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「売れ残り確定の地味女」暴言男との婚約を拒否して、魔法学校に家出します!  作者: 藍銅 紅@『前向き令嬢と二度目の恋』2巻 電子2/10


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第33話 それはボクですよとアンディ兄様はあっさり言った

本日二つ目の投稿です


「あ、アンディ兄様……」

 ミュリエルの尋問に耐えかねて、わたしは逃げるようにして、一階の玄関ホールに行った。

 どうしよう。

 リアム様の名を出してしまった……。

 玄関ホールではいつものように、Sクラスのみんなでワイワイと魔法談議をしていて、もちろんアンディ兄様に扮したリアム様もそこにいるんだけど……。

 よろよろとしていたら、そんなわたしにリアム様が気がついてくれた。

「わあ! ニーナ! すごくかわいいね! 髪の毛も服も、ふわふわだ!」

 わわわわ! 

 褒められた!

 う、嬉しいけど、どうしよう!

「リアム様……、あ、えっとアンディ兄様……」

 助けて、と、潤んだ瞳で見つめたら、どうしたのかと、リアム様がわたしに聞いてきた。

「うっかり……、うっかりと、ミュリエルに、リアム様のお名前を出してしまって……」

 ぼそぼそと告げるわたしの声にかぶさるように、ミュリエルが好奇心むき出しの目で、アンディ兄様の姿をしたリアム様を見た。

「あ、アンディなら知ってるよね! ニーナのイイヒト! リアム様っていうらしいんだけど、それ、どこの誰⁉」

 ミュ、ミュリエルううううううう!

 どうしようと頭を抱えるわたしに、リアム様は「ああ……」と答えた。

 そのリアム様の様子を見て、更にミュリエルがヒートアップ。

「あ、もしかして、もう、兄公認の、ニーナの恋人だったりするのかな⁉」

 ミュリエルううううう。

 声が大きいいいいいい!

 ホールにいるみんなの注目を浴びるどころか、三階からマーガレット先輩たちも、走って降りてきたじゃない!

「ニーナの恋人⁉」

「それは聞き捨てならないわ! さあ、吐け! 全部話しなさい‼」

「うわあ、ニーナ、今日かわいいわね! 恋する乙女はかわいさ通常比三倍⁉」

「マーガレット先輩! スーザン先輩! カリナ先輩いいいいいい!」

 あああああ、もう! 

 こうなったら全部吐くまで収拾がつかないいいいいい!

 どうしたらいいのおおおおおお!

 なのに、リアム様は「あはははは。姦しいって言葉もどこか遠くの国にはあったけど、四人集まると更にすごいねえ」

 わ、笑っていますけど!

 わ、わたしがうっかりリアム様のお名前を言葉に出したからなんだけど。

 リアム様! 笑っている場合じゃないんですよおおおおおお!

「あのね、ミュリエル。それからマーガレット先輩にスーザン先輩にカリナ先輩。リアムっていうのは……」

 四人が一斉にリアム様を取り囲む。こ、怖!

「「「「知っているのねアンディ! さあ吐け! 一から十まで全部教えなさーい!」」」」

 四人に取り囲まれて、迫られているのに、リアム様は余裕顔。

「一も十もないよ。だって、リアムってボクのことだからさ」

「「「「へ?」」」」

 すうっと、リアム様がご自分の顔を撫でる。

 すると……アンディ兄様の顔から、元の……リアム様の彫りの深いお顔に、変化した。髪も、オレンジがかった赤色に。

「変身魔法でね、姿を変えたボクの名を、リアムってコトにしているんだよ」

「「「「変身魔法!」」」」

 えっと、リアム様、言っていいの……て、あれ?

 逆だよね。

 元々がリアム様。だけど、魔法でアンディ兄様になりすましている……んだけど。あ、でも、それを言うわけにはいかないから……か。

 リアム様は、わたしに「大丈夫だよ」って目配せをしてくれた。

「ちょっとね。用事で実家のフィッツロイ伯爵家に行かざるを得なくって。で、行くとさ、ニーナ、リチャードっていう暴言男との婚約を結ばせられるかもしれないだろ?」

「「「「うんうん」」」」 

「だから、ボクが、こうやって変身して。ニーナの恋人役になる予定。で、もう、恋人がいるからリチャードなんかとは婚約を結ばない。ボクとの交際を認めてくれないのなら、認めてくれるまで家出を継続するって、ニーナの両親に言いに行こうかと思ってさ」

「あ、なーんだ。リアムって、つまり、アンディの偽名なのねー」

「ま、そういうこと」

「ちぇー。ニーナに本物の恋人ができたと思って、根掘り葉掘り聞いて、盛大にお祝いしようと思ったのにいいいいいい」

「あははははは。ごめん、ボクで」

「いや、いいんだけど。それにしても、アンディの変身魔法って、すごいわねー。完全に別人じゃない」

「あ、そう? じゃあ、せっかくだから、フィッツロイ伯爵家に行くまで、ボク、この姿でいようかな。で、この姿の時は、みんなもボクのことは、アンディじゃなくて、リアムって呼んでくれる? ニーナにはこの姿に慣れてもらわないといけないからさ」

「オッケー! 了解!」

 と、マーガレット先輩。

「燃え盛る炎のようなオレンジ色交じりの赤い色の髪と瞳に、くっきりとした二重、鼻筋の通った彫りの深い整った顔立ちなんて、目の保養!」

「喜んで! 美形は大歓迎!」

 これは、スーザン先輩とカリナ先輩。

 ミュリエルも手を叩いて喜んでいる。

 で、男子たちはどうかというと……。

 眼鏡をくいっと押し上げながら、ジェームスが「リアムって、大魔法使いリアム・リードーマから拝借したのか、アンディ」って聞いて。

 リアム様が「うん。とっさに思い付いたのが、その名前で」と答えれば、モルダーが「何と安直な……」とため息を吐いた。

 すごい。リアム様、みんなを誤魔化し切った!

 Sクラスのみんなになら、本当はアンディ兄様は亡くなっていて、本物のリアム様だって言っても問題ないとわたしは思うんだけど……。

 アンディとして、過ごしたいって、言っていたものね……。

 多分、だけど、リアム様は、学校生活なんて送れなかったアンディ兄様の代わりに、アンディ兄様として過ごすことにしていたのかなあ。

 だから、正体は秘密のままなのかなあ。

 それとも……。本物のリアム・リードーマ様だと知られたら、また実験動物扱いに戻る……って、怖いのかもしれない。

 だから、わたしは、今ここでは、何も言えない。

 そもそもが、わたしがうっかりリアム様のお名前を言ってしまったミスによるものだしね。

 ごめんなさい、リアム様。

 ありがとうございます。




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