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とかく異世界は……というか異世界に行く人の頭の中は不思議が一杯

「……つ、つまり、金、言語力、チェック! 金、言語力、チェックって感じなものをお求めですか?」

「やっぱりあんたの知識はそっちの方に偏ってるのな」


 概ね間違いでもないのが微妙に嫌。


「……まぁラノベなんかだと『今から君達が行く異世界はかくかくしかじかまるまるうまうまだよ、さぁいってらっしゃーい』みたいに放り投げられるパターンが多く散見されるから、それだけはご勘弁をって事です、ハイ」

「あーそれは分かります。いくら創作の世界とはいえ、神様がそんな杜撰な事をしてはいけない(戒め)とは常々思ってました。無論こちらから呼んでおいて、そこまで無責任な事をするつもりは元々ありませんでしたからご安心を」

「あぁうん、そう言ってもらえると有難い。とはいえ、文言で色々説明を受けたところで、俺らは所詮空想でしか異世界の知識を持ってない地球の人間だからなぁ、少なからずMPがある……うん、俺はちょっと分かんないけどあるらしいから、そこら辺のご教授を賜りたいってのは大いにあるワケだ」

「まぁ妹さん達はさておき、あなたの場合色々とステータスが不明瞭なので『生活魔法』と呼ばれる基礎の魔法を覚えた方が何かと助かると思いますので、とりあえずそれだけでもお教えしますよ! 属性魔法に関しては、私ご存知の通り神様という事で人間の理とは違う形態の魔法になりますので、申し訳ないですが生活魔法を覚えたら魔法の書籍をお渡ししますので、あちらの世界で勉強してもらう事になります」

「いや、十分だよ。そもそも魔法ぶっぱしたいとかいう願望も無いしな」


 そこら辺も周辺探索的な事をしつつゆっくり学べばいいと思ってたからなぁ、意外と至れり尽くせりな対応してくれてありがたい。


 ……それはそうと、実際の神様ですらラノベの世界の神様はいい加減だと認識してるんだな……。まぁそもそも『間違って死なせた』とかもう神様名乗ってて大丈夫なのかってミスするのもいるからなぁ……。


「お金に関しては……真面目な話、何人かあちらの世界にお送りした人の誰も言わなかったので、皆さん最低限の金策があるのだと思ってました。でもラノベ読んでもとりあえず冒険者になって稼ぐ! とか頭悪ゲフンゲフン頭悪い行動をとる人が多いみたいだったので、パワフルでバカだなぁって真顔で毒吐いてたんですが」

「自称頭脳派も大体その道をまず歩もうとするのは何故だろうなと俺も思ってた。問答無用の転移ならともかく、目の前に全知全能の神様がいるのに金子を要求してみようと普通は思うだろうに。『お前今日から転勤or転校な、金は自分で稼げよ。今までの金は使えないけどな!』ってのと同じだぞあんなもん……」


 お前らよく無一文で知らない土地知らない世界生き抜けると思うよな。金がないってのは言葉が通じればどうにかなるって話じゃないんだっての。って思うよ、うん。


「まぁお金に関しては了解しました。あちらの世界では地球のように国ごとに貨幣が分かれてる、というめんどくさい事はありませんので、家族三人が大体二年程、過剰な贅沢をしなければ過ごせるぐらいの金額をお入れしておきます。生活魔法の一つである『保管空間アイテムボックス』に」

「うん、よろしく。……あとは言語翻訳か」

「言語に関しては、種族毎に使う言語が違っていますが……どうします? 全言語翻訳とかヒト言語翻訳とかある程度は細かくお分けすることが出来ますが」

「それは勿論全言語翻訳で頼む。魔法以外に覚える事を増やしたくない」

「かしこまっ!」


 いろんな人に怒られたらいいんじゃないかなーって。


「ではでは早速、生活魔法についてのレッスンを開始しましょうか! どうやら妹さん達はまだスキル選択に時間がかかりそうですし、時は金なりと言いますし」

「……すいませへぇ~ん、お兄さんですけどぉ~……ま~だ時間かかりそうですかねぇ……?」

「……むむむ、『家事上級』は欲しい……!」

「ねぇ見て見て! 『剣術特級』だって! でもボク魔法も使いたいから『魔導士特級』もいいかな~! 迷うな~!」

「話聞こえてねぇな」




 というワケで、女神様から生活魔法のレッスンを受ける事にしました。




― ― ― ― ― ― ― ― ― ―




 そして大体2時間後ぐらい。


「……思いのほか簡単に覚えられるもんなんだな、生活魔法って」


 はい、そこの君。このセリフがなんかチート主人公っぽく聞こえただろう?


「そうですね、言っちゃアレですけど所詮生活に使う魔法ですからね。種火出したりコップ一杯の水を出したり、その程度なのでこんなもんですよ」


 普通なんだってさ。


「とはいえ、魔力を火や水に変えるという『魔法の基礎』ですので、これが出来て初めて属性魔法というのにトライ出来るというものです。ここからはスキルでも無い限りは、頭おかしい戦術級魔法なんて使えないのでご了承を」

「そういう事は妹達に……というかタンクっぽいよくわからんステータスの妹に任せよう。俺は異世界でも慎ましやかに暮らしたい……いや妹よやめるんだそんな魔法お兄さん許しません……!」


 許されざるよ……許されざるよそれは……!


「ま、まぁこれで保管空間アイテムボックスの魔法が使えるようになったワケですし、早速お金をお入れしておきますね」

「いくらかは知らんが、三人が贅沢しなければ二年は暮らせる額だったっけか?」

「そうですね、大雑把ですがそんなぐらいの金額です。あとお金に関して初めて聞いてきたというのと、慎ましやかに暮らしたいという涙ぐましい希望を鑑みまして、追加でそこそこのクラスのお家の購入資金をお入れしておきました。生活資金とは分けてお入れしてますので、定住したい場所が見つかったらお使いください」

「……いや、そこまでしてくれていいものなのか?」

「まぁぶっちゃけるとノルマでお呼びしてるワケですし、そもそもここまで現実を直視した上で私と話し合いをした人にお会いした事が無かったので、私も楽しめたというところが大きいですね。そういう人には是非とも異世界を楽しんで満喫していただきたいので、これぐらいの手心は許されるでしょう」




 どんだけ空想にぶっ飛んだ人達が呼ばれてたんだここは……!

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