第115話 ノドグロのお煮つけと二つ目のJOB
樹里さんと美穂さんを伴い三人で金沢の拠点マンションに転移すると、金沢のダンジョン協会支部に向かい、葛城一佐と面会した。
君川さんと美咲さんも同席している。
「心愛ちゃん、進藤三曹、相沢三曹まずは金沢ダンジョンの攻略によるスタンピード終結のお礼を言わせてくれ。ありがとう」
「いえ、そんな改めて言われると照れてしまいますから……」
「本官と相沢三曹は職務として当然のことを成し遂げただけであります」
樹里さんと美穂さんは葛城一佐を前にビシっと敬礼して返事をした。
「それでだが、まず進藤、相沢の両名は金沢ダンジョン攻略によりカラーズへのランクアップを果たしたと聞くが間違いないか? 一応ランキングカードを確認させてくれ」
葛城一佐は二人が取り出したランキングカードを確認すると頷き、二人に対して告げた。
「進藤、相沢の両名はカラーズへの昇格を果たしたので、内規により准尉に特別昇進をする。階級章を受け取りなさい」
葛城一佐がそう告げると准尉の階級章を渡された。
「私がつけてあげるわ」
美咲さんが二人の制服に新しい階級章をつけてあげた。
なんだか二人が感動しているのが伝わってくる。
「おめでとうございます」
「心愛ちゃん、ありがとう。全部心愛ちゃんのおかげだから、これから先、心愛ちゃんに足を向けて寝れないね」
美穂さんがそう言うと葛城一佐が咳払いしたので、二人がまた気を付けの姿勢をとった。
「早速だが二人に新たな任務を申し渡す。君川一尉、冬月二尉に随行して、ケニア、ガリッサダンジョンの国際協力部隊への出向を命じる」
「了解いたしました」
「心愛ちゃん、大島君から聞いているとは思うが、君川一尉と冬月二尉の実力の底上げに関して協力を頼みます」
「はい、一応聞いています。今回準備させていただくスキルの取得に関しては、D-CANへの注文という形で問題ないでしょか?」
「うむ、それで問題ない」
「わかりました。価格なんかは私は解らないので、後日うちの社長と交渉をお願いします」
「了解だ」
「それと確認したい事があったのですが、特務隊でダンジョン産の杖型の武器の在庫は持たれてますか?」
「杖型か、使用方法がわからなかったので使ってはいないが、在庫はしている」
「では、それを君川さんと美咲さんに持たせてください。今回の敵には有用なはずですので」
「わかった。すぐに用意しよう。準備が整い次第、小松空港から特別機で向かってもらう」
葛城一佐が部屋から一度退出している間に君川さんと美咲さんにスキルオーブを使用してもらった。
美咲さんにはエクスヒールと浄化とエアカッター、君川さんにはセラミックランスとピットフォールとエスケープの魔石を渡した。
「私ってまるで聖女様みたいだね。ありがとう心愛ちゃん」
「俺のスキルも強力そうだ感謝するよ」
それとロジャー用にファイアランスとナパームボムとエスケープ、グレッグにはアクアランスとブリザードとエスケープを用意した。
樹里さんと美穂さんはお料理で覚えてもらったのでレベルが上がればさらに強力な魔法も覚えるが、君川さんたちはスキルオーブなので威力は魔法攻撃力だけに依存する。
ステータス調整で魔法攻撃力を調整しておいてあげたよ。
これは内緒でだけどね。
葛城一佐が杖型のデバイスを二つ持って戻ってきた。
「心愛ちゃん、今特務隊が所持している杖型のデバイスは、この二つだが、これでいいのかい?」
私はその二つのデバイスに対して鑑定をかけてみた。
一つは魔銀の杖で美穂さんに渡したのと同じだったけど、もう一つは少しだけ違ったよ。
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『ミスリルタクト』
魔法攻撃力が二十五パーセント上昇する。
属性魔石を装着する事でその属性に関しては更に三十五パーセントの攻撃力上昇。
使用MPが二十パーセント減少
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魔銀の杖の上位互換って感じだった。
使用MPの減少が結構いい感じだよね。
「それでは皆さん頑張ってくださいね。ロマノフスキーさんがどんな人だったとかガリッサダンジョンの攻略報酬とか教えてもらうの楽しみにしてますね」
「了解だよ心愛ちゃん。私たちがいない間、護衛が居ないから気を付けてね」
「はーい」
四人が出発すると葛城一佐へ挨拶をして博多へ戻ることにした。
「葛城一佐、それでは私は戻りますね」
「ああ、協力感謝する。そういえば心愛ちゃんは学校の話は聞いているかい?」
「はい、噂程度には」
「実技訓練の講師とかは特務隊からの出向になりそうでね、進藤と相沢にも頼もうと思っているんだ」
「そうなんですね、二人とも親しみやすいから人気者になりそうですね」
「心愛ちゃんにも入校してほしいと思ってる」
「えーと、博多から通ってもいいなら行きたいと思ってます。勿論通学方法は秘密で」
「そうだね、その辺りは最大限の融通をはからせてもらうよ。今回は日本政府の肝いりで、金沢市内の大学施設をそのまま使用させてもらうので九月の開校を目指して準備を進める予定だ」
「やはりスタンピードであふれた魔物たちの完全な駆逐は難しいんですか?」
「そうだね、絶対数が多すぎるのと、ダンジョン内と違って倒せば死体が残ってしまうから、民間人が生活する場所としては厳しいと思う」
「そうなんですか、でも、死体がそのまま残るってことは、食材として考えた場合はあの大きなカニさんやノドグロも丸々使えちゃうって事なんですか?」
「ああ、まーそうなるね。武器や防具の素材としても使えるのではないかと思っているので、心愛ちゃんに協力をお願いする事もあるだろう」
「めっちゃ楽しみ増えました。普段から狩りに来てもいいですか?」
「一応、今は民間人は立ち入り禁止になっているから、探索者に開放されるまでは待ってもらえるかな」
「それはしょうがないですね……それではそろそろ私は博多に戻りますね」
◆◇◆◇
葛城一佐との話を終えて博多に戻ると早速お料理を始める事にした。
だって葛城一佐と食材の話をしてたら、ノドグロのお煮つけが食べたくなったしね。
「日向ちゃーん、お料理始めるよー」
「はーい、すぐ準備しますねー」
手早くキッチンスタジオの準備を終えるとノドグロのお煮つけを作り始める。
ノドグロはやっぱりお煮付けが最高だよね。
でも倒したノドグロの魔物って一メートルを超すサイズだったけど、ドロップで出るのは三十センチメートルくらいのサイズだから、ちょっと損した気分だなぁ。
スタンピードで外に出てきた魔物だったら、きっとそのままのサイズだから出会うのが楽しみだよ!
