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回避特化のメイン盾  作者: Bさん
2章 ゲームを楽しもう
8/55

6話

「「インスタンスダンジョン?」」


 俺とサーシャが同時に聞く。あれから数日が経過し、資金も大分緩やかではあるが溜まってきている。レベルも全員15に達した。


「うん、そろそろ狩りではなくて迷宮に挑んでみるのもいいかなと思ってさ」


 インスタンスダンジョンという概念は昔からずっとある。それぞれが個別に独立したダンジョンだ。自分たちのパーティのみで攻略する為に作り出すダンジョンとも言える。その為少し文字を変えてインスタントダンジョンとも言われる場合がある。


「ダンジョンねぇ……3人でどうにかなるもんなのか?」


「そこはメンバーを増やそう。野良パーティでもいいんじゃないかな」


 俺の疑問に対してグレッグがそんな事を言ってくる。俺が特殊な時点でどうなのだろうか。


「良いんだが、回避盾でどうにかなる敵なのか?必中や範囲魔法とかこられるときついんだが」


「ちゃんと調べてあるよ。今回のダンジョンは物理攻撃主体で魔法はなし。動きもそこまで早くないらしいから、余程変なパーティに当たらない限り大丈夫だと思う」


 どうやら用意周到らしい。物理主体ならどうにかなりそうだ。


(とか考えていると変なパーティになったりしてな)


 実際、組んで見ないと解からないのが野良パーティだ。まともな人に当たるといいんだが……。


「パーティの募集はどこでやるの?」


 サーシャが聞いてくる。ネトゲなら待合室があったり、広域チャットで募集を出来るが、この町にそんな場所あったか疑問だ。


「待合室みたいな所はあるよ。クエストを発行してくれる所で、討伐任務やインスタンスダンジョン待ちの人がいたりするんだ」


 こいつのこの情報はどこから得ているのだろう。WIKIみたいなモノがある訳でもないし、掲示板にはそんな事が書かれているのだろうか。



 俺たちは警備団の詰め所まで向かうと昨日と違って人が一杯いた。やっと情報を嗅ぎつけて人が集まってきたのかも知れない。


「基本的に朝に受けて昼間のうちにこなして、夕方に報告という流れが出来ているからね。野良パーティだと日を挟むと面倒みたいなんだ」


 とグレッグが言う。確かに宿を一緒に泊まっていたら野良パーティらしくはないだろう。


「ここまで多いと大っぴらに募集するのは危険だな。寄生が来るかも知れない」


 俺がそういうとグレッグとサーシャも頷く。人が多いという事はそれだけ何も知らない人が多いという事だ。インスタンスダンジョンに関して全く興味が無い人が経験を得る為に付いてくる可能性が増える。

 

 人数が少なくてもそういう事はあるが、少なければ断る事も容易だろう。大量に希望者が集まると断るのすら大変だ。内容の説明をしてちゃんと理解をしてくれる人であれば良いのだが、全員がそうとは限らない。我が強い人はいるものだ。


「どうしよう、1人1人良さそうな人をスカウトする?」


 サーシャが聞いてくる。良さそうな人をこちらから探す方が良いかも知れない。俺は頷く事で答えにする。


「そうだね。そうしようか」


 グレッグはそう言うと妙に体格の良い人のところに向かう。目ぼしい人をもう探していたのだろうか。向かって行った先に居た男はトカゲのような見た目の二足歩行の人、リザードマンだった。リザードマンは戦士向けの素質を最初から振られているらしい。確か、STRとVIT、DEXが最初から3ずつあって振り分けるポイントが13もあったはずだ。人間の合計値よりも2つ多い。


「あの……すみません」


 グレッグが声をかける。俺たちは少し離れた場所からそれを見守る。ゾロゾロと行くよりはいいだろう。リザードマンが振り向く。


「おや?君は……ファイアーストームを売ってくれた人じゃないか」


 リザードマンが振り向きながら言う。どうやら2人は知り合いなのかも知れない。俺たちは動向を見守る。


「あの、インスタンスダンジョンに挑もうと思うのですが、一緒に組みませんか?」


「ああ、良いだろう。もう1人いるがいいかね?」


 グレッグが妙に丁寧におどおどしながら聞いている。俺たち以外には弱気なのかね。


「あ、はい。お願いします」


 もう1人が誰なのか確認をせずに承諾する。


(良いのか?それで)


