第63話 どんどん進めるよ!
十七層目のステージは砂漠に変わったけど、敵は相変わらずの爬虫類系だった。
「食料系のドロップが全然出ないよね」
「先輩、蛇肉とかトカゲ肉とか食べたいですか?」
「ワニさん結構美味しかったし、お肉でドロップするんだからあんまり気にならないよ? 蛇の形のままでさばけと言われたらちょっと困るけど、それもウナギだと思えば平気かもしれないね」
「料理人恐るべしですね」
「でも私でも、虫は嫌かもしれないわね」
「先輩、それフラグ立てて無いですか? 大体そう言う事言うと出てきちゃいますよ?」
足場の悪い砂漠地帯では危険が多いと思い、早目に切り抜けて守護者の基に辿り着いた。
ボスが現れると希が口を開いた。
「だから言ったじゃないですか先輩、気持ち悪いですよぉ」
現れた中ボスは、『ロングセンチピード』二十メートルは優に超える長いムカデだった。
「足が一杯ありすぎて、激しく気持ち悪いですぅ」
「流石にこれはちょっとね」
ブリザードで凍らせに行ったけど長すぎて全体が凍らない。
距離を取り関節部分を狙って、アイスランスとファイアランスを打ち込んでいき、頭部を金棒で思いっきり叩き潰して何とか倒せた。
「自衛隊の人達ってさ、こんなの相手して魔法無しでよく倒せるよね」
「税金垂れ流しで、ダンジョン鋼装甲弾の機銃掃射で倒してるって聞きましたよ?」
「それって凄いお金かかりそうだよね?」
「会社所属のチームは、とにかく時間をかけながら少しづつ体力を削る持久戦らしいですけど、怪我は発表されてる数字よりずっと多いみたいな事を『7チャンネル』では言ってましたよ」
「そうなんだねぇ、それでも倒せるだけ凄いのかな?」
「先輩に言われると、なんか可哀そうに思えますけどね」
「ドロップお肉出てますよ?」
「ムカデ肉かぁ想像がつかないけど何のお料理が良いのかな?」
「お刺身だけは却下でお願いします」
十八層に下りると一度一層に戻った。
「今は十六時かぁ今日は後二時間やろうね! 一時間で一層ペースで、二十層まで下りたら帰ろうね」
「了解しましたぁ」
「さっきのムカデで結構魔法連発したけどMPは大丈夫?」
「はい半分は減って無いですから行けると思います」
カフェでドリンクを飲んで休憩を取って、トイレを済ませた後でダンジョンに戻った。
「女性探索者はダンジョンリフトが発表されるまで、みんな『おむつ』して携帯トイレとか持って行かないといけなかったから、随分便利になったよね」
「先輩がずっと六層までしか潜って無かったのは、それが理由だったんですか?」
「そうだね、それも理由の一つだよ。特に私なんて一人で潜ってたから、排泄とか危険だらけで出来ないからね」
「ですよねぇ」
ダンジョンに戻り十八層から探索を始めた。
ステージは特徴のない石造りの、ダンジョンらしいと言えばダンジョンらしいステージだった。
出現モンスターの傾向も一貫性は無く、グレートハウンドと呼ばれる大きな犬や、やスレイプニルと呼ばれる八本足の馬とスライムの変異種、天井から襲い掛かるオオコウモリ等が現れたが冷静にクリアした。
十八層のボスはオルトロスと呼ばれる二つの頭を持つ犬型の魔物だった。
犬と言っても形が犬なだけで、大きさは高さ二メートル越えで、全長も五メートルほどもある。
二つの頭から炎属性と氷属性の異なった攻撃をしてきたので、私も並列魔法で炎属性にはウオーターランス、氷属性にはファイヤーランスを撃ちこむことで倒した。
十九層も同じような流れで討伐を進め、中ボス戦を迎える。
「この中ボスを倒したら、今日は帰るからね」
「はい、頑張ります」
現れた敵は『オーガジェネラル』と呼ばれる結構な強敵が、通常種のオーガを四匹従えての登場だった。
鑑定を掛けると、魔法無効の相手だった。
「希、物理しか効かないみたいだから、気合入れて頼むね」
「了解です」
人型の敵で鬼の様な見た目のオーガは動きも早く一撃に威力もある。
私達の敏捷に比べれば大したことも無いけどね。
メデューサウイップを使って距離を保ちながら攻撃をして行くと、毒攻撃が有効だったようで、鞭の先端の牙が刺さった取り巻きオーガは、膝をついて倒れた。
後は金棒攻撃と、希のランスの攻撃で取り巻きを二匹ずつ倒した。
ジェネラルが咆哮を上げると、再び四体のオーガが呼び出された。
「キリが無いね、ジェネラルに集中しよう」
「希は取り巻きを引き連れて、ジェネラルから距離を取って貰って良いかな?」
「了解です!」
希がターゲットを取るのに雷魔法を使うと、ダメージは入らないけど、スタン効果が発動する事が判ったので、私も魔法を足止めに使う作戦を取った。
アイスウォールとウオータウォールを並列魔法で取り囲むように発動し、更にブリザードで動き封じて金棒で殴りまくると、五分程でHPを削り切れたようで、姿は黒い霧に変わった。
ドロップは『ポーションⅤ』十分な戦果だよね! 取り巻きオーガは、ジェネラルが消えると一緒に消えていった。
足止めに利用する事を考えると、土魔法が結構必要かもしれないね。
一番後回しにしちゃったけど、きっと落とし穴とか作れそうだし。
二十層に下りるとリフトを使い一層に戻った。
「希、お疲れ様。流石に二十層になると敵も手ごわいよね」
「でも、先輩気付いてますか?」
「私、って言うか先輩もですけど、一緒に潜りだしてから、まだまともに攻撃受けた事一度も無いですよ?」
「あ、そう言えばそうだね、攻撃受けないよねぇ」
HPの概念は、鑑定スキルを使えないと見る事も出来ないから、普通の探索者は外傷の有無で判断するしか無いって危険だよね。
「先輩の存在がチート過ぎますって」
「でも、怪我はしないのが一番だから、気は抜かない様にしようね」
「はい」
明日は一気に最終階層のボス戦まで行けるかな?
今日の二人の順位は!
真田 希 16歳(女) レベル34 ランキング 195,368,645位
柊 心愛 17歳(女) レベル39 ランキング 69,184,532位




