2:拷問と覚醒
残酷描写がありまする
「あ、あ、あぁぁぁあああああああ!!」
何で……何で…………何で、俺がこんな目に………?
ただ……ただ……魔法許容量が無かったからって………何で……拷問………されなきゃいけないんだ………?
俺が……悪いのか……?俺……?
「アァァアアァァアアアアアア!!」
………そういえば何で俺、こんなところにいるんだろう………?
……何で魔法が当たり前の世界にいるんだろう。
俺は………俺は………
あれ?俺………俺…………俺って誰だ……?
俺……俺………おれ…おれ………おれ……
おれ……おれれれれ?……ぼく…………ぼく………ぼくぼくぼく僕僕僕僕僕僕僕…!
◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇
一枚……二枚……三枚……四枚……五枚……もう、右手の爪が全部なくなっちゃったよ………?
あぁ、今度は左手の爪……?
ーーメキャッ!
「ガッ…アァァァァアアアァァ!!」
痛いよ………痛いよ………助けて……このままだとぼく、しんじゃうよ………
「ひっく……ひっく……」
いたいよ………いたいよ……ぼく、いたいよ………だれか…………たすけてよぉ……
「ひっく……ひっく………うぇ……うぇぇぇぇぇえええん」
ーーージュゥゥゥッ!!
真っ赤になるまで熱せられた鉄の棒を腕に押し付けられた。
「ぎ、ぎゃぁぁぁぁぁゃゃぁぁ」
「や、やぁぁぁ、うぇぇぇぇん、うぇ、ひ、ひっく、ひっく」
……………
爪を剥がされては回復魔法で治され、また剥がされる。
熱い鉄の棒を押し付けられては治され、また押し付けられる。
足に釘を打たれては治され、また打たれる。
眼球をえぐりだされては治され、またえぐりだされる。
歯を一本一本抜かれては治され、また抜かれる。
◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇
ここに売られてから12ヵ月、ちょうど1年か……。
黒色の覆面をかぶった大柄な男が俺の右足にノコギリをあて、ゆっくりとひいた。
その動作は俺から見たら止まって見える程にゆっくりだ。
ーーずず、グチュグチュグチュ。
ーーグチュグチュグゴリゴリゴリ
骨に刃が到達したのだろう、肉を削る音から骨を削る音へと変わった。
痛くない。痛みは感じない。
フェイス3。それは俺の3つ目の人格。
感情は無く痛みも感じない。その代わりに思考を加速することができる。
あぁ、右足が削りきられたようだ。次は左足か……。
◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇
ッ!!
俺の中で、何かが、はじけた。
それ、は、鎖。
俺の中で縛られていた、ダイアモンドよりも固い、堅い、硬い、鎖で縛られていた俺の中の何かが、鎖を破った。
ーードクン、ドクン、ドクン。
心臓が、熱を持つ。
あぁ、この、感覚は………、新しい、人格が形成される直前の、感覚だ……。
なるほど………俺の中で'何か'が解放されたから新しい人格が形成されるのか。
今は、俺を拷問している奴が昼食を食べに行っているからちょうど良い。
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強く……強く………強くならなくちゃ。
そうしないと、また拷問される。
強さ……力………力を………。
力………、
俺、の力は?
力……俺の、力………
ッ!!!
解放された俺の、力、は、固有魔法。
ッ!!!
そうか、俺の魔法許容量は魔力量と同じか………。魔力量9万9999以上。
つまり、俺の魔法許容量は9万9999以上。
……それを、全て埋め尽くす、大きな固有魔法。それが、俺の唯一の力!!
その力の名前は……[同化]
シンプルな、名前だ。
「キシッ」
思わず、声が漏れる。
「キシシッ」
俺の手足を縛っている鎖を同化し、保存。
素材は鉄。形は鎖。
つまり、俺は、鉄と鎖を、手に入れた。
体全体を鉄に変える。
ーーガチン
拳と拳をぶつけたら、金属同士がぶつかり合う金属音がなった。
「キシッ、キシシッ」
楽しいな、力を手に入れる事が、楽しくて仕方ない。
だが、まだだ、もっと強く。強さを俺に……、力をもっと俺に………!!
………
……
…
もっと……もっと……力を………。
空気と同化した。魔力と同化した。水と同化した。木製の椅子と同化した。光と同化した。下級光属性魔法[ライト]と同化した。コンクリートと同化した。
だけど、全然、足りない。強さを……強さ、強さ、強さ!!
「(まて、フェイス4)」
ッ!
「何だ、フェイス3(おれ)か……。何のようだ。俺はもっと、力を……」
「(まぁ、今は待て、今はここから抜け出す事が優先だ)」
「だから、力を手に入れたらここから抜け出せるだろ」
「(今は、まだ連中にこの力を知られるわけにはいかない。空気と同化してこの建物からでるぞ)」
「……分かった」
空気と同化し、ゆっくりと換気口から俺は流れに身を任せ、外へと向かった。