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回避特化のメイン盾  作者: Bさん
幕間
35/55

幕間2 グレッグとエイミーそして攻略組

*グレッグ視点*


『グレッグ、来たぞ』


『うん、すぐに扉を開けるね』


 僕はそう言うとすぐに扉を開ける。既に僕達以外はそれぞれやりたい事をやる為に旅立っていった。僕が未だに残っているのは攻略組に装備を預ける為だ。扉を開けるとローブを着た魔術師が居た。


「やぁ、クラーク。装備はこれだね。アドンとアシュリーは戦闘をしたいらしいから無理だったよ」


「いや、これだけでも十分助かる。ちゃんと何を渡したかメモはしたか?こっちも徐々に装備を入手したら混ざるかも知れん」


 装備を渡しながら話す。ちゃんと渡した物はメモしてあるから問題はない。


「うん、それは大丈夫だよ。あ、フィルムがこれ作ったらしいからそっちで分けてだってさ」


「ん?これはシフォンケーキか?エイク辺りが喜びそうだな」


 そう言ってクラークが受け取り、アイテムボックスに入れる。確かに彼女なら喜びそうだ。


「さて、すぐにでも狩りに行くとしよう。1週間後に装備は返すよ」


「うん、頑張ってね」


 そう言うとクラークは去っていく。僕も後ろを向くとエイミーが立っていた。


「ローブの魔術師との絡みもありね……」


 そう呟いていたけどスルーしておく。エイミーとあっちの趣味は合うけど、この趣味だけは理解出来ない。


「エイミー、こっちの用事は終わったよ。観光だよね?」


「ん?ええ、そうよ。フィルム達は西に向かったらしいから私たちは北ね」


 あの2人の邪魔をしたくないので別の場所へ向かうのは賛成だ。何だかんだでサーシャは色々と溜め込む癖があるみたいだし、この機に発散してくれると嬉しい。


「北は寒いらしいから、服を買いに行こうか。コートとかあった方が良いかも知れない」


「そうなの?なら行きましょ」


 北は雪国にゲートがあったはずだ。さすがに雪が降っているところにこの格好で行くには寒いだろう。せめてマントが欲しい。




 僕達は町の衣服屋に向かう。エイミーはサーシャみたいにベタベタくっつくのは余り好きではないらしく。普通に2人で歩いている。


「鎧の上にコートって普通のコートじゃ無理よね。肩幅のある感じになるのかしら」


「うん、そうだね。フィルムが着ているような鎧ならサーコートって言われる専用のコートがあるくらいだし、そうなると思う」


 ああいうコートは格好いいデザインが多い。エイミーも可愛いというよりは格好いい服が似合うと思う。ボンテージスーツみたいなのが。


 衣服屋に入ると鎧の上から着れるコートを選んで貰う。思ったより少ないようだ。数少ない種類からエイミーが真剣に選んでいる。僕は直感ですぐに決まった。


「うーん、いいデザインがないわね。鎧を諦めて服を一式揃えた方が……」


 エイミーは気に入ったコートがなかったのか、なにやらブツブツと言っている。こうなると時間がかかると思うので放置プレイをされている気分で待つ。


「これに決めた」


 それからしばらく経ちやっと決まったのか、何故か服一式を持ってきた。どうやら、鎧を着るのは諦めたようだ。


「それじゃ、買って来るね」


 さり気なく自分のと一緒に買う。僕達は一旦家に戻り、着替えてからゲートへ向かった。さすがにここの気温で冬の格好は暑いが、目的地が同じなのか厚着の人もちらほらと見かける。順番が来たので地図から北の方の町を選んでゲートをくぐると、そこは雪国だった。


「寒いわね……」


 コートを取り出して着る。さすがにこれは寒い。情緒があるのは確かだが、1時間も見ていれば飽きそうだ。


「とりあえず、宿か酒場に行こうか。どこか建物の中に入らないと寒くて仕方がない」


「そうしましょ」


 エイミーはそう言うと僕を引っ張るかのように連れて行く。凄く寒かったのかも知れない。近くにあった宿に入ると暖かかった。暖炉があるけど、どう考えてもそれだけの温度ではないと思う。


