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4.恩返し

前世でもやっていた心和流通の社長ポジションに戻ってきた。


これから会社の立て直しをしていかなくてはならない。

前世では一人で改革を行い、労力が足りずに大変な思いをしたが、今回は右腕となる小林も仕事を辞めて合流し、手伝ってくれるのでかなり楽になるだろう。



「こばやし~、今日からこばさんでいいや!会社汚ね~だろう。

これから、この掃除ができない人が寄生してしまったような会社を綺麗にしないといけないんだよ。マジで大変だよ。」


「うへぇ~、これは酷いですね~。物は散らかってるし、インフラはショボいし。」


「こばさんよー、これを一人でやるわけじゃないからまだマシだよ。」


「社長!こんなの俺一人だったら絶対、無理ですよ。」


「無理だと思ってもやらなくちゃいけないのが経営だ。零細企業の社長は大変なんだよ。」


「他の社員はいるけど、みんな実務でテンパってて、できないんだよ。俺たちは入ったばかりだ。実務はいいから掃除から始めるぞ!」


「前の会社より自分でもできる事が多いし、やりがいはあります!」


「おお!その意気だ!期待してるぜ。こばさん!」



この後、会社の改革は大変だったが会社は順調に伸びていくことになる。

核となった大手製薬会社から大型案件を受注することになり、寝る間も惜しんで仕事をする。

売上と利益が積み上がっていき会社は蘇って行った。


大型案件の納品立ち合いで大阪に行き、人生初となるフグを堪能し、夜の街に繰り出し北新地やミナミで派手に遊び楽しい思い出を作ることになるのだが、今回はこばさんに行かせることにした。


大阪に行って羽を伸ばしてこい!お前に彼女ができるのはもう少し後だ。



2017年 夏


会社は順調に伸びて行ったが、これが続くのもあと2年だ。

19年には大型案件が無くなり、20年にはコロナがやってくる。

人生、良い事ばかりではないし、記憶があろうとも回避できない事もある。


そんな中、一人のパート女性から話しを持ちかけられた。


「社長、ちょっと良いですか。」

「あ、いいっすよ。どうしました?」


「実は最近、旦那と離婚しまして、子供を育てていくのに今のままでは金銭的に厳しいんです。一生懸命がんばりますので社員にしていただけないでしょうか。」


おっとフラグ来たな!このタイミングだったな~


「二階堂智子」この数年後に奥さんになる人だ。


「いいっすよ~。そういうことなら全然社員でもかまいません。

智子さん大変だったでしょ~。俺も離婚経験があるから大変さはわかりますよ。

大変な時はみんな持ちつ持たれつで行きましょうよ!」


「社長、、、ありがとう、、ござい、ます。」


「そんな目を真っ赤にしないでも良いですよ。本当に大変だったんですね~

娘さん、麗奈ちゃんでしたっけ!今度、一緒に焼肉でも食いに行きましょう!」



前世の記憶が蘇る。

この先の2020年は本当に最悪のド真ん中にいた。

コロナが上陸した途端にイベント系に関わる流通案件の仕事をしていたので電話の鳴らず、メールも来ない静まり返った日々が続き売上は落ち込んで行った。


月を越えるたびに借金は膨れ上がる一方で、たとえコロナが終わろうとも抱えた借金を返せる当てが見えずに潮時だと悟った。

そしてすべてを諦める決断をした。

地位も名誉も金も家もお客様もすべてを失い途方に暮れていた。


会社の倒産処理をしている中、彼女は最後まで残り手伝ってくれた。


彼女は私に「社長、行くところがないなら、うちに来ればいい」と救ってくれた。


何よりも大切なお金では買えない物をくれたからこそ、もう一度、希望を持つことができたのだ。



今回は最悪は訪れないけど、私は貴女に救われたことをしっかりと覚えている。

だから今回の人生では心から恩返しをしなくてはならない。


こうしてしっかりと家族フラグも立て繋がりを作った。


準備の時間はもう少しだ

あと数ピースはめ込めばリスタートのパズルが完成する。






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