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回避特化のメイン盾  作者: Bさん
6章 防衛戦
41/55

27話

防衛戦 part21


111 名無しの大魔術師さん

遂に最終日か

一番の波乱がありそうだな


112 名無しの双剣士さん

確かにそうだけど

フラグ建てんなよ


113 名無しの大剣士さん

定番だとボスとか投入かね

最大戦力をそこに投入する事になると思うが

そうすると石碑の守りが薄くなるんだよな


114 名無しの重戦士さん

ああ、昨日もまさか街中まで

姿を隠して入ってくるとは思わなかったよ

事前情報がなかったらやばかったかも知れない


115 名無しの神官長さん

そうなるとそこそこの戦力を

置いておかないと駄目ですね

彼らは?


116 名無しの大魔術師さん

彼らにはどちらかと言えばボス戦の方を担当して欲しいな

装備もそうだが、臨機応変に行動してくれそうだ


117 名無しの大剣士さん

んじゃ、石碑は俺たちがやるしかないか


118 名無しの双剣士さん

まぁ、仕方ない

暴れたかったんだけどな


119 名無しの大魔術師さん

相手さんの出方によっては

否応なく暴れてもらう事になるけどな


120 名無しの神官戦士さん

さぁ、最終日だ

精々華々しく散ろうぜ


121 名無しの忍者さん

爆発は任せろー


122 名無しの大剣士さん

お前が言うと洒落にならん


123 名無しの重戦士さん

俺、この戦いが終わったら家を買うんだ


124 名無しの双剣士さん

突然どうした

てか、どう見ても死亡フラグじゃねーか


125 名無しの大剣士さん

それなら、俺はこの戦いが終わったら恋人にプロポーズをするかな


126 名無しの大魔術師さん

ふむ、なら俺はこの戦いが終わったら隠居するか


127 名無しの双剣士さん

おい、大剣士、お前恋人なんていないだろ

後リーダー、隠居すんな


128 名無しの神官長さん

それなら私は神の素晴らしさを広めましょうか


129 名無しの双剣士さん

お前が信仰する神って二次元のアレか?

布教するなよ・・・マジで


130 名無しの治療師さん

双剣士君は相変わらず突っ込みで忙しそうね


131 名無しの双剣士さん

そう思うなら代わってください

本当に疲れるんです


132 名無しの治療師さん

いやです


☆ ☆ ☆ ☆ ☆


「今日で防衛戦は終わりだね。その分、激しい戦闘になると予想されているから、皆注意して欲しい」


 グレッグが作戦を伝える締めに言う。作戦と言うか、俺たちは激戦区で時間を稼ぐというだけだ。何でも敵の数を数えていた人が居るらしく、もう残りは1/10くらいなんだそうだ。何時の間にそんなに倒していたのかは知らない。


 で、今日はラストという事でボスが出てくると予想されている。雑魚をさっさと倒せそうならボス討伐に参戦してくれるらしい。それまでの時間を稼ぐのが俺たちの仕事だ。恐らく一番辛い場所なんだろう。


「どこにボスが来るか解からないから、しばらく待機だね。さすがに家に戻るほどの時間はないと思うけど、それまで自由にしていていいよ」


 との事。とは言え、他の人たちが忙しそうにしている横で遊ぶ気にはなれない。そうなると手伝いか人目に付かない場所に行くかくらいしかない。


「サーシャどこか行きたい所はあるか?」


「急いで家に行ってお風呂に入りたい」


 サーシャはどうやら風呂に入れないのが嫌らしい。ムーブアップがあればかなり早く到着出来ると思う。そうグレッグに伝えると


「解かった。2時間以内に帰ってきてね。初日の戦闘はそれくらいの時間に始まったから」


 といって許可をくれた。俺たちは急いで自宅へ戻った。




「何かあれだな。2日戻っていないだけでかなり久しぶりのような気がする」


「うん」


 俺たちは急いで自宅へ戻ってきた。いくら走っても疲労を感じないというのは素晴らしい。サーシャと俺は風呂場へ向かう。さすがにすぐに入れるような状態ではなかったのでしっかりと風呂場を洗ってからお湯を張る。


「さて、サーシャ先に入って良いぞ」


「一緒に入ろ?」


 俺は即答ではい、と答えた。脱衣所でインナー付きは寂しかったので全て外して素っ裸になる。別にサーシャに見せ付けたかった訳ではない。多分。

 

 サーシャは少し悩んでインナーを外す。そしてタオルを体に巻いた。やはり風呂はこうでなければいけない。


「ふぃーやっぱり風呂はいいなー」


「うん」


 俺が湯船の中に入り座っているとサーシャが俺に前に寄りかかるように座る。色々と危険な体勢だ。サーシャを後ろから抱きしめて体を密着させる。性欲をなくしているのできっと大丈夫だろう。


