第21話 女友達とお買い物の、その後で
本日二つ目の更新です
マーガレット先輩、スーザン先輩、カリナ先輩、ミュリエル、そしてわたし。
魔法学校の馬車を借りて、みんなで馬車に乗って街に出た。馬車の御者も魔法学校の職員だし、護衛も二人も付けてもらったから、女の子だけのお出かけと言ってもかなり安心。
まずはわたしのアクセサリーを換金して、それから冬物の服とかブーツとかを、みんなできゃあきゃあ言いながら買いまくってしまった。
ああ、楽しかった。
で……。
買った荷物を乗ってきた馬車に詰め込むと……。
「あははははは。あたしたちが座るところ、なくなっちゃったねえ」
ミュリエルが笑った。
う……、確かに、座れない。というか、人が一人、狭いながらもなんとか座れるスペースしか空いていない。ちなみに護衛は、馬車の後ろに立つスペースがあって、立ち乗りだから問題はない。
「どうする?」
五人で顔を突き合わせて「うーん」と唸ってしまった。
馬車の御者も困った顔。
護衛たちもしかめっ面。
「仕方がないわね」
マーガレット先輩が、言った。
「私一人で先に荷物を持って帰るわね。そして、荷物を玄関ホールに置いて、それからまたみんなを迎えに馬車で街に来るわ。それまでの間みんなはどこかのカフェでお茶でもして待っていて」
え、それじゃあマーガレット先輩が大変。
「こういうことは年長者に従いなさいな」
マーガレット先輩が、ひらひらと手を振って、馬車に乗り込んだ。
いい人だなあ……。
馬車に乗せた荷物は、申し訳ないけどマーガレット先輩に頼んで、わたしたち四人と護衛の一人は、街の大通り沿いのカフェに入って行った。
***
カフェはそれなりに混んでいた。お客さんの入りは八割くらいかな。わたしたちは護衛も含めて五人なので、大きめのテーブル席に案内してもらった。
護衛は遠慮していたけど、マーガレット先輩が行って帰ってくるまでそれなりに時間がかかるからと言って、お茶だけは飲んでもらった。
カフェで、暴漢に襲われるような心配もないだろうしね。
で、スーザン先輩とカリナ先輩はコーヒーと軽食を、ミュリエルとわたしはケーキセットを頼んだ。
ミュリエルが頼んだケーキは、アーモンドの粉が入ったしっとりとした感じのスポンジケーキ生地にコーヒー風味のバタークリームを挟み、更にケーキの表面にチョコレートでコーティングをした艶やかな光沢を出したものだった。
ブライトウェル魔法王国の伝統菓子なんだって。
へえー、こんなケーキがあるんだ。
わたしはタルト生地にプリン液を流して焼成したプリンタルトを頼んでみた。サクサクのタルト生地になめらかなプリンが合わさって、すごくおいしい!
「……ねえ、ねえ。ニーナのプリンタルト、おいしそうね」
ミュリエルが期待に満ちた目をしてわたしを見た。
「食べてみる?」
「いいの⁉ ありがとう!」
満面の笑顔になった。
そして、プリンタルトを口に入れた途端、「んー、おいしい! ジタバタしちゃう!」って、手で頬を抑えてた。
あはははは、ミュリエル、子どもみたい。
「はい、お礼にニーナもあーん」
わたしも、ミュリエルのチョコレートの伝統菓子を一口でパクリ。
ふわあ~。チョコレートの風味が口いっぱいに広がる。
「おいしいいいいいいい!」
ジタバタはしないけど、したくなるほどのおいしさ。
そうしたら、スーザン先輩とカリナ先輩も「デザートにケーキを食べるわ!」とメニューをがっつりと見だしたの。
「あ、先輩。追加注文するのなら、ついでにと言っては何ですけど、マーガレット先輩にお土産というか、お手数をおかけしましたって感じに何か持ち帰りできるものを頼みませんか?」
「ニーナ、ナイスアイデア!」
「そうね。大変なことを引き受けてもらっちゃったから、そのくらいしないとね」
スーザン先輩とカリナ先輩、ミュリエルとわたしで、ああでもないこうでもないと言いながら持ち帰りのケーキを決めた。
決めて注文した後、ふっと、どこからか視線を感じた。
あ、騒ぎすぎちゃって、他のお客さんに迷惑をかけちゃったかなと思って、わたしたちは「騒いですみません!」と四人そろって頭を下げた。えへへ、ちょっと失敗。でも楽しいね、こういうのも。