それでも、このサイズだと姿のままお煮付けにするのは、ちょっと大きすぎるから鱗を弾いて四等分に筒切りにしてから煮付けよう。
まずは、たっぷりのお湯を沸かして、筒切りにしたノドグロをさっとくぐらせる。
冷水の中に移して余分な血合いや、残った鱗を丁寧に取り除く。
この一手間が食べやすさを格段と上げるからね!
デリシャスポーションをお玉に四杯、濃口醤油を一杯、味醂を一杯、日本酒を一杯合わせてお魚を並べる。
博多のお醤油だと甘さがあるのでお砂糖は使わないけど、使うお醤油によってはお砂糖で味を調整するよ。
生姜の薄切りと三センチメートルサイズに切り揃えた牛蒡も一緒に入れる。
強火で一煮立ちするまで、煮立てると豆腐を加えて、落し蓋をする。
落し蓋は重い物だと身が潰れた感じになるから、薄板っていう杉の木を薄く削った物を使うのが、お父さんの方法なんだよ。
煮立ち過ぎないように、火加減を調節して目を離さないようにするの。
薄板の下でお出汁が循環する様子を眺めてると結構楽しいんだよ。
煮汁が半分くらいまで減ったら薄板を外し。再び強火にしてお鍋を手前に傾けて、お玉でお出汁をお魚の上に掛けながら煮詰めていく。
綺麗に照りが付いたら出来上がり。
お皿に盛り付けて、上に木の芽を飾ったら完成だよ。
勿論日向ちゃん用の昆布だしバージョンも作ってあるので一緒に食べるよ。
ご飯を用意して、さぁ実食!
「ヤバイ、マジ頬っぺた落ちちゃうよー。頭の部分、特に目の周りが美味しいなぁ」
「わー! 本当に最高に美味しいお煮つけです。このうま味を吸い込んだお豆腐も超美味しいですー」
「だよねー」
実食を終えて日向ちゃんが部屋に戻るとスキルの獲得を行う。
『セレクトスキルの選択権を取得しました』
【重力魔法】
【JOB錬金術師】
【スキル消去】
【テレパシー】
あ、テレパシーだ。これは前から欲しかったんだよね。
でも複数JOBを獲得できるのかも気になるしどうしよう。
また違うお料理も作れば全部取得できるし、今回はアルケミストのJOBにしよう!
【JOB錬金術師】を取得した。
するとメッセージが現れた。
『複数JOBを取得したのでJOB成長に必要な経験値は各JOBに振り分けられます』
あー、そうなんだ。
でも、どっちも有用なJOBだしこれはしょうがないよね。
前回のワイズマンも取得してからの詳細鑑定をしてなかったから、ちょっと鑑定してみよう。
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【JOB賢者】
取得した全ての魔法の能力を高める事の出来るJOB
JOBレベルに応じてJOB独自の能力を覚える。
魔法効果上昇
JOBレベル1 10% 結界
JOBレベル2 20%
JOBレベル3 30% 消費MP半減
JOBレベル5 50%
JOBレベル10 100% 覚醒JOB取得
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なるほどー覚醒JOBとか凄そうだね。
アルケミストはどうかな?
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【JOB錬金術師】
知能・運に補正
JOBレベル1 5% 錬成、錬金
JOBレベル2 10% 二種錬金、付与術
JOBレベル3 15% 三種錬金、魔道具作成
JOBレベル5 25%
JOBレベル10 50% 覚醒JOB取得
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凄そうなのは解るんだけど、どうやって使うのかがよくわかんないなぁ。
今できるのは、錬成と錬金かぁ。
知能と運に補正がつくという事は、このパラメーターが成功率とかに関係してくるのかもね?
実験の日々が続きそうな予感だなぁ。




