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不思議なペットボトル【JK心愛の美味しいダンジョン攻略】  作者: TB


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142/185

第142話 SAIA

 設置を終えて金沢ダンジョン協会支部に戻ると、澤田さんが話しかけてきた。


「今日、島大臣から頼まれたんだけどね、スポーツ関連で競技者の公平性を保つ手段がないかと相談されたんだけど、なにか具体的な方法はありますか?」

「実際には、スポーツだけでなくてお勉強でも結構変わってきますけど、ダンジョンに行ったかどうかでの差をなくすと言う事であれば方法はあります」


「あるんだね、よかった。どういった方法だい?」

「えっと、人物鑑定をしたらわかるんですけど、ランキングカードを所持していない人のステータスは全員、全項目で1なんです」


「えーと、それって重量挙げの金メダリストだと力が2とかになってはいないと言う事だね」

「はい、ですからきっと全ステータスが10の人同士で比べても力や速さは別なんです。当然男の人の方が女の人より力も強い場合が多くなります」


「そうなんですね。だとしたらステータスの数字だけじゃ本当の強さは見えないって事か?」

「その通りです。ただダンジョン内ではステータスが1違えば実力が10パーセントは変わってきますから、ステータスが10も違えばほぼ実力には凄い差が付きますよね。リミットブレイクなんて取得しているとそれがダンジョンの外でも適用されてしまいますから競技での公平性なんて全くの論外になります」


「で、具体的にはどうすればいいのかな?」

「魔道具で全ステータスを1に揃えてしまう物を作成すればいいんじゃないでしょうか?」


「心愛ちゃんがそう言うって事は、作ることは出来るんだね?」

「はい、ただ折角上げたステータスを元に戻すための機能も必要になりますよね」


「そうだね」

「そうなると、まず人物鑑定とステータス調整の機能が必要になります。それが出来ちゃうと探索者の方々は現状ではみなさんレベルに対して10ポイントの余剰ポイントを持ってるはずなので、それを全部振り分ける事も可能になります。だから世界中の探索者がみんなこの魔道具で調整される事を望んでくる事が予想できます。それに対応できますか?」


 私が説明をすると会議室にいた全員が「うーん」と頭をひねった。

 冴羽社長が確認してきた。


「確かにそれが出来れば凄い事になるだろうけど機能的に考えて一台いくらの値段に設定するのかが大問題だよね、転移ゲートの様に一台二千万ドルではスポーツ競技を行う団体が使用するにはハードルが高すぎるし、一度に何百人、何千人、大きなマラソン大会なんかだと何万人にもなる場合だってある。それだと十台やそこらの台数ではとても対応できない」

「安価に設定されたとして、大量に注文されてしまうと私も対応なんてできませんからその辺りを考えていただければと思います。最初にお約束した通りに魔道具は全ての種類を含めて一日に十台までしか製造はしませんから」


 話の内容を聞いていた島大臣が対応策を提案してくれた。


「基本的に選手たちの自己申告を信用するしかないでしょうね。大きな大会の入賞者には、後から魔道具での検査を義務付けるなど、ルールの制定も必要でしょう。その魔道具自体はJDAで一括管理していただいて、運用もJDAの職員が責任もって行う事を徹底しなければなりませんね。ただ、その魔道具の取得費用に関してはダンジョン省で負担するとして運用にかかる実費プラスアルファをJDAが徴収して運用という形が望ましいでしょう」

「その場合、世界中に二十億人近くいる探索者からのステータス調整の要望はどう対応していきますか?」


「一日に対応可能な人数をJDA側で設定して、くじ引きで当選した人から対応するなどの方法しか無いでしょうね」

「国ごとの当選確率などは差をつけてもいいでしょうか?」


「その点は、ダンジョン省から要望を出させていただきましょう。外交的な切り札にも使える案件ですから」

「と言う事で心愛ちゃん。試作品を作ってみてもらえますか」


「わかりました。形なんですけどタブレット端末型で構いませんか?」

「そうですね、それでお願いします」


 島大臣がそう返事をすると、斎藤大臣が割り込んできた。


「そこは片眼鏡型だろ、操作もレンズの周りに集中させて」

「あの……斎藤大臣……それってあれですか? 『ふん戦闘力たったの五かゴミめ』って言うためだけの形とかじゃないですよね」


 そう言うと斎藤大臣は視線をずらして「やっぱりタブレット型が実用的かな」と言い出した。

 どうやら図星だったようだ。


 会議も終了して博多へ戻ると早速先程頼まれた魔道具の作成へと取り掛かった。

 ステータスをアナライズ(鑑定)してイニシャライズ(初期化)その後でアジャスト(調整)まで出来るようにしなきゃならないのか。


 名前はSAIA(サイア)でいいかな。

 

