きっかけ
ずっとあたためてきたお話を今回投稿しようと思います。個性豊かなキャラクター達を好きになってくれるとうれしいです。
僕がその本を手にしたのは偶然だったのか、必然だったのか...多分後者だったのだと今は思う。
そして今、この先にある道へと僕は踏み出した。仲間と共に...。
都会とはかけ離れた田舎町。海と山に囲まれ、ゲームセンターなど遊ぶとこはもとより、スーパーすらないこの町に僕の祖父の家がある。連休や長期休みには必ずここを訪れるのが当たり前であり、幼い頃の僕は何の疑問も持たず、楽しみな行事であった。
しかし、さすがに高校3年生になった今、可愛い女の子一人いないこの場所には興味がなくなり、受験勉強する気にもなれず、ただただつまらない日々をダラダラと過ごし、帰る日だけを楽しみにしていたある日のことだった。
うだるような暑さの中、エアコンも無く、古い扇風機のうるさい音にうんざりしながら過ごしていた僕のところに、祖父が来て、古ぼけ、所々破けた、見るからに汚い本を僕に差し出した。
「何、この汚い本は?」
遠慮も何もなくストレートな感想を言った僕に少しばかり顔をしかめた祖父だったが、それでも僕にその本を半ば押し付けるようにして語り始めた。
「この本はな、ワシがまだ若い...そうじゃな、二十歳になる前位の事だったかな...。今のお前みたいに何にもする気にもなれず、ダラダラしてた時の事だ」
さり気ない嫌味と皮肉を込めた話し方にぼくはムッとしつつあったが、祖父はそんな僕のことなどおかまいなしに話を進めていく。