「ふぅ……温まるわね」


 エイミーはコートを脱いでそう言っている。外との温度差が凄いと思う。ここの町は万年雪に覆われていると聞くけど、生活が出来るのだろうか。僕達は部屋を取るとそこに向かった。


「さて、どうしようか」


 寒すぎて外を歩く気になれない。とは言え室内でイチャイチャするタイプでもない。ましてや大きな音や声を出すわけにもいかない。


「そうね。グレッグ、コートを着ずに何か名物を買ってきてくれない?」


 突然エイミーがそんな事を言ってくる。この寒さでコートも着ずに歩けとは、一体何を言っているのだろうか。体が喜びで震える。


「うん、食べ物の方がいいかな?」


 僕は拒否もせずに承諾する。エイミーの表情が凄く悪い顔だ。買って来たとしても駄目だと言ってまた行かせるつもりなのだろう。解かっていても僕は拒否できない。体に染み込まされている。


「面白いものでいいわよ?」


 わざと曖昧にしてエイミーが言ってくる。僕はその命令に歓喜し急いで宿から出て行った。相変わらず僕のご主人様は鬼畜で素晴らしい。



☆ ☆ ☆ ☆ ☆


*アイン視点*


「おーい、装備を借りてきたから集まってくれー」


 クラークがあいつらの所から帰ってきた。なかなか早いお帰りだ。俺は早速どんな装備か興味があるので急いで向かう。


「リーダー、どんな装備だったんだ」


「どれもこれも良い装備だぞ」


 そう言ってアイテムボックスから装備を取り出す。調べてみると規格外な性能の装備ばかりだ。


 スキルスクロールはさすがになかったが、耐性が着いている装備が多いから、対応した物を選べばブレスにも対応できるだろう。


 このまま持ち帰りたいが、ドラゴン討伐寸前に配るだろうから今は我慢だ。


「お、借りてきたのか」


 俺たちの盾役であるブラッドがやってくる。相変わらず暑苦しい。


「ああ、後で皆に伝えるが、明日から討伐を始める。ここのボスは制限がかかっていないから何度でも出来るが、1日に何度もとなると気力が持たないだろう?」


「そうだな、攻撃力も高いし俺が持たないだろう」


 とは言え、ある程度の装備を揃える為にそこそこやらないと駄目だろう。盾役は少ないからブラッドは恐らく全ての戦闘で参加することになる。


「ん?これはなんだ?ケーキ?」


 昔雑誌で紹介されているのを見たことがあるが、普通のケーキとは違うようだ。この種類のは食べた事はない。紅茶のいい匂いが漂ってくる。


「ああ、作ったからどうぞ、だそうだ。食べてみるか?」


 俺とブラッドは受け取り食べてみる。初めて食べたが、美味い。俺たち3人は雑談しながら食べていく。思ったより美味しく全て食べきった。


「こういうケーキは初めて食べたが悪くないな」


「そうだな、ログアウト出来るようになったら食べてみるのも良いかも知れん」


 男3人でケーキの話をする光景はかなり異様だろう。その為か誰も寄ってこない。


「なに?ケーキ?」


 その中で1人だけ近寄ってくる。エイクだ。こいつは甘い物が好きらしく、最近はかなりの金を費やしているとか。


「ああ、初めてシフォンケーキというのを食べてみたんだが、そういうのも悪くないなと思ってな」


「へー、それで私のは?」


 すっかり忘れていた。こいつの分は必ず残しておかなければならなかったのに、どうして俺たちは忘れてしまったんだ。


「あ、いや、その」


 クラークが珍しく焦っている。リーダーが焦る場面なんて全滅した戦闘ですらなかった。貴重だが、俺たちも当事者なので笑えない。


「すまん、食べてしまった」


 ブラッドが正直に答える。それは危険だ。せめて何か代わりになる物を用意してからにしないと……。


 周囲にとてつもない殺気が振り撒かれる。俺たちは必死に逃げようとするが、体が動かない。これは一体何なんだ。ハイプリーストにそんなスキルはない。


 足元を見ると全員の足が縄で固定されていた。何時の間にやったんだ。


「何で逃げるの?」


 エイクが凄く冷めた声、しかも棒読みで言う。やってしまった。どうやら俺たちは触れてはいけないものに触れてしまったらしい。そして言葉で言い表せないような恐ろしい目に遭うのだった。

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