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第52話:サウプトンの決着。そして終戦へ。

「えっ、マーサ様・・・?」

「どうしたんだファウナ」

「ユーノ様、マーサ様にかけていた加護が消えたのを感じました・・・」


ユーノは、サウプトンの陣営のテントで急に取り乱し始めたファウナの様子が心配になって声をかけていた。

「マーサ様に何かあったのかもしれません!オーランドに向かいます!」

「ファウナ!落ち着け!加護が消えただけだろう?」


ユーノは内心不安を感じていた。体験したからこそわかるけど、ファウナの聖女の加護は非常に強力だ。スパイン帝国の無敵戦隊が使った補助魔法を解除する呪文も難なく跳ね返していた。それが消えた?

「そうですけどそうじゃないんです!」


その様子に、テントの中で騎士団長ギデオンと戦況を確認していたマーサの父ルイスがそばにきた。

「まぁまぁ。ファウナちゃん、わたしの娘を気にかけてくれるのは嬉しいけど、ああ見えてとても頑丈だから大丈夫じゃないかな?」

公爵としてではなくて、娘の友人に接する態度だ。

「ルイス様・・・そうは言っても!聖女の加護が解除されるのって、加護と同程度の威力の魔法をその身にうけるか、その、、、加護の対象者の生命活動が停止した時なんです・・・」

今にも泣きだしそうなファウナの様子も相まって、一瞬ルイスの目に動揺が走ったがすぐに隠れた。

「そうか・・・アルマにかけてくれた加護はまだあるかい?」

「アルマさんの加護は消えてはいないと思います」

「アルマならマーサを守ってくれるだろう。母のしごきにもついていけてるようだし」

「あのアルマさんがマーサ様がそれほどの傷を負うのを見逃すとは思えませんけど・・・」

「それにマーサのことだ、とんでもない魔法を使おうとして、案外自分自身で解除してしまった可能性もありえる」

「それは、確かにありえますけど・・・」

ファウナはマーサのことを思い浮かべた。あの友人はたまに色々とやらかす。自分の魔力で聖女の加護を解除してしまった可能性も正直十分ある。


「ファウナちゃん、娘の心配をしてくれるのは素直に嬉しい。けれど、今ここでわたしたちが自分たちの役割を放棄する方がマーサに怒られてしまうだろう。わたしたちはわたしたちで今すべきことをやろう」

「・・・わかりました。でも、戦況が落ち着いたらすぐにでもオーランドの様子を確認させてください」

「ああ、わかった。わたしも同行する」

ルイスは穏やかな表情でファウナに答えた。これがアクトゥールの覚悟だと言わんばかりに本心を完全に押し殺して。



そこに伝令兵が駆け込んできた。

「ユーノ殿下、ギデオン様、ルイス様、敵兵の一部が離反した模様です!我が軍に共闘を求めてきています」


3人が目を合わせる。

「ついにか!」

「ギデオン様、ついに、とは?」

伝令兵が戸惑った様子で騎士団長に聞いた。


「いや!スパイン帝国は圧政を敷いていると聞いていたからな、戦況が膠着すれば忠誠心の低い部隊は離反するかもしれないと思ってな!」

「それもそうですね、ではわたしは他の方々にも伝えに行きます!」


伝令兵と入れ違いに、嬉しさを隠し切れていないエフィーがテントに入ってきた。

「皆様、ごきげんよう。アイフィルト様が帝都でクーデターを成功させました。スパイン帝国のほとんどの実権を握ったようですわ」

この事実を知っているのは一握りだ。他国への内政干渉で下手すると国際問題になってしまう。もちろん魔法師団長マーリンもここまでは知らされていない。今はいつものように戦場で遊んでおり、この場にいなかった。


「エフィー、報告感謝する。アイフィルト殿を捕まえに行くことにならずに済んでよかったな」

「お兄様、お戯はそれくらいに。敵が浮き足立っている今が勝機です」

エフィーをからかったつもりが完全にスルーされたユーノは残念な様子を出しながらもギデオンとルイスと方針を相談した。

「ユーノ殿下、確かに今が攻め時です。スパイン帝国の離反兵と我々で挟撃し、自分たちが優勢だと思い込まされてノコノコ戦場に出てきた元皇帝陛下と第一皇子に仕掛けましょう」

「アクトゥール公爵、そのとおりだな。ギデオン騎士団長もこの方針でいいか?」

「もちろんです。無敵戦隊もだいぶ減ってますし、一気に攻められるでしょう。それにしても、無敵戦隊という名前の割には手応えが微妙でしたな」

「そう言うなギデオン。南中央大陸の統一戦争以降まとな戦闘や鍛錬をつんでこなかったのだろう。権力に胡座をかいていたつけで劣化したんだろう。前回の戦争でも数人見かけただけだったぞ」

「それはそれで残念だな。全盛期と戦いたかったぜ」

「騎士団長、戦闘狂は抑えてくれ。2人に相談がある。スパイン帝国は他国を一方的に蹂躙し、内政も権力を振り翳す独裁だ。感覚的にわたしのジャスティスの対象にできると思う。特に権力の犬に成り下がり実際に民を虐げていた無敵戦隊は確実に対象となる」

そこでユーノは婚約が内定しているファウナをチラッとみた。

「この戦争を早く終わらせたい。ジャスティスを作戦の要にそえてもいいだろうか?」

ルイスとギデオンは少し考えたそぶりをみせ、ギデオンが答えた。

「わかりました。ユーノ殿下のジャスティスを皮切りにして、総攻撃をかけましょう」


ユーノが戦場に向かおうとしたところをファウナが呼び止めた。

「ユーノ様、少し屈んでいただけますか」

「?わかった」

ファウナは胸の前で両手を合わせ、魔力を練った。

「我、聖女の名において汝に力を授けん」

そして、屈んでいたユーノの額にキスをした。

「ファウナ!?」

突然のことでユーノは動揺している。

「体の調子はどうですか?」

「すごい!今までにないくらい体の底から力が漲ってくるようだ!これは?」


「聖女の誓いとよばれるものです。潜在能力を最大限引き出した上でさらに強化します。今やったように聖女の魔力を分け渡すこともできます。強力な補助魔法ではあるのですけれど、その反面、対象は生涯に1人しか選べないんです。効果も長続きしないので、かけ直しを前提にするか、短期決戦向けです」


ユーノは、生涯に1人、という言葉に反応して浮かれ上がりそうになったが、目の前のファウナの表情をみて気を引き締めた。

「ユーノ様、お願いですから絶対に無事に帰ってきてください」

「あぁわかった、無傷で帰ってくる」

ファウナはマーサ嬢のことが今でも頭にあるようだ。俺まで心配をかけるわけにはいかない。



やる気に満ち溢れたユーノが固有スキルジャスティスを発動させ、光の剣が現れた。歴代トップクラスの聖女の補助魔法を一身に受け、光の剣をふるいながら戦場を駆ける様子は、さながら勇者のようで、ユーノはスパイン帝国の無敵戦隊を壊滅させた。


スパイン帝国の新皇帝派の兵と協力したユースティティアの兵により追い詰められた他のスパイン帝国の部隊は投降し、スパイン帝国の元皇帝と第一皇子も捕虜となった。


スパイン帝国の侵攻により始まった戦争は、ここに幕を閉じた。

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