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ハオトの魔王  作者: 月
33/38

第3章-3

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-カーメリ―バカラ侯爵邸-

 「バカラ侯爵、リト殿、ご出立の準備はよろしいでしょうか?」


 マイルズ子爵は厳かに両名に声を掛ける。先日訪れた際に紅の瞳を見られたことを皮切りに、先ずバカラが膠着し、対するマイルズ子爵はにんまりと上機嫌な様子であった。とどのつまり、わたしは探していた魔王の因子であり、今回ていよく見つかってしまったわけだ。とはいえ、その後具体的に何ができる訳でもなく…、いやバカラからは、確かに数日は夜逃げの算段を付けられたわけだけど、それに対してうんとも言えないなんともしがたい空気であったため、気が付けば各国の集まりに参加する日を迎えてしまったのだ。

 

「…リト様如何でしょうか。何か重大な御用時などございませんか」


 どうにかしてでも招集を避けたい様子のバカラに、逆に行ったらどうなるのだろうと好奇心が湧いてくるのは人の性なのだろうか。


「バカラ、大丈夫。マイルズ子爵、準備は大丈夫です。えーと会議には転移で行くんでしたよね」


「ええ。8か国の長及びその側近2名を定めておりますが、今回リト殿は魔王の因子ということで特別な枠にあたります。本来バカラ侯爵がカーメリーの一番上になるのですが、これまでの参加状況などを加味して、私が代理としてのトップとした上で、バカラ侯爵とセブンス子爵を同伴することとなっております。因みに参加者は25名の予定でドネスという国の会議室に転移を行います」


「セブンス子爵?」


「彼には先に会議が催されるドネスに向かってもらい、説明をお願いしております。こちらは会議の定刻5分前に転移で移動することとなります。いくつか会議では規則がございますが、先ずはおしゃべりを控えて頂ければと存じます」


「分かったわ」


 短いやり取りの後、バカラを伺うと気まずそうな表情でこちらを見ている。


「わたしは大丈夫よバカラ。そんな顔をしないで」


「ですがリト様」


「バカラ侯爵のそのような姿を見ることは実に珍しいものですね。…っとさて、定刻が近くなって参りました。バカラ侯爵、リト殿。ご両名とも私の肩に手を置いてください」


 一瞬バカラの雰囲気が変わったが、すぐに霧散した。わたしのことよりもバカラが何かしでかさないか不安となり、自分のことが疎かになりそうだ。そもそも私自身のことなのにと他人事のように感じている。転移についてはバカラもできるのだが、逃げないように釘を打ったのであろう、マイルズ子爵が転移を行ってくれるそうだ。


「よろしくお願いします」


「…」


「では、移動します」


 一瞬で3名が消えた後、バカラ侯爵邸の皆々はそっと顔をのぞかせて消えた場所を覗き込む。ピアニッシモ、首無し族の執事、その他の侍従の皆は、不安な面持ちで侯爵邸の主と主の客人を待つことになったのだった。


初投稿となります。

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