ。3分ぐらいしてようやく薪に火がついた。男はその薪を組んだ薪の中心に入れ燃え移るのを待った。
10分ほどたってようやく火が全体にまわったところでアイテムバックから寝袋を取り出し、地面に置いた。
「さて、晩ご飯でも作りますか」
男は立ち上がると晩ご飯用の肉を求め、森の奥へと入っていった。
「見つけた」
森を探索すること30分。ようやく男は晩ご飯を見つけた。真っ白でふわふわの毛で小さな生き物、うさぎだ。男は同化した炎を体内に少しだけ残し、外へ出した。大きさ直径10センチほどの火の玉だ。大きさは下級火属性魔法、ファイアボールと酷似している。
これも男の固有魔法の能力の一つ。同化したものは魔力を使えばどれだけでも増やせるため、少しだけ残して同化したものを外に出しても、少し残っていたら魔力を使って無限に増やせる。逆にいえば同化したものを全てを外に出してしまうと、また同化しないかぎり増やせないのだ。
外に出したものは魔力が続くかぎり自由自在に操れる。魔力の消費量は大きさによって変わるのだが、今の炎の玉だと5秒で魔力1を消費する。
「熱を感じとられないように上から落とそうか」
男とうさぎの距離は20メートル。うさぎの真上5メートルほどの所に火の玉を移動させ、一気にうさぎめがけて落とす。
ーーキイイィィィィ
火の玉はうさぎに当たり、鳴きながら逃げようとするが男はそれを許さない。
うさぎは狂ったように走り回って逃げようとするが、男の操る火の玉はうさぎから離れない。
次第に毛皮が焦げ始めついにうさぎは息絶えた。残酷な殺し方だが男は何も感じない。それ以上の事を体験しているからだ。
うさぎの耳を掴み男は寝床へと戻った。
ナイフの葉っぱでうさぎを解体しながら虚ろな目をしていた。
そういえば良く拷問中に自分の内臓や肉を見せられたな、と。負の感情が男を支配しそうになるが彼女の顔を思い浮かべ無理やり押さえつける。今フェイス4か5にうつってしまったら彼女とたてた旅の計画が壊れてしまう。
男は深呼吸をしてからうさぎの解体を続けた。
「うん、おいしい」
男は良く焼いたうさぎの足を頬張っていた。調味料は同化した塩を魔力で増やして
体外に出しふりかけただけ。それでも食材その物の味が良く、とても美味しかった。
必要の無い皮や内臓はいつか何かの役にたつかもしれないという理由で同化しておいた。
食べ終わると後は寝るだけだ。同化しておいた水を少し外に出し、口をゆすいでから寝袋に入った。安全を確保するため体内で鉄を魔力で増やし、男と焚き火を鉄のドームで覆った。
同化したある程度知能のある魔物を使い、ある程度の権限を与え、定期的に空気の入れ替えと熱の放出を命じた。
これも固有魔法の能力の一つで、生きたまま同化した生命体に限り意識を残したりすることが可能なのだ。無論、その意識は男の支配下なため乗っ取らるということはありえない。
その意識にある程度権限を与えれば、俺の固有魔法を使わせることが出来る。
それに意識を乗っ取れば、並列思考のようなことも出来るのだ。
了解の意識をその魔物から感じとり、男はゆっくりと目をつむった。