 尻尾が湯船の中を動き太ももに触れるのがくすぐったい。そうして俺たちは2日ぶりの風呂を堪能し、待機場所へ向かった。うん、それ以外は何もなかった。




「すまん、遅れた」


 大体2時間くらいだろうか。少し遅れてそうな時間だったのでそう言う。まだ本部も慌しい雰囲気はない。


「大丈夫。まだ攻めて来ていないよ。そろそろかも知れないから準備をしておいて」


 グレッグに言われて俺は武器と防具を装備する。周囲を見渡すとアドンやアシュリーも見える。どうやら全員いるようだ。そして鐘の音が鳴り響く。


「何だ!?」


 本部の誰だろうか。名前も知らない攻略組の誰かが叫ぶ。どうやらこの鐘の音はこちら側が鳴らしたものではないようだ。という事は、決戦の合図だろうか。


 俺たちはグレッグの近くまで全員集合する。いつでも動けるようにバフをかけ準備は万全だ。すると空にメッセージが流れる。


*防衛戦が最終局面を迎えました。ボスを投入しますので上手く撃退してください*


 わざわざ教えてくれたらしい。この警告はどちらなのだろうか。罠なのかそれほどの強さだから全力で挑まないとならない程なのか。


「グレッグ!各方面から巨大なドラゴンが迫って来ている!!南門のが一番やばそうだから頼む。東西のを倒したら援軍に向かう。それまで持ちこたえてくれ」


 剣を2本持った男、アインが告げる為に走ってきた。個人チャットを使えば良いのに律儀な奴だ。


「解かった。全力で防衛する。皆、目標は南門だ。向かおう!!」


 珍しくグレッグが大声で気合を入れる。俺たちは武器を掲げておーと叫ぶ。普段であれば恥ずかしいが、こういう場面ではノリが重視だ。恥ずかしがってはいけない。


 俺たちは急ぎ足で南門へ向かう。城壁を登り平原を見渡す。そこには雑魚が一切おらず、1体の黒いドラゴンが居た。今まで戦ったドラゴンの数倍。とてつもない威圧感を放っている。この光景の前には今までのいかなる魔物も霞んでしまう。それほどのボスだった。


「見惚れるな!あれは敵だ!!」


 アドンが気合を入れてくれる。そう、俺たちはアレと戦わないとならない。少なくとも今日中は時間を稼がないと敗北だ。俺は気合を入れる。前にやった盾を剣で殴るのは怒られるからやらない。


「城壁で迎え撃とう。こちらから接近戦はしかけられないけど、攻城兵器を使った方がダメージを与えられそうだ」


 攻城兵器というかバリスタくらいしかない訳だが、少なくとも剣で斬るよりは強そうだ。南門の防衛の人が結構多いので、その人たちに扱いを任せる。俺たちは城門を破壊された後に接近戦をするメンバーだ。


「壊された城門の下敷きにならない様に離れてね。サーシャ、バフは出来る限り全員にお願い。忙しいかもしれないけど、あるのと無いのでは全然違うから」


 そう言うとグレッグは南門の担当の人の所に話に行く。どうやら忙しそうだ。エイミーは空を飛び敵の情報視察。アドンは城門で遠距離魔法。アシュリーと俺は待機だ。アシュリーは、本来であればドラゴンの遠距離攻撃を食らった人の回復とかがあるのだろうが、食らうと即死している為出番がないとの事。どこまで攻撃力高いんだ。


 そうしてしばらく戦っていると城門が震える。ドラゴンが体当たりをしているようだ。破壊されるのも時間の問題だろう。アドンが城壁から飛び降りるように壁を伝って降りてくる。巨体のリザードマンなのに身軽すぎるだろう。とは言え少し無茶したらしくダメージを食らっていた。凄い度胸だと思う。アシュリーがそれを回復している。


「そろそろ来るよ。準備をしてね」


 グレッグが号令をすると俺たちは黙って頷く。いよいよだ。


 ドラゴンが城壁を破壊しこちらを覗き込む。白い廃墟の隙間から覗くドラゴンはとても綺麗だった。俺は剣を握りドラゴンへ向かって挑発を使った。


 ドラゴンはこちらを見ると突進してくる。この程度の突進であれば十分見切ることが出来そうだ。俺がドラゴンの股下を潜り抜けるとドラゴンは止まる。他のメンバーのもとまで走っていかない。これは普通のドラゴンと変わらないようだ。

 

 そして前足攻撃。かなりの大きさなので大きめに回避しなければならないが、脅威ではない。尻尾による旋回攻撃。これもまた前足と同じで周囲のメンバーが気をつける以外では全く問題は無い。グレッグやエイミーが食らっていたが、アシュリーが瞬時に回復する。問題はブレス攻撃か……。こればかりは防ぎようが無い。


 



 それからどれくらいの時間が経過しただろうか。集団で戦うボスだけあってまだ3割ほどしか減らせていない。俺たち以外のメンバーのレベルが低めというのもあるが、どれだけHPがあるのだろう。そして丁度3割減らした時にそれが来た。ドラゴンが大きく息を吸い込む。ブレスだ。


