第25話 転移魔法とダンチューブデビュー
家に戻るとお母さんに「ただいま」と挨拶をした。
「心愛、お帰りなさい。今日は早かったんだね」
「私は一応高校生だから毎日遅くまで出歩いたりはしないよぉ。お母さんご飯は食べた?」
「まだですよ、心愛と一緒に食べたかったし」
「それじゃぁ急いで用意するね、今日は美味しそうなお魚買って来たからね。ご飯だけ炊いてもらってていいかな?」
「いいですよ。じゃぁおかずはお願いね」
食堂のキッチンへと向かうと、いつもの様に献立を考えて書き留めて置く。
今日は一品はマグロ茶漬けを作ろう。
もう一品は煮魚か焼魚がいいかな。
西京焼きもいいけど、ちょっと漬け込む時間が足りないし、お煮付けのほうがいいかな。
西京焼きは今日漬け込んで置いて明日以降にしよう。
まずは、まぐろをお刺身用のさく状に切り、お寿司のネタの様な薄さで、そぎ切りにする。
お刺身醤油1と味醂を0.2で合わせたたれに漬け込む。
十分ほどで十分だよ。
残りのマグロを、厚さ二センチメートル程で一切れ八十グラム程度に切り分け四切れにわける。
そのうちの二切れは、西京焼き様に味噌に漬け込む、この時はガーゼに包んで漬けるといいんだよ。
そして残りの二切れは、お煮付けだ。
沸騰したお湯をさっとくぐらせ表面を霜降りしておく。
お魚のお煮付けはこのひと手間で、全然美味しさが変わるからね!
お酒と味醂ととお醤油を同じ割合で合わせて煮立たせる。
煮立たせた瞬間に火をつけ余分なアルコールを飛ばす。
煮立たせた煮汁に倍量の『デリシャスポーション』を加え、マグロの切り身と生姜の薄切りを加えると、中火で静かに煮る。この時に落とし蓋をして、切り身の表面まで煮汁がちゃんと回るようにするのが大事なんだよ。
お母さん用のは普通のお出汁だけどね。
マグロにしっかりと火が通ったタイミングで、お豆腐を加える。
煮崩れないように静かにね。
後は、お玉で煮汁を上に掛けてあげながら、照りが出るまで掛けながら煮詰める。
その間にお茶漬け用のお出汁を用意する。
博多のお茶漬けはお茶じゃ無くて薄めのお吸い物の様なお出汁を掛ける物の方がお店では一般的なんだよ。
家庭では普通にお茶の方が多いけどね。
「お母さんご飯は炊けたかな?」
「うん今炊き上がったところですよ」
お茶漬け用のちょっと大きめのお茶碗の上に、たれから引き上げたマグロの身を綺麗に並べ、すりごまをかける。
お出汁は熱い状態でポットに入れておいて食卓に運び、その場でかけるからね。
刻み海苔と刻み三つ葉をトッピングに用意しておいて、熱々のお出汁を掛けた上に飾ると出来上がりだ。
お煮付けも見事に照りが出て、一緒に煮たお豆腐も美味しそうだ。
「どう? お母さん」
「本当に美味しいわね、このマグロはダンジョン産なの? 普通の本マグロの中トロより全然美味しいじゃ無いの」
「だよねぇ、ちょっと高かったけどこの味なら満足だよ」
「ごちそうさまでした」
「ごちそうさま」
さっきから、いつもの声が聞こえて目の前にスキル選択画面が広がってるけど食べ終わるまで選ぶのは待ってたよ。
片づけをお母さんに頼んで私は再び食堂に移動した。
【火魔法】
【土魔法】
【風魔法】
【転移魔法】
やった、これって転移出来るんだよね?
どんな使い方が出来るのかな? とりあえず鑑定してみよっと。
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【転移魔法】
時空神クロノスの加護により、過去に訪れた事のある場所へ転移できる。
使用者のレベルによって、使える能力が追加される。
スキル使用者、及びパーティメンバーに適用される。
転移先を千里眼で確認して行わないと、転移先に存在する物質と融合する危険がある。
レベル1 テレポⅠ 一キロメートル以内の地上で転移を行える。
レベル10 テレポⅡ 十キロメートル以内の地上で転移を行える。
レベル25 テレポⅢ 百キロメートル以内の地上で転移を行える。
レベル50 テレポⅣ 千キロメートル 以内の地上で転移を行える。
レベル100 テレポⅤ 距離制限がなくなる。
レベル1 千里眼 転移先を意識する事で様子をうかがえる。
レベル30 エスケープ ダンジョン内部から脱出出来る。
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「これは、間違いなく神スキルだよね」
早速取得!
でも……
転移先の確認が必要なんだね。
ラノベなんかだと、もっと簡単に転移出来てる気がしたんだけどな?
地上一センチメートルくらいを意識しないと、地面と融合とかしちゃったら怖いよね。
ちょっと練習してみようかな?
今は二十時かぁ、学校は流石にもう誰もいないはずだよね。
『千里眼』を発動して、校庭を覗いてみた。
あ、結構普通の視点で見えるんだね。
これなら人や物の無い場所の指定も簡単かも。
校庭を指定して【転移】あれ? 転移出来ない……
あ、【テレポ】って意識しないと駄目なのかな?
【テレポ】……次の瞬間校庭に移動した。
うん、そっかぁ最初に視点を飛ばしてその視点に体が同化するような感じかな?
でもこれは凄い便利だよね。
希にどこまで教えるのが良いのかな?
私が希を信用しているかどうかの判断なんだよね。
勝手に信用して秘密を抱えさせるのは、どうなんだろう?
きっと希は「教えてぇ」って言うだろうけど本人に本当に覚悟が出来ているかなんて解んないよね……
その時ポケットに入れてあるスマホが着信を告げた。
『先輩、こんばんはー』
『どうしたの希?』
『先輩のダンチューブ動画第一弾をアップしましたー。今は今日撮影した第二弾を編集中ですー』
『そうなんだ。朝、私が確認したそのままの内容だよね? それなら問題は無いけど今日撮影した動画の中で希のステータス関連の内容なんかはまだ公表できないからカットしておいてよ?』
『わかってますって、先輩と私の二人だけの秘密ですよね。なんだか濡れてしまいます』
『希! その表現なんとかしなさい。それに昨日も寝てないんだから早く切り上げてちゃんと睡眠取りなさいよ?』
『はーい。それじゃ先輩おやすみなさい』




