第90話 女子会!
「心愛ちゃんお待たせー」
「全然大丈夫ですよ、美咲さん達が話し相手になってくれたので」
「本当は今日は美穂と樹里が付いている予定なんだけど、二人ともまだ十層までしか潜れてないから、今日みたいな深層の探索だと連れて来てもずっと留守番になっちゃうからね」
「そうなんですね、美咲さん、彼女たち二人は私と一緒に行動すれば、そこそこは強くなるから心配しなくて大丈夫ですよ」
「心愛ちゃん、でもね……私より強くしちゃったりしたらやだよ?」
「それは逆に難しいかも……」
「ぇぇもしかしてさ『チームシルバー』で活動するよりも心愛ちゃんと一緒に活動した方が強くなるのかな?」
「そんな君川さん達に対して失礼な事、私の口からは言えないです」
「それ、言ってるのと同じだからね……」
「だって否定すると嘘になるし、難しいですよね表現って」
「心愛ちゃん?」
「杏さんどうしました?」
「今の話だけどね、大人になると優しい嘘も時には必要なんだよ」
「優しい嘘、ですか何だかいい言葉に思えます」
「今日は、この後は一緒にご飯でいいのかな?」
「美咲さんも一緒にお食事行きませんか?」
「杏さんと三人一緒でいいの?」
「勿論良いですよ、ね、杏さん」
「そうね、今日は三人で楽しんじゃおうか」
「じゃぁ時間が勿体ないから下関のマンション行きましょうか」
「ん? 何で? 時間が勿体ないからマンションなの?」
「美咲さん、ロジャー達にはまだ秘密にしてくださいね」
そう言ってウインクをして、下関のマンションから博多の食堂へテレポで帰宅した。
「はぁ、成程ね、これは中々言えないよね。どこまで行けるの?」
「今日めでたくレベル五十に到達したので、千キロメートルですね。パーティメンバーは一緒で大丈夫です」
「凄いね、私も覚えれるのかな?」
「元気があれば何でもできる! です」
「それって猪木さん?」
「流石美咲さん、判ってるじゃないですか」
「お父さんの口癖だったんですよね」
「心愛ちゃんのお父さんって?」
「この食堂のオーナーシェフで、ダンジョン食材に魅入られた人でしたね。ダンジョンが出来てすぐの頃にミノタウロスの肉取りに行くって言って、そのまま帰って来ませんでした。戻って来たのはマジックバッグと、ダンジョンナイフだけでしたね」
「そう、ゴメンネ……なんかつらい事聞いちゃったね」
「いいんですよ、私はお父さんに負けない料理人になって、このお店を再び開店するのが夢なんです」
「そうなんだ、素敵な夢だね……でも、今の心愛ちゃんって、それよりずっと稼いでるでしょ? 戻れるの? 普通の生活に」
「私にとって、ダンジョンはあくまでも食材の調達場所ですから、他の事は偶然の産物です」
「でも、周りが許してくれるかな?」
「美咲さん。その為に私や冴羽がいるの。心愛ちゃんが自分の思うように、のびのびと自分の人生を楽しめる環境を守る事が私の一番大事な仕事だと思ってるから大丈夫よ」
「そうなんだね、杏も中々しっかりと言う事は言えるんだね。私はまだ組織の言いなりだなぁ。特務隊の広告塔としての自分の存在しかないから、時々落ち込むんだよね。今のランキングだって、『チームシルバー』のメンバーが広告塔の私の為に、ラストアタック譲ってくれて辿り着いたランクだから、本当の実力何て特務隊第一班に居る事が、烏滸がましい程でしか無いんだよ……」
「美咲さん、とりあえずご飯行きましょ! お腹がいっぱいに成ったらきっと、嫌な事なんかパアッと忘れちゃいますから!」
「そうだよ、美咲。実力なら心愛ちゃんと一緒に狩りしてたら、すぐにロジャー何て追い抜いちゃうよ」
「そうだね! 今日は焼肉行こう! 特上カルビ十人前くらい食べたら、元気になるよね!」
「私もそれ乗っかります!」
「私はガッツリ、ハラミと丸腸がいいな。話してるとどんどんお腹減って来たよ、中洲の有名店行こうね」
「OKです!」
「了解」
◇◆◇◆
「ねぇ樹里、冬月二尉って私達の事嫌いなのかな?」
「ん? なんで?」
「今日戻って来たら、一緒にご飯行こうとか言って無かった?」
「だよね」
「もう二十時過ぎてるけど電話も無いよ?」
「そう言えば、ちょっと遅いよね」
「メールしてみるね」
戻って来た返事を見て、二人共少し落ち込んだ。
「「また忘れられてたぁああああ」」




