世の中に氾濫する寝取られモノのエロ広告に発狂した男が喚き散らすオデン屋
フィクションです。
ネットサーフィン中にうっかり寝取られモノのエロ広告をクリックしてしまった男は、奇声を上げながら客のいないオデン屋台の暖簾をくぐると「熱燗!!!」と絶叫した。
程なくして、縁の欠けた質素なおちょこが突出される。男はグイーッとそれを飲み干し、店主に突き返しながら喚いた。
「店主!!なんで世の中に溢れるエロ広告は寝取らればかりなのよ!!!」
「ハァ。イヤならクリックしなければいいのでは」
「クリックしなくてもしつこいじゃん!!!」
男は駄々っ子のように喚いた。
「どこいっても坊主頭の友達に好きな子寝取られる広告が追いかけてくるんだよ!!なんなんだよ純愛じゃダメなの??あと最初表示されてないのにジワ~っと画面中央あたりに出てきてこれまたジワ~っと下に逃げてく広告やめてくんね!?押しちゃうじゃん!!間違って!!」
「誤タップは仕方ないにしても、坊主頭は気にしなければいいのでは」
「なんか気になるじゃん!!絶妙に!!」
知らんがな。
「サバサバデブ女の広告とかもそうだけど広告見てるだけでなんとなくストーリー分かっちゃうじゃん!?つーかあのサバサバ女左遷されてどうなっちゃうの??本編見てねえのに気になるんだよクソ!!」
知らんがな。
「サバサバデブ女はさておき、あれだけ広告を打っても採算が取れるくらいNTRはジャンルとして強いのでは」
「その【NTR】とかいう略称をヤメロ!!!!!!」
絶叫。
「【NTR】とかポップに略したってやってることは人面獣心、人のものを取ったら泥棒!!」
「坊主にNTRれる例の広告もそうですけどアレ別に彼女とかじゃないんで、主人公のモノじゃあないんですよ。そういうジャンルはNTRカテゴリの中でも【BSS】と呼ばれていまして僕が・先に・好きだったのにという言葉の略称で……」
「そんなものは知りたくもない!!!」
発狂。
「先程から店主、妙に寝取られジャンルに肩入れするな。もしや・・・・・・」
店主は無言で大根をいじっている。
「店主!!【旦那の遺影の前でXされて・・・】というタイトルのAV、感情移入する相手は!?」
「そりゃ遺影でしょう」
「ギャーーーーッ、この☓☓☓☓が!!!」
男は獅子の構えで店主を威嚇。
「普通は死んでるものに感情移入なんかしませ~~ん。尻尾を出したな寝取られ趣味め」
「え、じゃあ間男で」
「この△△△の☓☓☓☓が!!!そんな倫理観のない男に感情移入できるあたりやっぱり貴様は寝取られ趣味」
「う~~ん、じゃあ女優?」
「はい寝取られ趣味」
「なんて答えようがダメじゃないですか」
「常人はこのジャンルの誰にも感情移入できないはずなのだ。つまり貴様は異常者」
「そんな暴論」
「暴論ではない!!寝取られとは単一の性癖を指すのではなく複数の異常性癖が徒党をなして形成されているのだ。さながら群体毒毒海月カツオノエボシ。
先の質問、誰に感情移入してもダメなのだがまず遺影に感情移入する奴。こいつがタイプA。【寝取られる】という行為そのものに興奮している真性のマゾヒストだ」
「惨めな自分に興奮するということですか」
「そうだ。友人にこのタイプがいたが、間男に殴りかかって普通に暴力で撃退されて涙を飲むシーンが欲しいとのたまっていた」
「そこまで行くとただのホモでは」
「続いてタイプB。間男に自己投影するタイプ。これはまあ生物的には最も理解可能であるが、倫理的にどうなのだといった感じ。というかこいつを寝取られ好きに含んで良いのかは疑問があるが、それでもこいつらは寝取られを好んで見ている」
「まあ、普通のAVとして楽しんでいるのでは」
「何でわざわざ!!被害者がいるような作品を好んで見るのだ!!サディズムの暴走!!こいつらは戦争になったら確実に☓☓するような倫理を欠いた鬼畜だ!!」
「そこまで言わんでも」
「そしてパターンC!!最も意味不明な奴ら!!」
「女優に感情移入するパターンですか」
「こいつらは【女性の淫乱性】に興奮するのだ!!一皮剥けば女なんて・・・・・・などと現代倫理から甚だ乖離した邪まな妄想で股間を膨らませる。快楽堕ち・闇堕ち・薬物・触手・連続強制絶頂・デスアクメなどの危険性癖を併発している可能性が非常に高い」
