第214話 協会にも呼ばれちゃった
咲さん達と冴羽社長が熊谷弁護士の事務所に向かって食堂には杏さんと私、希に日向ちゃんとサオリンの五人になった。
「あら? 兄貴から電話だわ」
杏さんが澤田さんからの電話に出て、なにかを話していた。
電話を切ってから私たちに向かって伝えてきた言葉は「みんな、お疲れかもしれないけど協会がさっきの金沢ダンジョンにイレギュラーでオーガキングが現れた件について聞きたいそうなの。今からダンジョン協会に行ってもらってもいいかな? 勿論私も一緒に行くから」
「私は大丈夫ですけど、サオリンはどう?」
「私も大丈夫です。もし他の人があんなのに出会っていたら間違いなく大事故になってたと思うし、話をして原因に予測がつくなら協力したいです」
そう返事を貰ったのでみんなでダンジョン協会へと向かった。
協会に到着すると澤田さんと君川三佐が待っていた。
「心愛ちゃん、それに皆さんも呼び出してしまってゴメンね。今日の出来事はそれほどに重大な事故と言ってもいい大問題だったから協力をしてもらう事に感謝します」
「それにしても心愛ちゃん。また一段と強くなったようだね。今ネットでもトレンドの上位がほとんど金沢の事故で埋め尽くされてるよ。しかも、心愛ちゃんのオーガキング撲殺が圧倒的な一位だよ」
「えーっ、それは正しくないですー。私とどめさして無いし、困りますー」
「いやいや、顔面殴打で咆哮を阻止した上に、身動き取れなくしてたんじゃコアを壊すのは、ある程度の実力を持った人なら誰でも良かったはずだよ。あんな事はゴールドランカーの俺でも絶対無理だ」
「あ、サオリンは初めてだよね。ダンジョン協会の偉い人で、杏さんのお兄さんの澤田さんと、日本唯一のゴールドランカーで自衛隊の特務隊の隊長さんの君川三佐だよ」
「初めまして、心愛ちゃんの同級生で鮎川沙織といいます」
「金沢ダンジョンでイレギュラー発生の一報を受けてからすぐにライブ配信を見ていたので、顔は知っていますよ。大変だったね」
「心愛ちゃんが行けなかった場合を考えて、私も出動の準備をしていたんですよ」
「そうだったんですね。ご迷惑をおかけしました」
「あれは、狙って起こせるものでは無い事は解っていますし、国民の安全を守るのは私たちの一番基本となる仕事だからね。それで、原因なんだけど何か思い当たった事はあるかな?」
君川さんに聞かれたけど、実際何が原因かはサッパリわからなかったので「わかりません」と答えた。
「まあ、そうだろうね……二例目のダンジョンボスの通常フィールドへの登場が無い限りは予測すらできないな。ただ一ついえる事は、攻略済みダンジョン以外で起こる事は無いだろうね」
「そうだと思います。今回は十一層だったので、本当に実力が無い人たちは来れない階層だから良かったのですが、これが浅層階で起こったりしたら酷い事故につながりそうで不安です」
澤田さんがそこで当面の対策を考えてたようだ。
「今日は冴羽社長がいらしてないので正式な要請は出来ませんが、金沢のダンジョン協会支部に、エスケープのスキルオーブをかなり多めに納品してもらえるようにD-CANにお願いしたいと思います。後は値段が少し高くなっても構いませんので、エスケープを使いきりじゃない形で取得できる方法の提案をお願いしたいところですね。実際にそれは可能な事なのでしょうか?」
それに対して返事をしたのは杏さんだった。
「出来るか出来ないかで言えば出来ます。ただその方法がある事を知られれば、それこそ日本だけでなく世界中からの注文が殺到してしまうので相当高額な設定をしないと提供は難しいですね」
「なるほど、その辺りを冴羽社長とも相談して出来る限り提供できる形にしてほしいな」
「社長と話しておきます」
今日の所は澤田さんとの話もそれで終わって食堂に戻る事にしたよ。
食堂に戻ると、東郷さんが食堂の前でウロウロしていた。
中の電気をつけて、扉を開けると東郷さんに声をかける。
「東郷さん……どう見ても不審者の様ですよ?」
「あ、こんばんわ心愛ちゃん大変だったね。大島さんも今日もお美しくて何よりです」
「ありがとう? でいいのかな。そう言えば東郷さんはダンマガ発行されたからもう退社されたんですか」
「はい、今日付けでダンジョンマガジン社は退社いたしまして、これからはフリーライターとしてクリスマスホーリーを中心に活動させていただきます」
「それはお疲れさまでした。クリスマスホーリーでも頑張ってくださいね」
「それより、心愛ちゃん。今日の事件で凄い事になりそうだよ。既にあの事件以降、ダンマガ最新号の英語版をダウンロード販売してるんだけど、通常ダウンロード数は世界中で十万部くらいなんだよね。それが既に一千万ダウンロードを達成されてしまっていて、サーバーがパンク状態になっているんだ。この状況を受けて今月号のダンマガも急追三百万部の増刷が決定されて通常販売されてない、紙媒体の英語版も発行される事になったんだ」
「凄いですね……」
「それでなんだけど、俺の後任に当たる子たちに心愛ちゃんやサオリンちゃんとの顔つなぎを頼まれてしまって、お願いできるかな?」
「えー、面倒な依頼とか無いでしょうね?」
「無理は言わないように、しっかりと言い含めておくから一度顔合わせだけお願いしたいんだ。サオリンちゃんも麻宮社長も含めて一度ダンマガにインタビューページを掲載させてもらえないかな?」
「咲さん達に相談しないとお返事は出来ませんけど伝えてはおきます」
東郷さんは伝えたい事を喋るだけ喋ると杏さんに淹れてもらったコーヒーを幸せそうに飲んで帰って行った。




