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一ヶ月後

お待たせしました。説明回になりますがお付き合いいただければ幸いです。

 ゴブリンとの初戦闘から一ヶ月過ぎた。


 俺はあれから、ボールスの言う通り魔物を狩ってレベル上げを行っている。なかなか魔物が見つからないという問題はメニューのマップを使うことで解決した。


 マップとは自身を中心とした半径10kmの円形の平面図を脳内に表示するものだ。最初は自分が矢印で表示されている以外は地形と方角しか表示されていなかったのだが、神眼と合わせて使うことで味方を青、敵を赤、中立を黄色の点で表示できるようになった。この判断基準は、味方を知り合いで害意のない者、敵を害意のある者、中立を味方でも敵でもない者とした。害意のあるなしは、感知眼の効果で判断している。また死亡した者が灰色で表示されることも魔物で確認済みである。


 ともかく昼間はこのマップを使って魔物を探し、ひたすら狩りを繰り返しているのでレベルは順調に上がってきているのだが、家の付近にいる魔物では効率が悪くなってきたので、そろそろ森の深いところに狩り場を移そうと考えている。


 またこの世界の事を学ぶことも忘れていない。狩りから帰って来たら一度着替えてから、完全記憶のスキルを使ってボールスが集めた書斎の本を読み漁るというのを繰り返している。


 初めて書斎に入った時はとても驚いた。一階にある書斎の扉を開くと、ぎっしりと本が並べられた棚がずらりと並び、奥に机と椅子がある以外は何もなかった。窓もないのだが、魔道具という魔法が付与されていて、誰でも扱うことが出来る道具によって光源や空調の管理を行っているのでいつでも快適に本を読めるとボールスが言っていた。本の総数は、書斎に入りきらない為に別の部屋で保管されている物も合わせれば1万冊位はあるそうで、動植物の図鑑から歴史書や兵法書など様々な種類の物があった。残念なことに魔法に関する本は数冊しかなく、どれも魔力=MPの扱いなどの基礎中の基礎しか載っていなかった。まあ何もないよりはマシなのだが、早く本格的な魔法を使ってみたいものだと思う。


 そしてこの一ヶ月で100冊近い本を読んで分かったことはまず、この世界の名前はミレイユ。これはミレディから聞いていたので知っていたが、ミレイユには一つの大陸しかなく、そこに様々な種族の者が暮らしている。大陸名はガルム。種族は大まかに分けると、人族・獣人族・妖精族・魔族・竜人族となる。


 人族は最も人口が多く能力面では多種族に比べて抜きん出るものはない。獣人族は身体能力が非常に高く二番目に人口が多い。妖精族とはエルフやドワーフの事で、三番目に人口が多い。ちなみにエルフとドワーフの仲が悪いということは全くなく、独自の技術で協力し合っているようだ。次に魔族は妖精族と同じく三番目に人口が多く、魔法の扱いに長けている。かつては他種族との戦争も起こしていたようだが、当時の魔王が勇者に討たれてからは、戦争を止め新たな魔王は他種族と共に平和に暮らしているようだ。最後に竜人族だが人口は他種族に比べると圧倒的に少ないが、身体能力では獣人族を上回り、魔法の扱いも魔族に勝る最強の種族だ。普段は山奥で暮らしているので、滅多に姿を見ることはない。


 ガルムの形は円形で面積は地球のユーラシア大陸の二倍程度。大陸の中央に人族、西に獣人族、東に妖精族、南に魔族、北に竜人族がそれぞれ領土を構えている。この魔の森は人族と魔族の領土の中間にあるらしく、魔物の強さから不干渉地帯とされている。


 次に、この世界の通貨は全種族で統一されており、下から銅貨→大銅貨→銀貨→大銀貨→金貨→白金貨→星金貨となっている。日本でいうと銅貨=10円、大銅貨=100円、銀貨=1000円、大銀貨=1万円、金貨=10万円、白金貨=1000万円、星金貨=10億円となっており、銅貨から金貨までは十進法、金貨から星金貨は百進法がとられている。


 次に魔法についてだが、魔法には個人で違う適性と言うものがあり、適性のある魔法しか使えないのが分かった。適性はステータスには表示されないのだが、専用の魔道具を使って調べることが出来るそうで、一般人なら1つ適性があるかないか。宮廷魔術師になる者は2~3適性を持っているという。全ての魔法をレベルが低いとはいえ、習得している俺は異常なのだろう。また、火属性魔法・水属性魔法・風属性魔法・土属性魔法・光属性魔法・闇属性魔法・無属性魔法は属性魔法と呼ばれ、それ以外の魔法は生活魔法を除きユニーク魔法と呼ばれる。生活魔法はそのまま生活魔法と呼ばれ、適性のない者でも、ある程度訓練すれば習得できる。逆にユニーク魔法の使い手は非常に珍しく、見つかった場合は国に召し上げられるそうだ。


 さて、国の話が出てきたので人族の国を幾つか紹介しておこう。


 エルブス王国。人族の国の中では最も技術的に発展している。魔の森に最も近い国。

 シルバ帝国。実力主義の軍事国家。エルブス王国と仲が悪い。

 ミセフ聖教国。ミレディを主神と崇める国。王国と帝国を静観している。


 この三国が人族の主要な国である。他の国はこの三国に比べると規模が小さいので説明は省かせてもらう。


 ここまでは学んだことのほんの一部に過ぎないが、俺が今一番思っていることは、


「早く魔法使いてぇ……」


 という事だった。


 早速ボールスに頼みに行くとしようか。


「じーちゃん、レベルも上がったしそろそろ魔法習いたいんだけど」


 書斎で本を読んでいたボールスに声を掛けると、


「そうじゃのぉ、明日にでも会いに行ってみるかの」


 と、読んでいた本を閉じ優しい笑顔で答えてくれた。


「そうと決まれば、明日は早起きせねばならん。ちと距離があるでの、今日は早く寝るんじゃぞ」


「うん。分かった」


 こうして俺は、魔法を教えてくれるというボールスの知り合いに会いに行くことになった。


 あの驚愕の事実を知らないままに。

最後まで読んで下さりありがとうございます。

ブクマしてくださった方もありがとうございます!

次回シグルズの魔法の師匠が登場です。

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