 とは言えグレッグに全て任せている。どんな構成になろうが、楽しもうとは思っている。


「アドンさん、特に変わった依頼はなかったですよ」


 1人の女の人がリザードマンに近寄ってくる。リザードマンの名前はアドンと言うのだろうか。女の人はグレッグに気が付いたようだ。


「おお、丁度良い。アシュリー、こちらの方にダンジョンの誘いを受けてな。行ってみようではないか」


「え?あ、はい。解かりました」


 アシュリーと呼ばれた女の人は簡単にOKを出す。アドンというリザードマンを信用しているという事なのだろうか。


「では、こちらの仲間を紹介します」


 とグレッグが言い出したので俺とサーシャはグレッグのもとへ向かう。ここで逃げたらグレッグが泣きそうだ。


「フィルムと言います。盾をやっています。宜しくお願いします」


「サーシャです。エンチャンターです」


 俺とサーシャはお辞儀をしながらやや丁寧に言う。目上の人には礼儀正しくしなければならない。


「わしはリザードマンのアドンだ。ウィザードをやっている。丁寧な言葉で喋る必要はないぞ」


「私はアシュリーです。プリーストですね。よろしくお願いします」


 2人の方からも紹介が来る。丁寧に喋る必要が無いというのであれば遠慮はしない。相手の意向に従うのもまた礼儀だ。


(リザードマンのウィザード?)


 紹介を聞いて違和感が残る。リザードマンは物理特化だった気がするのだが、気のせいだったのだろうか。グレッグを見ると自己紹介のタイミングを逃したからだろうかまごまごしている。放置しよう。


「口調はお言葉に甘えさせてもらおう。リザードマンでウィザードとは珍しいな」


 俺は遠慮なく言う。気になってしまったのだから仕方ない。変なわだかまりを残さない方が良いだろう。


「ああ、そうだな。ウィザードをやるつもりだったのだが、リザードマンという種族を見て気に入ってしまってな。作ってみたんだ」


 見た目が気に入ったのなら仕方ない。キャラ作りなんてそんなもんだ。他のゲームでも魔法が殆ど駄目な種族で魔法職をやる奇怪な人は多く居た。俺はそれになるほど、とだけ答えた。こだわりがあるならこれ以上突っ込んでも仕方ない。


「盾、ソードマン、エンチャンター、プリースト、ウィザードという構成だね。後1人は前衛職だとバランスが良さそうだ」


 グレッグはいつの間にか調子を取り戻していたのかいつもの様子で話し出す。紹介は諦めたらしい。


「君達。インスタンスダンジョンに行くの?」


 俺たちがもう1人をどうするか話し合っていると声をかけてくる人が居た。振り向くと長い槍を持った女の人が居た。でかかった。何がとは言わない。


(鳥?)


 その背中には大きな翼がある。どうやら鳥人と呼ばれる種族らしい。


「うん、行くつもりなんだけどもう1人探していてね」


 グレッグが代表して言う。このパーティを集め出したのはグレッグだし、皆特に何も言わない。


「なら私も付いて行っていいかな?職業はランサーなんだけど」


 どうやら槍使いらしい。空を飛ぶ槍使いとはまたテンプレな。


「皆はどう?僕はいいと思うけど」


 そう言って俺たちを振り返る。槍使いなら前衛職で理想に適っている。問題は無い。


「いいと思うぞ。バランスの良い構成になりそうだ」


「決まりか。場所を変えて連携などを話し合おう」


 俺とアドンが同意して続く。サーシャとアシュリーはこの槍使いの胸を凝視している。許せないものでもあるのだろうか。あえて何かとは言わないが。


「うん、いいよ」


「そうですね」


 サーシャとアシュリーが何か遠い目をしながら言ってくる。頑張れ。


「私はエイミー、槍使いよ。よろしくね」


 エイミーが名乗る。これで6人だ。少し変なメンバーがいるが、概ね問題ないだろう。一番変なのは俺だろうしな。


☆ ☆ ☆ ☆ ☆


インスタンスダンジョン part3


774 名無しの剣士さん

大分情報が集まってきたけど

物理主体の敵が多いな


775 名無しの魔術師さん

そうだね

最初のダンジョンだし

こんなもんじゃないかな


776 名無しの肉壁さん

最初から範囲攻撃や魔法攻撃が酷かったら

誰も行かなくなるしな

チュートリアル的な意味でも良さそうだ


777 名無しの剣士さん

で、結局バランス良く組むのが良さそうだな


778 名無しの肉壁さん

数だけは多いからな

基本的に6体6の戦いになる

サブ盾と一緒に戦力を分散させるか

アタッカーが1体受け持つしかないな


779 名無しの剣士さん

今後こうなるとヒーラーの影響が大きそうだな

最低でも2人は欲しくなる


780 名無しの魔術師さん

1つのパーティにヒーラーが2人となると

どう考えても人数不足になるよね

取り合いが激化しそう


781 名無しの槍使いさん

痛いのは嫌なんだけどなぁ・・・

諦めて1体受け持つか


782 名無しの剣士さん

両手武器だと盾が持てないから大変そうだ


783 名無しの肉壁さん

いや、剣士はサブ盾だから

頑張って複数受け持てよ?


784 名無しの剣士さん

痛いのは嫌だぁぁぁぁぁぁ


785 名無しの治療師さん

骨は拾ってあげるから


786 名無しの魔術師さん

いや、治療してやれよ

WIKI:ユーザーが自由に編集できるサイト。ゲームの攻略や情報を自分で編集できる事から最近のネトゲでは大抵あったりする。

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