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中学生になった。悠は転校することなく、小学校のメンバーと同じ中学校へ上がることとなった。
「お前らが、番長と女番長か」
ある日のことだった。悠は健太と共に上級生に校舎裏に呼び出された。
「どっちが上か教えてやる」
っと。やっぱり、どこにもいるものだと思わずにはいられない。悠は大良くため息をついた。
「なんだよ、それ」
「言ってることが小学生と変わらないと思って」
「生意気な」
悠に向かって手を振り上げる。悠はその手を跳ね飛ばした。
「さすがは、女番長か。お前ら、やっちまえ」
それが、合図だった。上級生たちが悠に健太に殴りかかってくる。相手が上級生だとか関係なかった。身に降る火の粉は振り払わなければならない。悠も健太も、上級生たちに立ち向かっていった。
「覚えてろよ」
「一昨日来やがれ」
その喧嘩は悠たちが勝った。傷だらけになった上級生たちが捨て台詞を残して逃げ去っていく。健太がベーと舌を出しながら、捨て台詞に返事を返した。もちろん悠も健太も無傷ではいなかったのだけれども。
こうして、喧嘩に明け暮れる中学校生活が始まった。
悠も健太も、そして、その取り巻きたちも変わらない毎日を過ごす。時には上級生ばかりでなく、他校の生徒や成人していそうな人からも喧嘩を売られる日々。そして、気が付けば、街で悠と健太を知らないものは誰一人としていなくなった。街の番長と女番長として……。