第69話 突入前
「このオーブでダンジョン内から脱出が可能になるのですか?」
「提供者の言葉ではそうですね」
「それは六層以降の閉ざされた守護者の部屋でも問題なく使えるのですか?」
「提供者の方で六層の守護者の部屋は確認済みだそうですが、ダンジョンマスターに相当する最終階層での確認はしていない為に百パーセントとは言えないと伺ってます。ただし本人は出来ると信じている様です」
「このオーブは四個しか無いが一個で複数人が使える物なのですか?」
「その点についてこれからご説明させていただきます」
「聞かせて下さい」
「葛城一佐はダンジョンにおけるパーティと言う表現をどう理解されていますか?」
「一緒に戦う集団と認識しています」
「間違いでは無いですが、ダンジョン独自のルールが存在していたようです。ここに用意してあるもう一種類のオーブ、これはパーティ作成という機能を有しています。今までの成長と言う物は『ラストアタック』と呼ばれる、とどめを刺した人物にだけ与えられていたと思われます。その為に役割分担を正しく機能させると同一パーティでも実力差が出てくるという現象がありました。このオーブを使用した場合最大六名の集団を作成出来、今回確認されたレベルやステータスと言われる物の成長に必要な『経験値』と言われる物が共有できます。攻撃するメンバーが固定されていても、防御だけを担当するメンバーにも等しく経験が分けられるという事です。これによって受ける恩恵は大変大きいと思われます。今回のエスケープと呼ばれる脱出用のオーブも、一つでパーティーメンバー六人が対象になります。各個人がそれぞれ持たないといけない場合より当然扱いやすいですよね?」
「内容は理解させていただきましたが、澤田さんと、その協力者と呼ばれる存在は、なぜそれほどの知識と、そのアイテムを手にする事が出来たのでしょうか? また、そのアイテムは今後継続的に、入手可能な物なのでしょうか?」
「現時点では私の協力者のみが知りうる可能性が高く、大事な事はその方の協力を得られない状態では、すべての計画は白紙に戻る可能性が高いという事実です」
「拘束をして従わせるような行為は、止めろという事ですね?」
「当然です。協力を得られる良好な関係を崩せば総てが台無しになるでしょう。今はその方に頼るしかない部分が多すぎるので」
「解りました。今は信じるしか無さそうですね。それでは、本日一九○○時より、最終階層制圧作戦を開始します。メンバーは自衛隊ダンジョン特務隊第一班、アメリカ【DSF】第一チーム各十二名となります。他の人員はバックアップで、守護者の部屋の前で待機します」
◇◆◇◆
「ヘイボス。俺達の写真を欲しがってるのは、チャーミングな女性なんだろうな? ガチムチのおっさんに渡すなら断るぜ?」
「グレッグ、綺麗な女性だそうだ」
「OK! それなら下半身も全部出したポーズがいいか?」
「お前のじゃ幻滅されるからそれは止めて置け」
「ボス、My sonはアメリカじゃ人気なんだぜ?」
「日本にはUTAMAROと呼ばれる猛者が沢山いるそうだからステイツの恥をさらすな」
「まじか? 日本こえぇな」
「ロジャーは何処行った?」
「写真撮られるなら決めて来るって言って、頭いじってたぜ」
「そんなのは良いからさっさと呼んで来い」
「でもボス、日本って国はどうなってるんだ? 立て続けに俺達が知らなかった情報が、びっくり箱みたいに飛び出してきやがる」
「ああ、確かにワンダーランドだな。だが日本にはシングルはいないからな、ギフトの存在を知ったらきっとお前達も十分にミラクルと思われるさ」
「おいロジャー、ボスが急げって言ってるぜ」
「もうちょっとだこの前髪の角度が大事だからな」
「お前坊主頭なんだから、変わらねぇだろ?」
「違いが判るレディにはちゃんと伝わるのさ」
「どっちが行くか決まったのか? まさかの事態を考えると二人同時は許可出来んからな」
「俺が行く、失敗しても脱出アイテム使えるんだろ? 体験してみたいぜ」
「ロジャー汚ねぇぞ、俺が行くに決まってるだろ」
「グレッグ、今日時点でランクは俺が二位だ。お前は四位だろ? 俺より上の順位になったら譲ってやるぜ」
「クソ、俺がバカンスに行ってる間に抜け駆けで上げやがった癖に、すぐ取り戻してやるから吠えずらかくなよ」
「無理だな、俺が金沢のボスの止めをさして、二度と追いつけない程に突き放してやるさ」
「ロジャー、死ぬなよ……とか言わねぇむしろ死ね」
「二人共訳の判らん事言って無いで、さっさと写真撮らせろ」




