凍えるような寒空で
それは月の見えない真っ暗な凍てつくような寒さの夜のこと。
彼は真っ赤に染まった手のひらを見つめながら、ぽつりと
ぽたりと…
真っ赤な手のひら
僕はそれを見つめてた
いつも いつまでも
消えない垢 消えない鮮血
こびりついて離れない
「聞きましたあの子供って
あの罪人たちの子なの」
それがどうしたんだよ
僕が犯した罪はないのに
わはは わはは
「罪人だ!罪人だ!」
わはは わはは
「私たちも殺されるかも!」
わはは わはは
誰が殺すかよ
興味のないお前らなんて
好きであの二人の子に産まれた訳じゃない
なのに、なのに
また両親は罪を犯した
僕を殺そうとした
心機一転
「聞きました?あの子供はあの両親に
殺されそうになったんだって」
ああそうだよ
それがどうした
あわわ あわわ
「なんて可哀想」
あわわ あわわ
「あの二人の間に産まれただけに」
知ってるかいそれは同情
僕が最も嫌う感情
まぁどうでもいいさ
そんなこと
「あなたを殺せば私たちはとてつもない力を得るの、だからその為に死んでください」
そんなことのために殺そうとしたのか
一応僕はお前の子供だろ
「違いますよ」
「私たちはあなたを拾っただけ
捨てられてたから
ご丁寧に手紙まで添えられてたの
―この子を殺せば力が手に入りますよ―
って。」
あはは あはは
僕は一体
あはは あはは
何を
あはは あはは
勘違いして
あはは あはは
いたんだろうね
真っ赤に染まった僕の両手が
両親だった何かの躯を見つめながら
感情の乗らない声や瞳のまま呟いた
「あぁつまらない
もうどうでもいい
誰も信じてやるものか」