第156話 入学決定
朝になって食堂に降りていくと、杏さんがコーヒーを淹れてくれた。
希と日向ちゃんも起きていて、朝のニュースを視ているとロジャーとグレッグが転移マットから現れた。
「いやぁ、参ったぜ。千葉ダンジョンのトラップえぐいよな。ロジャーの奴がトラップ踏みまくって全然進めなくて、途中から特務隊の香田に協力してもらってやっと十層までしか行けなかった」
「あそこは罠感知系のスキルが無いとかなり厳しいよね。でも、二十層まで行けばJOBは獲得できるんだから苦労に対しての見返りは大きいよ。頑張ってね」
昨日は元気がなかったように見えたグレッグが今日は、ちょっとテンションが上がってた。
その変化に気付いた希がグレッグに突っ込んだ。
「ねぇ、グレッグって昨日なんで元気なかったの?」
そう聞くとロジャーが答えた。
「こいつ柄にもなく恋煩いなんだよ。笑ってやってくれ」
「えぇ、そーなんだぁ。アメリカの人なの?」
「それが少し不思議なんだが、話しかけてもないからどこの国籍なんかもわかんねえんだけどな」
「おい、ロジャー、べらべら人の恋路を話すんじゃねー」
「でも、空港ですれ違っただけで一目ぼれだろ? 普通に考えたら少しおかしくねえか?」
「おかしくなんかねーよ『ビビビ』って来たんだ、これは絶対運命の出会いだったはずだ」
「確かに綺麗ではあったが、俺にはそこまで刺さらなかったんだけどな。もしかして魅了でもかけられたんじゃないか? それが証拠に、今日は昨日みたいにはボーっとしてねぇじゃないかよ」
ロジャーの言葉が気になってグレッグを鑑定したみたけど今は別に状態異常にかかってもいなかった。
昨日、鑑定してたら違ったかもしれないけどね。
ロジャーの予想が正しかったら、きっと近いうちにまたグレッグに接触してくるだろうし今は様子を見るしかなさそうだよね。
「私たちは今日も札幌に行くから、ロジャー達も頑張ってね。JOB取れたらどんなのが出たか教えてね」
「ああ、俺はきっと勇者とか勇者か勇者がでるはずだ」
「思いは大事かもね?」
朝食を食べて学校に行くと、私と希と日向ちゃんが職員室に呼ばれた。
職員室に行くと橋本先生に隣の会議室に連れて行かれた。
「おはようございます。呼び出しちゃってごめんなさいね」
「おはようございます、橋本先生。何かあったんですか?」
「あのね、三人とも探索者養成学校の申請書出したでしょ。それで、内規があってねこの学校からはあなたたち三人の早期合格が決まったので、その連絡です。おめでとうございます」
「あ、そうだったんですか。ちなみに内規ってどんな内容だったんですか?」
「ランキングですね、柊さん達は特にランキングが高かったのですぐに設立委員会から合格通知を出してくれと頼まれました。因みにまだ受付期間中ですから、はっきりとした数は決定ではないですけど、今の時点で内規で合格が決定した生徒さんだけでも全国で百名超えてるそうですよ」
「そうなんですね。ありがとうございます。安心しました」
「それでなんですけど、なぜ今の段階でお知らせしたのかというと、今回合格の通知を出した生徒たちは、既に探索者としての実力も伴っているので、早い段階で金沢に来ていただいてカリキュラムを体験していただいた上で後から試験を受けて合格をした生徒たちに、指導が出来るようになって欲しいという事なんです。教員たちで実技的な指導が出来るような人はどうしても不足してしまうから、自衛隊からも派遣してもらうんですが、それでも専門学校を含めると二千名を超える生徒たちに、実技を指導できるほどの数を確保するのは難しいので、生徒たち中で高ランクの人たちには協力してもらおうという話になったんです」
「そうなんですね、なんだか大変そうですけど楽しそうだからやってみます」
「六月に入った時点で寮と学校は準備も整っていますので、この学校へは今月いっぱいの登校で、月が替わり次第金沢へ移動していただきたいんですが大丈夫ですか?」
「はい、私たちは大丈夫です。最初はみんなで集まって向かうとかあるんでしょうか?」
「九州と中四国地方の生徒たちは、下関のダンジョン協会から転移ゲートを使って、金沢へ移動してもらえば、金沢のダンジョン協会で手続きが出来ます。六月に入れば九時から十七時までの時間帯は常に探索者養成学校の設立委員会の人間が金沢ダンジョン協会に居ますので、そこで手続きを行ってください。カリキュラムは八日から始まりますので、一応七日までに手続きを済ませるようにお願いします」
「わかりました」
現時点で合格決定するってくらいだったら、レベルで30は超えてそうだよね。
超成長とか無しでそこまで頑張れる子たちって、なんだか凄そう。
結構楽しみが増えたかも。




