第17話 日向ちゃんのご両親って……
酢豚用の野菜をカットしていると希がやって来た。
「先輩、遅くなってすいません。日向ちゃんと話してたらちょっと長引いちゃった」
「気にしなくてもいいよ、今日はそんなにガッツリ狩るつもりは無かったし」
「ちょっとそこに座って待っててね、紅茶とコーヒーどっちがいい?」
「紅茶でお願いします。って言うか自分でやりますよ先輩に入れてもらうとか恐れ多くて」
「今更遠慮なんてしなくていいよ、レモンとミルクはどっちが良いの?」
「じゃぁレモンでお願いします」
「で、日向ちゃんだっけ、どうだったの?」
「結構落ち込んでました。両親にガッツリ怒られたのもあるし、日向ちゃん陸上やってたから、足骨折したのはちょっと選手としては、致命的になっちゃうかもしれないし」
「そうなんだ、相談に来るなら早目が良いよ」
「でも、なんだかご両親が滅茶苦茶な事言ってるから、私は何も言えないです」
「どんな風なの?」
「ダンジョン協会と国がこんな未成年をダンジョンに入れた事に責任があるから、もし後遺症とか残ったら、高額訴訟を起こして毟り取るとか言ってました。日向ちゃんの怪我を治す気持ちより、それを理由に訴訟を起こす事が目的みたいな感じなんですよ」
「私や先輩も、助けなかった責任を賠償請求するとか言ってるらしいんですよ」
「それはトンデモ理論だね。でもそんな事言いだしてるんじゃ私は一切関わりあいたくないかな」
「ですよね、日向ちゃんは何とかしてあげたいと思ってたけど、あのご両親見てると近付きたく無いと思っちゃいました」
私は、希と話しながら鑑定を掛けてみた。
真田 希 16歳(女) レベル6 ランキング 2,986,457,485位
HP 600
MP 60
攻撃力 6
防御力 6
敏捷性 6
魔攻力 6
魔防力 6
知 6
運 6
ポイント60
スキル:無し
想像通り過ぎるよね。
でも結構頑張ってるんだねレベル6とか結構高いと思うよ。
「ねぇ希はダンジョンでどんな武器使ってるの?」
「私は忍者に憧れてたから、本当は小刀みたいなのが使いたいんですけど、そんなの無いから今はサバイバルナイフを使ってます」
「そうなんだ、魔法少女になりたいとか言うと思ってたから、ちょっと意外だった」
「解ってるじゃないですか、本当は魔法少女志望ですけど、魔法が使える人っていないでしょ?」
「そうだね、表向きは」
「え? 表向き?? 先輩、何を知っているんですか」
「だって魔物は使ってるじゃん、存在するんだから使えると思って間違いないよ。覚え方を知らないだけだよ」
「あー成程ですねぇ、でもどんな方法なんだろ?」
「意外に簡単な事かもね?」
「えぇ、例えばどんなのですか?」
「さぁ?」
「そこまで言って置いての梯子外しなんですね、ごちそうさまです……」
「今日はあんまり時間が無いから、私の狩りを少し見てみたらいいよ。何か参考になるかもしれないし、後、基本私と一緒に行動するなら杏さんも紹介しておくよ」
「わぁ巨乳さん紹介して貰えるんですね。楽しみです。あの谷間に埋もれてみたいです。あと撮影もさせてもらっていいですか?」
「巨乳さんって……表現が本当に親父臭いね。撮影はまあ別に構わないけどダンジョンチューブにアップするのはまだ禁止だよ? 編集した動画を私が確認してからにしてね」
「はーい了解です!」
◇◆◇◆
ダンジョン協会に到着した時にはもう四時を過ぎていた。
杏さんに連絡をすると、すぐに出て来てくれてカラーズ用の個室に案内された。
「杏さん昨日は電話ありがとうございました。お陰で少し安心出来ました」
「心愛ちゃんのメンタルを常に守って上げるのは私の大事な仕事だしね、心愛ちゃんの納品が私のボーナスに直結するんだから」
「そう言ってもらえると遠慮なく甘えられます。今日は私と一緒に行動する子を連れてきました。希って言います」
「あら、貴女は時々何人かのパーティで、来てたわよね?」
「はい、覚えていてくれたんですね。真田 希です。先輩共々よろしくお願いします」
「こちらこそね。心愛ちゃんの専任担当の大島杏です」
「では買取をお願いします」
「じゃぁ売って貰える物は全部出して貰ってもいいかな」
昨日の七層のドロップ品と最後のミノタウロスから出たポーションⅥを出した。
「ねぇ心愛ちゃん、これって七層だよね? ソロでアンデッド相手にしたの? しかもこの量のドロップとか、どれだけの数狩れば出るの?」
「きっと杏さんが思っているよりずっと少ないはずですよ? 何だか最近ドロップ率が凄く良いんです」
杏さんが鑑定ルーペを持って鑑定を始めた。
「ちょっ……心愛ちゃん。これポーションⅥじゃないですか……どの敵から出たのか覚えてますか?」
「あ、はい、それはミノタウロスです。宝箱からでした」
「……昨日だけで宝箱二回出たって事ですか?」
「そうなりますね」
「やっぱり、きっと何かあるよね? 教えて欲しいけど心愛ちゃんが言いたくなった時でいいから、そのうち聞かせてね。絶対他の人には内緒にするから」
「はい……」
「先輩、一体ポーションⅥっていくらするんですか?」
希に聞かれたから、昨日杏さんに貰った、ポーションの買取票を見せると、希がその場で固まっていた。
買取査定が終ると、既に五時を過ぎていた。
総額は一千六百万円に近かった。
因みに金棒を見せて、査定して貰ったら五百万円の値段だった。
売らないけどね!
「希、今日は遅くなったから少しだけ二層に行って三十分くらいで帰るよ」
「はい、私もポーションⅥとか出ないかな?」
「気合で出るかもね?」
「頑張ります!」
昨日ステータスの振り分けをしてから、金棒を振って居なかったので、ダンジョン一層に着いてすぐに、金棒を構えて振ってみると、『ブン』と風切り音が鳴った。
攻撃力五十越えの効果はあったみたいだね。
希に持たせてみると、まともに振る事は出来なかった。
て言うか、持っただけでよろけてた。
「先輩! 早速撮影始めちゃって大丈夫ですか?」
「別に構わないけど歩きながらの撮影とか危なくないの?」
「大丈夫です、スマホを肩の位置に固定する器具があるから、ほぼ私の視線でそのまま撮影するような感じになるので、歩きながらでも全然平気なんですよ」
「へー便利なのがあるんだね」
こうして希を連れての初めての探索が始まった。




