第1話:出会い
天真爛漫なカレンちゃんの登場です!
今、天国では「天使試験」が行われています。人間界でいう半年に一回、見習い天使たちが受けるテストのことです。これに合格すれば「天使」になれるのですから毎回たくさんの見習い天使が試験に挑戦します。カレンちゃんもそのうちの一人です。前回は二次試験で惜しくも不合格だったので、今年こそ!と意気込んでいます。そして、カレンちゃんは「一次試験」「二次試験」を順調に突破し、ついに「最終試験」を受けることになったのです。
「皆さーん!今までよく頑張りました!これが最後のテストです!手元の紙をよく読み、取りかかってください!」
試験官である大天使様がお話しされ、カレンちゃんは早速紙を読み始めました。
「ふむふむ…パートナーを見つけ、一ヶ月間たくさんの人に幸せを運ぶ…注意事項…ふむふむ。」
素早く読み終わったカレンちゃんは歌いながら人間界へと降りていきました。
「らんら〜ん♪どんな子が〜いいかな〜♪」
やがてその声は小さくなり、最後には聞こえなくなりました。無事に人間界へ着いたようです。
蚊か何かが飛んでいるのかな?なんだかうるさいなあ…でも今は冬だし…おかしいなあ。それにしてもうるさい!もう!
「だーっ!」
僕は布団をけ飛ばして飛び起きた。寒いなあ…やっぱり冬だなあ…二度寝するか!
「おやすみなさーい」
今日は日曜日だし、まだ寝てても大丈夫だろう。そんなことを思っていたら左頬に痛みが走った。
「って!」
ああ、これも夢なんだ。初夢じゃなくて良かった良かった。
「ってて!」
今度は両頬をつねられたぞ。おかしいなあ…。
僕はそっと目を開けてみる。目の前には可愛い女の子がいるぞ。そうか!まだ夢の中なのか。
「バシッ!」
また目を閉じようとしたら、脳震盪を起こすんじゃないかってほどのビンタをくらってしまった。夢なのに痛いって思うのは珍しいなあ…。
「ちょっと!早く起きなさいよ!見習い天使カレンちゃんのスペシャルモーニングサービスで起きないなんて!何よ!」
「???」
目を開けてみると膨れっ面をした女の子がいる。あ、夢じゃないんだ。僕は目が覚めたんだ!
「夢、じゃない?」
僕は思わず聞いてしまった。神とか天使とかは信じているけど…。
「当たり前よ!あたしはカレン。これから一ヶ月間パートナーになってもらうわ。」
この子強引だねえ。僕は今大変な状況に陥ってるみたいだし。朝から忙しいな…。
「あ、あの…カレンちゃん?」
僕はぼんやりしていたみたいで、カレンちゃんは部屋を物色している。
「なあにー?」
僕のお気に入りのマンガを読みながらカレンちゃんは答える。僕は思い切って聞いてみた。
「パ、パートナーって何なの?」
うまく舌が回らない。相当強いビンタだったんだなあ…。
「んー?今日から一ヶ月間、あたしのお手伝いって事よ!任せたわ。」
任せたわって…それじゃあ、お手伝いじゃないよな…。とは口に出さずにこくんと頷いておく。大抵はこれで乗り切れるからね。
「じゃ、早速行きましょう!」
「うん。」
目的地も言わないし何をするか分からなかったけど、一つだけ分かったことがある。
カレンちゃんには逆らわない方がいい。
これは確実、だ。
ボケは大変なんですね。