「ブレスが来るぞ!!出来る限り離れるんだ!!」


 グレッグが叫ぶ。俺は食らっても良いように盾を構える。そして黒いブレスが吐き出され、そのブレスが俺の身を包んだ。


 熱い、痛い、それだけでは形容できない。それこそ腕が千切れ、皮膚が焼け落ちている、そんな感覚が続く。いつまで続くのだろう。時間にして5秒程だったのかも知れない。だが、俺には永遠のようにも思えた。


 どうにか生き残った。俺は慌ててポーションを飲んで回復し、完全回復する。そして周囲を見渡すと殆どの人が倒れていた。


 起き上がって回復をし出したのは、グレッグ、エイミー、アドン、そして俺だけだった。他のメンバーは後方に待機していた全てのメンバーを含めて倒れている。そこの中にはサーシャとアシュリーも居た。


 俺は全てを投げ出して向かいたかった。死んだ訳ではない。この場で蘇生を出来る訳でもない。この防衛戦のルールでは復活地点に戻るしかない。それでも俺は向かって抱き起こしたかった。


「目的を見誤るな!!お主の役目は敵を引き付ける事だろうが!!」


 アドンから叱咤が飛ぶ。アドンもアシュリーのもとへ駆け寄りたかったのかも知れない。渋い表情で魔法の詠唱をしていた。そうだ。俺の役目は盾だ。仲間のためにもそれを放棄するわけにはいかない。


 どうやらブレスの後は隙が出来るらしく、回復をする余裕があるようだ。俺はドラゴンを睨み剣をただ向ける。他の3人は攻撃を続けダメージを与えている。


 周囲の倒れていた人たちは復活地点へ戻ったらしく、姿が見えない。俺は安堵した。恋人が倒れている姿をずっと見なくて済む事に。


 ドラゴンの攻撃を避け、HPが4割ほど減った頃だろうか。ドラゴンがまた息を吸い込む。どうやらまたあのブレスらしい。俺は歯を食いしばり耐える。痛み、熱さ、それら全てが先程の痛みより段違いだ。敵のHPの減少でダメージが上がるのだろうか。


 そのブレスを耐えた時、立って居たのはアドンと俺だけだった。急いで回復をする。どうやらグレッグとエイミーは耐えられなかったらしい。アドンはウィザードだが、HPの高さは俺に次いで高い。俺とアドンはギリギリ1割残すかどうかという辺りで耐えていた。


「まさか、このブレスは食らう人数で威力が変わるのか?」


 アドンが推測を出す。そうだとすれば1回目、2回目、3回目と威力が大きく変わった説明がつく。1回目と2回目の威力の桁が全然違うのだ。敵のHP減少量と比例していない。もしHPと比例だったら減る頃には無理ゲーだろう。開発スタッフが異常でもクリア出来ないゲームを作らないと思いたい。


 アドンが攻撃している間、本部に個人チャットを飛ばす。これであとは次のブレスで倒されるだけだ。耐えられるとは思えない。


 やっとドラゴンのHPが半分減った頃だろうか。ドラゴンがブレスを使う為に息を吸い込む。どうやらここまでのようだ。俺は盾を構えその瞬間が訪れるのを待つ。アドンは最後まで諦めないのか詠唱をしている。そしてブレスが吐き出された。そして俺は気が付いたら上空にいた。ドラゴンの正面くらいだろうか。高さで行けば10mくらいである。


「えええええええええええ」


 何が起こったのか解からない。地上ではブレスでアドンが焼かれていた。そして俺が地面に激突する時にはブレスが止んでいた。どうやら上空はブレスの範囲外らしい。横には広いが縦には狭いようだ。アドンはそれを理解しテレポートを使うことで俺を上空へ飛ばした。


「焼かれながら範囲を見ていたのか……凄いな」


 俺はポーションで回復しながら呟く。あの痛みの中そんな余裕があるとはどれだけ凄い人なんだろうか。そんな男にあと1回、ブレスを吐くまでの間時間を稼ぐ事を託された。


「最後まで頑張らないとな!」


 俺は気合を入れると、本部に10mくらいの高さは大丈夫ですよ、と伝えた。家の上などに後衛が移動すれば耐えやすいかも知れない。それに賭けて。


 俺は攻撃も出来ず、敵の攻撃も当たらずひたすら避ける。まだ攻略組のメンバーは来ていない。ただ1人の孤独な回避だ。傍から見たら何の為にやっているか解からないだろう。


『東西の門の敵は倒した!今は中央だ。これから向かう』


 アインから個人チャットが届いた。どうやらあっちは終わったらしい。後はこいつだけのようだ。そして、ドラゴンが息を大きく吸うのが見えた。


『おせぇよ。今からこいつが中央へ向かって歩き出す。だから……ちゃんと倒せよ』


 俺はそれだけ言うと一方的に個人チャットを切る。そして俺は黒い炎に包まれた。

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