【魔道具作成】


~~~~

【SAIA】

 ステータスの鑑定、初期化、調整を行える。


 成功確率20%

 必要MP3000


 ベースとなる素材で成功確率、必要MPは変化する。

~~~~


 これは……結構大変だね。

 メーカーさんに頼んでミスリルフレームのタブレットとか作ってもらった方がいいかも。

 社長に頼んでみよう。


 とりあえず鑑定タブレット製作用に大量にタブレットは仕入れて貰ってるから完成するまで頑張ってみよう。


 今回も結構運が悪くて、七台目でやっと完成した。

 でもとりあえず出来たからいいか。


 完成したのでTBを抱っこして食堂に行くと、まだみんなが居た。

 美咲さんが結構食い気味で聞いてきた。


「心愛ちゃん、もう完成したの?」

「はい、一応」


「私で実験してみてー」

「冬月二尉、何が完成したのか知ってるんですか?」


「樹里と美穂には内緒だよ」

「えー内緒はダメです。教えてください」


「だーめ」

「どうせ、これが納品されたら美咲さん達は優先的に使ってもらえるから構いませんよ」


 そう言って早速、作動テストを始めた。

 まずタブレットのカメラで美咲さんを撮影する。

 アナライズボタンをクリックすると美咲さんのステータスが表示された。


「今美咲さんは何か感じましたか?」

「『ステータスのアナライズを受け入れますかY/N』って脳裏に浮かんだわ」

「そうなんですね。了解です」


~~~~

 冬月美咲 25歳 (女) レベル65 ランキング14位 ランクシルバー


HP  6,500

MP    650

攻撃力   100

防御力    65

敏捷性    65

魔攻力    65

魔防力    65

知能     65

運     100


ポイント  580


スキル:【パーティ作成】【リミットブレイク】【エクスヒール】【浄化】【エアカッター】

~~~~

 

「これが今の美咲さんのステータスです」

「こうやって見ると、あんまり強くないよね」


「そんな事ないですよ、十分普通の人と比べたら化物クラスだと思いますよ」

「化物って……褒められてるんでしょうけど嬉しくない……」


「ゴメンなさい、いい意味だけですから。このステータスをイニシャライズします」


 そう言ってカメラに美咲さんをとらえた状態で、イニシャライズボタンを押した。


「あ、また脳裏に『ステータスのイニシャライズを受け入れますかY/N』って浮かんだわ」

「了解です」


 すべてのステータスが1になる。


「わっ、急激に力が抜けた感じがするわね」

「美咲さんはリミットブレイク持ってますから、脱力感凄いでしょうね」


~~~~

 冬月美咲 25歳 (女) レベル65 ランキング14位 ランクシルバー


HP    100

MP     10

攻撃力     1

防御力     1

敏捷性     1

魔攻力     1

魔防力     1

知能      1

運       1


ポイント 1,098


スキル:【パーティ作成】【リミットブレイク】【エクスヒール】【浄化】【エアカッター】

~~~~ 


「今はこの状態です。でもこれはダンジョンに潜った事のない一般の人と同じ状態ですから、一般生活を送るには全然大丈夫なはずです」

「そうなんだね、こんなに違うんだ」


「で、次がアジャスト機能です。タブレット端末に表示されてる1,098ポイントを自由に振り分けることが出来ます。自分でやってみてください」


 美咲さんがタブレット端末とにらめっこしながらステータスポイントの振り分けを始めた。

 なんだか唸り声が聞こえてくる。


 私はTBにミルクをあげながらのんびり待ってたけど、美穂さんと樹里さんがしびれを切らしたみたいで「二尉、後がつかえてるんですから早くお願いします」って言って【SAIA】を取り上げた。


「これは、はまるわね。数字を変えていくとどんどん力が湧いてくるし頭もすっきりしていくのが解るから最適解を追求したくなっちゃうよ」


 そう言う美咲さんを放置して美穂さんと樹里さんがお互いのステータス鑑定とイニシャライズをしていた。


「でも使われた方が受け入れないと使えないのはちょっと安心しました」

「なんで?」


「戦闘中に勝手にステータス下げられたら大変でしょ?」

「あー確かにそうだね。でもそれだと残念だよね、魔物に使えたらどんなボスが出てきても楽勝になったのにな」


「そういう考え方もあったんですね。それだとチートすぎるからダンジョンの神様は許してくれないでしょうね」

「心愛ちゃんは神様って存在すると思ってるの?」


「そうですね、神様じゃないかもしれないけど、それに近い存在はきっといるはずです。そうじゃないとダンジョンやスキルなんて説明がつかないですから」

「そっか」

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