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6話 2人の森

サリエルの小屋がある森は、隣町の近くにある大森林らしい。大森林は気が生い茂り、隠れ場所が多くあるため様々な魔物が住んでいる地帯でもある。サリエルが輪切りにした蛇型の魔物を初めとし、多くの凶悪な魔物が生息している。普通の冒険者が準備をせずに突っ込んで生きて帰れるような森ではないのだ。その分、珍しい植生や生態系が存在しており、実入りがいい地帯でもある。


「アレンの街に到着するには1度この森を抜け、隣町に寄り、そこで日が昇るのを待ってから出発する必要がある」

「隣町にはここからどれくらいかかるんですか?」

「私一人だと半日もかからないが、君の負担を考えると一日とちょっとと言ったところかな」

「う…足を引っ張らないよう頑張ります…」

「気にすることは無い。君はまだ子どもだ。足りない部分は私が補助する」


サリエルが優しく微笑みかけてくれる。いつもの態度は結構冷たいのだが、このようなたまに見せてくれる微笑みがすごく胸に来る。これがクーデレの真骨頂か。


「じゃあ、出発しよう」



ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


小屋を出発して3時間が経った。周りの風景は全く変わらない。どこまで行っても木、木、木である。僕とサリエル以外の人の気配は全くしない。


「はぁ、はぁ」

「疲れてきたな、休憩するか?」

「いえ、まだ行けます!」


正直に言うと限界に近い。まずサリエルのペースが馬鹿みたいに早い。サリエルはゆっくり歩いてるつもりなのだろうが、こっちはまだ4歳の体なのである。小走りを常にしていないとすぐに距離が離れてしまう。それに10分に1回のペースで魔物が出てくる。その度にサリエルが瞬殺してしまうのだが、僕にとって魔物は脅威でしかない。毎回、死角から突然出てくるのでその度に心臓が止まりそうになる。そんな緊張感の中ずっと体を動かし続けなければならないのである。


「アレン、休憩にしようか?」

「いえ…はぁ…大丈夫です」


サリエルは頻繁に休憩を勧めてくれるがただでさえ僕にペースを合わせてゆっくり行かせているのだ。これ以上迷惑をかけるわけにはいかない。

その時、突然サリエルが止まった。


「休憩にしよう」

「いや、でもまだ半日も経ってない…」

「アレン」

「ッ…」


サリエルの声に力が入り、思わずビクッとする。


「休憩も大事な戦いの要素だ。疲れた体では正常な判断が出来ず普段ならなんてことの無い敵に負けるなんてこともざらにある。それに、もし君が将来仲間と冒険する際に自分の体調を偽り無理をした場合、君の一瞬の不調が仲間を殺すことになるかもしれない。共に過ごすものに疲れを隠してはならない。その行為は相手の信頼を踏みにじる行為だ」


サリエルの言うことはどこまでも正論だ。彼女の言うことには何もかも根拠に基づいている。ここは意地になって無理を通すとこではないとわかっているのに自分の中のちっぽけなプライドがそれを許さなかったのだ。


「わかり……ました」

「うん、いい子だ」


少し歩いて開けた場所で休憩をとることにした。


「休憩や、キャンプをはる際はこんな場所のように開けた場所でとる。開けた場所は魔物から見つかるリスクは高いが、不意打ちされる心配はあまりない。覚えておくといい」

「はい!」


サリエルは時々、サラッと大事な情報をくれる。


「サリエルさんは冒険者だったんですか?」

「あぁ……昔はな」

「魔法が使えなくても冒険者になれるんですね!」

「それは君次第だな」


やっぱり僕はサリエルのもとで冒険者として生きる術を学びたい。そのためにもまずは自分の問題から逃げずに向き合わなければ。


それから休憩もしっかり取りながら進むこと数時間、日が暮れて暗くなってきた。


「今日はここで野営にしよう」

「野営?僕は何をすればいい?」

「夜の野営は基本、見張りを交代でするが君はまだ戦えないから私の近くで眠っていればいい」

「でも…うん、わかりました…」

「ゆっくり眠るといい」


サリエルが優しい瞳になる。あぁ、この顔を見てるだけでこっちまで安心する。それにすごく胸が熱くなる。そのまま優しい顔に見つめられたまま眠りについた。






最初に言ったようにゆっくり更新していきます。

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感想やQコメント書いてくれたらとても喜ぶんだけどなぁ 壁|ω・`)チラッ

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