「分かるような分からないような。デスアクメって何?」
「とにかく、寝取られとはこの三派閥が集まったトリニティなのだ。全員異常性癖者。そしてさらなる異常性癖を発生させるゲートウェイ・性癖でもある。違法薬物界で言う大麻みたいなもんよ。
こんなキケンなものをポコポコと広告で出していいのか。いいやいいはずがない。世の青少年たちの性癖はねじくれ、異常者が大量跋扈し練り歩く」
「ハア。ガンモどうすか。」
男はようやく自分がオデン屋に居ることを思い出したのか、矢継ぎ早に注文し、ガツガツと貪り食った。全て平らげ、ゲップとともに男は言う。
「そこで私は【ソフト寝取られ】を提唱する」
「なんですかそれは」
「極めてマイルドに調理された寝取られだ。まず寝取られ被害者は存在するが、その作中存在感を極めて薄くする。人物としてではなく舞台装置として登場させるのだ。
具体的には、人妻がガンガンバックで☓されている所に電話がかかってくる。そう、電話越しのみの登場だ。【あ、あなた・・・・・・ええ、大丈夫、今ちょっと運動してて・・・・・・ンンッ】そんなスパイスとしての」
「それただの人妻モノじゃないですか」
「寝取られてるだろう!!なぜ否定するのだ!!この原理主義者が!!いいか、今や世界的宗教であるキリスト教は厳格過ぎるユダヤ教をマイルドにして愛を説いたキリストによって提唱された。私はこのソフト寝取られを布教するためなら磔刑に処されても構わん。俺をロンギヌスで刺してみろ、オイ。このままでは日本のネット広告は寝取られに支配されるのだ。そんなことになってみろ。ただでさえ異常性癖に満ち満ちたこの国はただちにエロ修羅の国と化すぞ。ちょっと寝取られに苦言を呈したらTwitterが大炎上して卒アル晒される時代が来るぞ。配偶者の不貞を裁判所に訴えたら司法は既に寝取られ一派の手に落ちていて逆にこちらが投獄される未来が見える。このようにただの寝取られは日本を壊す。露悪をつつむオブラアト、ソフト寝取られこそがこの国には必要なのだ。予防ワクチンみたいなもんよ。薄めた毒をあえて食らうことで毒を制する。ミルフな人妻お姉さんとの背徳逢瀬、グフ、グフフフフ」
「あなたが人妻モノ好きなだけでは」
「うるさいな」
「そもそも人妻モノ好きな時点で、あなた【こちら側】に片足突っ込んでるんですよ」
「何?」
「さっきあなた自身が定義した【タイプB】と何が違うんです?」
「な、何を言う。人妻と寝取られを一緒にするな。いいか、人妻モノは人妻という対象に興奮しているのであって、貴様ら蛮人寝取られ族は行為自体に興奮し……」
「さっきから人妻だのソフトだの何だのと自分をごまかすのはもうやめてこちらへ来たらどうですこの脳が破壊される禁断の果実を共に食しましょうそうABCの3つのタイプの他にも破滅的インモラルによる興奮もあると思うんですよ近親相姦だって根強いジャンルでしょう人間はそもそもそういった破滅的なモノ倫理にもとるモノに興奮するようにできているのですよあなただってクラスのブスに☓される妄想で中学生の頃さんざん☓☓ってた癖にそう性欲とはそもそも本能的なものなのですから倫理観を持ち出す方が間違っているのです人は心に獣を飼っているが故にねおしどり夫婦とか言いますけどねあれ実は実際のおしどりは毎年相手を変えるんですよ固定の相手にこだわる動物なんてほとんどいませんつまり反NTRは世界の摂理に対する反逆ですよあなた犯罪者なのですかまあ犯罪者であっても受け入れるのが我々の海よりも深い度量でありましてむしろNTRの竿役として犯罪者という属性は優れていると言わざるを得ないでしょうなんか最近見かける広告でも警察組織の夫婦が犯罪組織に拉致されて夫の目の前で100回絶頂させられる奴ありますけどあれエッチですね逆にどうしようもないほど強力な権力者にNTRれて涙を呑むのも良いですイケメンにNTRれるのもハゲ散らかしたおっさんにNTRれるのもDQNにNTRれるのも我々の教義は貴賤を問わず幅広く門戸を開いていますよいわばあなただけでなくまさに世界中の誰しもが才能アリなのですNTRに栄光あれさああなたも」
「ウ、ウルセー!」
男は店主をメッタ刺しにして、オデンにして食った。
完
日曜日に何を書いてるんだこいつは。