第148話 夢の国ダンジョンの報酬
突入をしたチームシルバーの目の前に広がる光景はアクロバティックなステージが広がっていた。
中には、既にカウントダウンを始めたタイマーの様な物も見え、何より入った瞬間から、壁が中心部分に向けて動き始めた。
「タイマーの表示の時間内にゴール地点のあの塔の上のボタン押さないと、壁に押し潰されてしまうようだな。香田三尉、身体能力では三尉が最も優れている。先行してくれ」
「了解です。このSA〇UKEな感じのアトラクションを時間内にクリアすれば攻略と言う事ですね。行きます!」
アトラクションダンジョンの本領発揮という感じのボス部屋だった。
他のメンバーは香田三尉が攻略していく様子を押し迫る壁から逃れるように少しずつ中央に進みつつ見守る。
「このアトラクション自体が魔物なんだろうか?」
「どうでしょう? 壁に触れば吸収されてしまうとかあるかもしれませんね」
香田三尉が前半戦は自慢のフィジカルで切り抜けていたが、中盤に差し掛かったところでバランスを崩し、アトラクションから落下してしまった。
床に触れた瞬間に香田三尉の姿が消えた。
「香田ああ」
君川三佐の叫びが響き渡った瞬間に、君川三佐の隣に香田三尉の姿が現れた。
「無事だったか、よかった」
「三佐、時間的にもう一度のトライは難しいと思います。ここはアトラクションごとに複数回のトライで突破法を見つけていかないと攻略は難しいと思われます。一度撤退しましょう」
「了解した。エスケープの使用を行う」
君川三佐の号令でチームシルバーは脱出した。
ダンジョンリフトを使用してすぐに再び二十四層に戻ってきたチームシルバーを見て心愛は少しほっとした。
「心愛ちゃん、中は高難易度のアトラクションになっていて時間内に突破できなければ、壁に押しつぶされるような内容だった。エスケープスキルを使いながら何度も再チャレンジしながら、攻略法を見つけ出すのが正解の様だ」
「そうなんですね……ちなみにゴール地点は視認できるんですか?」
「ああ、見えていた」
「一度だけ私たちと一緒に入ってみませんか?」
そう声をかけ私と先生、希、日向ちゃんのパーティーに君川さんを誘った。
君川三佐を加えた状態で、ボス部屋へ突入する。
今度はチームシルバーと樹里さん達も一緒に入ってきた。
先程と同じようにタイマーがカウントダウンを始め、壁が動き出した。
【テレポ】
視認できているゴール地点に向かってテレポを発動すると、何の問題もなくゴール地点に辿り着いてしまった。
「君川三佐、このボタンを押せばクリアなんですか? 押してみてください」
「あ、ああ……」
そう返事をしながら、君川三佐がボタンを押すとアトラクションが崩れ去りクリスタルの乗った台座が現れた。
「先輩……チート過ぎますって」
「私の持ってるスキルとの相性が良かっただけだよ……それより君川さんクリスタルに触ってください。報酬が受け取れます」
君川三佐がクリスタルに触れた。
『JOBを選択してください』
「心愛ちゃん、このダンジョンの報酬はJOBだ。しかも選べる」
「本当ですか? 凄いじゃないですか、でも移設したら六十九層になるんじゃ恨まれそうですね」
「しかし……依頼はダンジョンの金沢への移転だからな、悩ましい所だ」
そんな会話をしていると、アトラクションが消えた事で一本道になった通路をチームシルバーのメンバーたちもやって来た。
「とりあえず、みんなここで報酬の取得をしてくれ。報酬はセレクトJOBだ」
君川三佐の言葉を聞いてちょっとした歓声が上がる。
それぞれJOBを確認していく。
「あれ? 私一種類だけですけど?」
そう言ったのは日向ちゃんだった。
「なんでかな? 私も触ってみるね。私は五種類表示されてるよ」
「先輩、私は三種類です」希は三種類の様だった。
なんで人によって違うのかな?
みんなに聞いてみると君川さんが一番多くて八種類。
チームシルバーのメンバーは七種類。
樹里さんと美穂さんは二種類。
先生たちは一種類だった。
「これって……ランキングカードの文字色で選択肢の数が変わるのかも」
美咲さんが頷く。
「確かにそうみたいね。白だと一種類、青だと二種類、赤が五種類、シルバーが七種類、ゴールドが八種類ね。希ちゃん、もしかして今のクリアでイエローに上がったんじゃない?」
「えっちょっと見てみますね」
希がランキングカードを取り出すと黄色い文字で984,568位と刻まれていた。
「あ、本当です。イエローになってました」
「表示されたJOBってみんな同じですか? なんだか違う気がするけど」
それぞれが表示されたJOBを書き出してもらうと割とランダムなJOB表示だった。
比較的出やすいJOBも存在していてチームシルバーのメンバーには共通して【狙撃士】【盾士】【槍術士】【斥候】は現れていて他の三種類はバラバラだ。
最初にJOBを決めたのは香田三尉で【斥候】を選んだ。
君川三佐は【司令官】
美咲さんは【魔法剣士】
希は【竜騎士】
美穂さんと樹里さんは【魔道士】
他のメンバーもそれぞれ自分に合わせたJOBを選択した。
「日向ちゃん、複数JOBは取得できるけど成長に必要な経験値もそれに応じて増えるから考えた方がいいかもね。ちなみに何が出たの?」
「あの、私【暗殺者】が出てて、もう取得しちゃいました」
「そっか、早く言ってあげればよかったね。先生たちはどうでした?」
「ああ、俺も橋本先生も同じJOBで【教師】が出てたな。そのまんま過ぎるけど選択肢も無いから取得したぞ」
私がクリスタルに触れた事で通信環境も解放された。
「君川さん。一思いにやっちゃいますか?」
私がそう声をかけると「一応、葛城将補に確認してみる」と言って保留になった。
部屋の奥に現れた扉に向かって移動する。
そこには、お約束の宝箱三個が並んでいた。
「今回は心愛ちゃんに無理を言って協力してもらったから、当然この宝箱の権利は心愛ちゃんの物だ」
「ありがとうございます。希、欲しいものを強めに願いながら開けてみて」
「はい! 先輩の愛カモン」
そう言いながら真ん中を勢いよく開けた。
出てきたのは箒だった。
「先輩、箒ってはずれですか?」
「んーどうだろ? 外れってあるのかな?」
そう思いながら鑑定をしてみた。
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【マジカルブルーム】
この箒ではくだけで奇麗になって塵取りいらずの優れもの
打撃武器、盾、杖の三通りの使い方が出来る
打撃武器 クリティカルが五十パーセントで発動
盾 タイミングを合わせて掃けばパリィ可能
杖 魔法効果五十パーセントアップ柄に属性魔石を装着する事で更に五十パーセントの威力増加
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「超優秀じゃん。希、これ私が使ってもいいかな?」
「全然OKです。箒が手に入ったって事は、これで肩に黒猫乗せて飛び回れば完璧ですね。きっとTBはそのために来たんですよ」
「飛べるとか書いてないし」
「そこはほら、魔道具で出来そうじゃないですか?」
「そう言われたらなんかできそうだね」
宝箱が消えた後に現れた魔方陣からみんなで一層へと戻った。




