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6.天才

今日は早稲田ゴルフスクールが休みで、麗奈ちゃんと約束をしたパター練習をする為、練習場に10時に練習場を訪れた。


「麗奈ちゃんおはよ~!」

「しゃちょう、おはようございま~す」

「れな、昨日たのしみで寝れなかったの」


「そうか~パター楽しみだったんだね。今日はいっぱい、やっていいからね。」

「麗奈ちゃんこれがパターだよ。」

「あ~ほんとだ!杖の反対みたい。」


「さあ、あそこに穴が空いてるでしょ、あそこに少ない回数で入れられた方が勝ちだから。」

「しゃちょうやろう!しょうぶ、しょうぶ」


この日の為に抜かりなく哲也はジュニア用のパターを用意していた。小さい身体で一生懸命、パターとボールで練習している姿はとても愛らしく映った。


「やったーはいったー!」

「麗奈ちゃんは上手いね~、すぐに覚えちゃうんだね~、すごい天才だ!」


「れなうまい?ほんとう?」

「れな、もっとやる~!」


スポーツや習い事の基本!最初は死ぬほど褒めること。

なんでもそうだけど好きにならないと長く続けられるものではない。

教える人間は難しいことなど言わなくていい、最初はたくさん褒めて好きになってもらわなくてはならない。教えるのは本人が知りたいと思ってからでいいのだ。


「智子さんも上手いですね~。本当に初めてやったんですか?」

「社長、ゴルフって面白いかもしれないですね。」


しめしめ。あまりに思い通りに行き過ぎて、こっちが楽しくなってきた!


ゴルフ初心者は最初、パターから始めた方が良い。

いきなり打ちっぱなしに行っても上手く当てられないし、力が入り手にマメができる。


そこですぐに脱落していく初心者ゴルファーは多い。


「しゃちょう~、れなね~1回でいれたいの。」

「でも、まっすぐにころがってくれない。なんで~?」


「麗奈ちゃん、パターの平らな部分がわかるね?ボールに当たった時、この平らな部分が右を向いていれば右に行くし、左を向けば左に行ってるんだ。真っすぐ打ちたいなら真っすぐにすれば良いんだよ。」


「しゃちょう、わかった~!れなやってみる。」


それからしばらく麗奈ちゃんはブツブツと独り言を言いながらパターの練習を続けていく。


「社長、すみませんね~、麗奈は3歳ぐらいから、あ~やって一人で積み木をしたり、子供用のパズルを組み立てたり。夢中になっちゃうと全然やめないんですよ。」


「智子さん、麗奈ちゃんは天才かもしれませんよ。」

「はい?どういうことですか。」


「天才って、どういうものかわかりますか?なんでも急にできちゃうことでは無いと思うんです。」

「天才というのは努力し続ける事だったり、やり続けられる集中力だと思うんですよ。」


「麗奈ちゃんは打ち方を教えたわけでもないし、こうしなさい。ああしなさい。と言われなくても自分で考えて練習をしている。」


「普通の小学校3年生だったら、上手くいかず、すぐに飽きちゃうもんなんですよ。」

「智子さん、麗奈ちゃんをプロゴルファーにしてみませんか?」


「はぁ~、私には全然わかりませんが、社長がそこまで言うのなら成れるのかもしれませんが、麗奈が果たしてそこまで、できるかどうか。」


「そうですね。一番は本人次第ですよね。今は集中してますが、すぐに飽きるかもしれないし、他にやりたいことができるかもしれない。」


「麗奈ちゃんが、どこまでゴルフを好きになるか見守りましょう。」


朝から始めたパター練習だったが、お昼を食べて午後もパター練習を続けている。


夕方になりやっと

「しゃちょう~、れながんばったけど、まっすぐいかない。」

「れな、1回で入るまでパターやりたい。あしたも来て良い?」


「ああ、いいよ!ここは麗奈ちゃんの秘密基地にしていいから!」

「ゴルフの岡本先生がいない日はいつでもやっていいよ~」


明日も、岡本先生はラウンドレッスンで出張だ。


「やった~!あしたも、しゃちょうくる?」

「明日もくるよ!また明日パターやろうね~」


まさか初日からこんなにハマるとは、前世は翌日、先生のレッスンで出来なかったんだよな~


この子はきっと上手くなる。

俺が本気で導いてあげなければならない。


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