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「売れ残り確定の地味女」暴言男との婚約を拒否して、魔法学校に家出します!  作者: 藍銅 紅@『前向き令嬢と二度目の恋』2巻 電子2/10


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第16話 Sクラス校舎兼寮のお屋敷で

「あー、この魔法学校の場所はな、むかーし昔、ブライトウェル魔法王国になる前、ウェルー王国という国があって、その国の王城があった場所だ」

 中庭を抜けながら、ハイマン先生がいろいろと説明をしてくれた。

「ウェルー王国っていうのは、魔法が盛んだったらしいんだが。どういうわけか、一夜にして王城が崩れ落ち、王様も王妃様も兵士たちも、王城にいたものは全員死んでしまったらしい」

 わたしたちは、ハイマン先生の説明を聞きながら中庭を抜けて、その先の別の建物に入って行った。

「そのとき、たった一人生き延びたのが、かの伝説の魔法使い、リアム・リードーマだ。彼が、その崩れた城を魔法で作り直したらしいぞ。ただし、王城を再現したのではなく、一般的な領主の館程度の屋敷を、いくつもいくつも作ったそうだ。まあ、なんでそんなふうにしたのかは、所詮伝説だからわからないけどな。今、この魔法学校では、その屋敷を校舎として使っている」

 ハイマン先生の説明を、わたしは「へえ、そうなんだー」と感心しながら聞いていた。

 確かに、うちの伯爵家と同じくらいの大きさの、庭付きのお屋敷が、一列になって十棟くらい並んで建っている。

「……だけど、ハイマン先生。それって、伝説で、本当のことかどうかはわかりませんよね?」

 アンディ兄様が控えめな声で言った。

「ああ、もちろん。元々王城があったが、なんらかの理由で壊れたから、城を再建するのではなく、そこに街を作って、有力貴族が住み着いただけかもしれんがな」

 伝説の魔法使いが作った街……なのかもしれないし、そうじゃないかもしれないのね……。

 そんな話をしながら、結構長いこと歩いて、ようやく青い屋根のお屋敷に着いた。

「ここが、お前たちの……というか、Sクラスの教室と生活の場になる。ちなみにお前たち一年生だけじゃなくて、二年生と三年生も、ここで授業をして、寮生活をしている。Aクラス以下の生徒たちは別の場所な」

 案内されるままに、お屋敷の中に入る。

 玄関を入るとすぐに広い玄関ホールがあった。玄関ホールには暖炉があって、一人用のソファや椅子がいくつも点在している。長椅子もテーブルも十以上。たくさんある。カフェみたいな感じ。店員さんはいないけど。

 そこには、何人かの生徒と思しき人たちがいた。本を読んでいる人もいるし、何人かで談笑している人達もいる。

「ハイマン先生、新入生ですか?」

 本を読んでいた、ひょろりと背の高い男の人が、立ち上がって聞いてきた。

「ああ、そうだ。あとで部屋の案内を頼む」

「わかりました。新入生の皆さん、初めまして。私はレイ・ジーン。学年は三年。一応、ここの寮長的なこともしている。何かあったら相談に乗るから気楽に聞いてくれ」

 レイ・ジーン先輩はにっこり笑った。

「階段を下りて地下は食堂や洗濯室。階段上がって二階が男子部屋の階。三階が女子部屋の階ってことになっている。だから、三階は男子禁制。入ったら、即停学」

 黒髪眼鏡のジェームス・クロフトンと童顔のモルダー・スチュワートが、二人同時に「うわっ」という声を上げた。

 水色髪のミュリエル・テレスが右手を上げて、ハイマン先生に尋ねた。

「じゃあ、女の子が二階の男子部屋に入るのもダメってことですか?」

「まあ、そうだな。生徒同士の交流は、すべて一階っつうか、ここのホールでするように。一階にはホール以外にも図書室も学年別の教室もあるし、中庭も広い。わざわざ個室に入って不純異性交流をしなくてもいいだろ」

「そうねー、あたしたち、魔法を学びに来たんだし、不純異性交流なんてしている暇、ないもんねー」

 ミュリエル・テレスがあっけらかんと笑って言った。

 そんな感じで、Sクラス用の校舎兼寮である屋敷の説明を受ける。

 ちょっと疑問に思ったことがあって、わたしもミュリエル・テレスを真似して右手を上げてみた。

「あの……この学校って、S クラスはSクラスの皆さんとだけ、交流する感じですか? AクラスとかBクラスの生徒さんたちとは……」

「あ、ああ。それな。Sクラスだけは特別扱いなんだよ」

 特別……? 

 わたしは首を横に傾げてしまった。

「Aクラス以下は、ごく普通の学校生活と変わらない。朝、自宅とか寮とかから登校して、それぞれの教室で学ぶ。放課後になれば、それぞれ自宅か寮に帰る」

 うんうん、それが一般的な学校生活だよね。

「だけどSクラスはうちの学校でも特別だ。一年、二年、三年生、各五人ずつ、この屋敷で共同生活をして、魔法の英才教育を受ける感じだな」

「英才教育……」

「当然Aクラス以下の生徒たちとは足並みはそろわない。Sクラスは才能特化型だ。やりたい魔法の研究だけを三年間みっちりやらせる。ああ、たまには一般常識教育もするけどな」

 Sクラスだけは学校というより、全寮制の私塾的な感じ……なのかもしれない。

 うん、ちょっと変わっているけど。魔法だけ勉強するにはすごくいい環境なのかも。

「必要があればAクラスとかの生徒と交流もできるが。三年間、このSクラス専用の屋敷から一歩も外に出ないで過ごすこともできるぞ」

 昔は実際にそんなやつもいたと、ハイマン先生がつけ加えた。

 わあ……。なんて言ったらいいんだろう……。でも、家出先としてはある意味理想かも。引きこもりのまま、外出しないでも、生活できちゃう。

「まだまだ案内する場所はたくさんあるんだが……、そろそろ食事の時間か。レイ・ジーン、新入生たちを食堂に連れて行ってくれ」

「はい、わかりました。みんな、こっちだよ」

 レイ・ジーン先輩に続いて、わたしたちはぞろぞろと階段を食堂まで下りて行った。




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