第111話 学校出来るんだって
杏さんたちがケニアに向けて旅立ち、劉さんたちも中国へ戻っていった。
私はとりあえず真面目に学校に行かなきゃね。
「先輩、日向ちゃん。おっはよーございます」
「希、おはよう」
希が迎えに来たので三人で学校へ向かう。
相変わらず、樹里さんと美穂さんの二人はガードについてくれてるよ。
でも二人とも毎日必ず顔を出してるけど、休みってどうなってるんだろうね?
すごいブラックな職場環境なのかな?
「日向ちゃん、新作動画はどんな感じなの?」
「うん、編集は順調に進んでるんだけど色々大きな事件が多すぎるし、今アップするのはどうなの? って感じでストックしてるよ」
「だよねぇ、でもさ、この間のおはぎとかだったら普通にアップできそうじゃない?」
「うん。おはぎの回は今日アップする予定だね。素材の採取も枝豆と小豆だし見せれないような魔法も使ってないからねー」
「植物系の敵は基本移動してこないから倒しやすいよね」
「私も金沢の攻略で一気にレベル上がったし、先輩にステータスも調整してもらったから放課後のダンジョン探索は連れて行ってね」
「うん、頑張ってもっとレベル上げようね」
「せっかくワイバーンジャベリンとメデューサヘアも貸してもらったし使いこなせるように頑張ります!」
学校に到着して希たちと別れ、教室に入ると由香が話しかけてきた。
「心愛、今日のニュースとか見た?」
「えっと金沢とか天津の話?」
「それもだけど、国会で総理が探索者の養成機関の話してたじゃん」
「ゴメン、それは見てないよ」
「なーんだ、その後のニュース番組で総理の言ってた養成機関がどういったものになるのかって話してたんだよね」
「へー、そうなんだ。で、どんなの?」
「中学卒業で入校できる高校と、それ以上の年代の人が入る専門学校を作るって言ってたよ」
「それって、もう決定なの?」
「どうだろ? ニュース番組に官房長官って人が出てたから、ほぼ決定だと思うけどね」
「どこに作るんだろうね? やっぱり東京なのかな」
「それも言ってたけど、金沢がスタンピードのせいで避難地域に指定されたでしょ」
「うん」
「そこの地域に作るって話だよ。実戦的な授業を中心に行いたいって話だし。でね、もし高校が出来るなら、私も転校したいんだよね」
「えー? 金沢とか通えないじゃん」
「全国から募集するんだから、寮くらいあるでしょ?」
「そうなんだ」
「心愛も高校ができたら一緒に行かない?」
「私は……本当にできたら考えてみようかな」
朝からちょっとびっくりするような話だったけど、前にダンジョンリフトの時の報奨金で養成機関作るとか言ってたし、きっとお金の出どこはそれも使われるんだろうな。
どんな事教えるのか、チョットだけ興味は沸くけどね。
今の学校だと色々秘密を抱えたまま過ごすのは無理もあるし、ダンジョン協会が主導する学校なら融通も効きそうだから一考の余地はあるかもね。
放課後になり、食堂に戻ると希たちと博多ダンジョンへ向った。
もちろん美穂さんと樹里さんも一緒だよ。
博多ダンジョンの攻略も現在は二十三層まで進んでいる。
金沢で二十九層までは経験済みの今の私たちにとってこの階層ではさほど危険は無く、日向ちゃんの武器攻撃の練習をメインに活動した。
この階層では様々なフルーツが採集できるんだよ。
お野菜の採集と大きく違う点は、フルーツは魔物じゃなくてダンジョン内に自生している植物なところだ。
リンゴや桃、ミカンにバナナ、柿やパイナップルなどの様々なフルーツの木が存在し、たわわに実をつけている。
「先輩、超美味しそうですね」
「だよね、でも季節感とか地域性とか丸無視で寒いとこの果物も暖かいところの果物もバラバラに実をつけてるのが不思議だよね」
「まぁダンジョンですから今更です」
「って危ない!」
昆虫系の魔物が木々の間を飛び交っていて、大きなスズメバチのような魔物が襲ってきた。
咄嗟にファイアランスを発動して退ける。
「巨大な蜂とか超怖いですね。あのお尻の針とか、下手なレイピア系の武器と変わらないサイズですよ。っていうか先輩、ファイアランスの威力がおかしくないですか?」
「あ、気づいた? 私、JOB獲得したんだよね。それで威力が大きく上がっちゃったみたい」
「え? JOBってどんなのですか?」
「フフまだ内緒だよー」
「いいなぁ。私もJOB覚えたいですー。槍の威力が上がるようなのがいいなぁ」
「槍だったらランサーとか竜騎士のJOBになっちゃうのかな? ゲームみたいな転職の神殿とか出たら面白そうなのにね」
「いいですね、それ。でも、今までは何か大きな変化がある時って大体、先輩が最初に知ってたじゃないですか? 今回のJOBシステムって唐突に現れてないですか?」
「だよね、希もそこに気付くとか凄いじゃん」
「でしょー、もっと褒めていいんですよ」
「恐らくだけどね、どこかで高ランクのダンジョンが攻略されたとかじゃないかな? って思ってるの」
「へぇ、そんな実力がある人が居たんだ」
「まだまだ世界中には私たちの知らない実力者がいるのかもね?」
メイド服姿で鞭を振る日向ちゃんも結構慣れてきたみたいで、意外に上手に魔物を倒している。
樹里さんはハンターボウで狩りをしているけど、美穂さんは相変わらず小銃に銃剣を装着した武器を使っていた。
「そういえば、美穂さんたちってカラーズになったんだから、希望の武器用意してもらえるんじゃないですか?」
「うーん、そうなんだけどね。樹里のハンターボウとか見ちゃった後だと、中途半端な武器を用意してもらうくらいなら、JOB付きの武器を手に入れるまでは手に慣れた武器でいいかな? って感じだね」
「そっかー、恐らく樹里さんと同じクラスの武器だとダンジョンボス撃破の報酬宝箱とかじゃないと望み薄かもしれないですね」
「だよねー、でも、これから先ってダンジョン攻略はなかなか難しくなるでしょうね」
「なんでですか?」
「ほら、金沢と天津でスタンピードが起きちゃったじゃない?」
「はい」
「最終層まで行って攻略できなかったら次の新月の日にスタンピード起こすってわかってる以上、許可を出す国なんて無いんじゃないかな」
「あー確かにそうかもしれないですね。でも何もしなくても常に一番攻略の進んでないダンジョンが新月の夜にスタンピードを起こすし、計画的に攻略は取り組まないといけないんでしょうけどね」
「私たちじゃ、そんな難しい事の判断はできないから、国やWDAの判断に任せるしかないよね」
「ですよね……今日は帰ってお料理もしたいから、そろそろ終わりにしましょう!」
「「「「了解でーす」」」」
みんなで果物を大量に収穫して食堂へと戻った。




