5.遭遇
リベラシオンⅡ号はスレイドが思っていたよりずっと古びた印象だった。外板は度重なる宇宙塵の衝突のせいか細かい凹みが各所にあり、宇宙線による劣化も激しい。中に入ると更にオンボロ感が強まり床に引かれたカーペット等はすでに色あせてあちこちが擦り切れている。そして何より、狭い。
船は2階建て構造になっており、上階最前部にあるブリッジを抜けると狭い廊下があり、右が船長室、左は宙図室になっているようだ。短い廊下の先にハッチがあり、それを抜けるとテーブルが1つに4脚の椅子しかない部屋に出た。小さなキッチンが付いていて、どうやらここが食堂兼共用娯楽室といったところか。食堂を抜けると両側に小さな仮眠室が一つずつあり、その後ろが機関室らしい。リベラシオンⅡ号は小さくても恒星間貨客船なので、機関室は全長の半分以上を占めている。
仮眠室前の廊下の床には円形のハッチがあり、取っ手を引くとハッチが持ち上がり、階下に降りる鉄製の垂直梯子がみえた。3人と1機が梯子を降りていくと、そこは全通式の倉庫になっていた。倉庫は船体側面の大型ハッチから貨物の搬出入を行うようになっているらしい。倉庫はパーティションで申し訳程度に区切られるようになっており、左舷後部の隅にトイレが1つだけ設置されている。床にはマットレスや毛布、食料品のパックなどが散乱し、饐えた匂いがこもっている。
「こんなところに押し込められていたのか・・・」
クライトンの声に怒りがこもる。
「これで登録上は定員50名なんて言ってるんですからね。いったいどうやったらここに50人詰め込めるのか」
ウォラフソンが肩をすくめた。
スレイドは2人から離れ、ぶらぶらと前方に向かって歩いていった。左舷貨物用ハッチのすぐ脇に高さ1m、奥行き2m、幅50cm程の膨らみがあり、スライド式の扉が付いている。貴重品や食料品等をしまう棚だろうか。
カタン、微かな音を聞いた気がしてスレイドは足を止めた。気配を感じてスレイドが振り返るといつのまにかウォラフソンがハンドガンを抜いて立っている。彼はスレイドを左手で制し背後に押しやると扉に向けて銃を構えた。
「ヒューイ」
呼ばれたヒューイが近寄ってくる。
「この扉を開けられるか?」
「お任せください」
ヒューイは胴の正面の蓋を開けるとそこからアダプターのようなものを取り出し、右腕の先端に取り付けた。チュイィィィン。スレイドとクライトンは目を剥いた。合鍵のようなものを使うのかと思っていたら、ヒューイはなんと強引にも鍵の周りを超硬カッターでまるごとくり抜いてしまったのだ。しかしウォラフソンは眉ひとつ動かさず扉にハンドガンの照準を合わせている。
「よし、ヒューイ、扉を開けろ。ゆっくりだぞ」
ヒューイが扉を左にスライドさせると、ごろん。3人がはっと息を飲む前に転がりだしたのは1人の子供だった。歳の頃10歳ぐらいだろうか、意識を失いぐったりしている。