表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
1/4

[ ショウブに翻弄されアヤメに染まった雪白 ]

末っ子で甘えたで自分に甘い少女が、欲しかった。

己と同じ立場に居ながら、他人に興味が無い彼女が、欲しかったのかもしれない。


親戚中で集まるたびに集ってくる従姉妹たちをあしらっては息を付ける場所を探していたあの頃、広間を抜け出して辿り着いた離れで見つけたのは、酷く冷めた目をした小さな女の子だった。

寒空の下、薄い浴衣を一枚纏っただけの格好で池の中に佇む姿は何処か異質で、慌てて室内に引き上げれば、「濡れるよ、」と呆れたような声で云った。

子供のくせに酷く冷めている少女の、"如何でも好いモノ"を相手にしてる態度が気に入った。

彼女の傍でなら、息が付けた。

彼女の人に媚びない姿に独占欲が沸いた。

それは、欲しかった"妹"を、彼女の内に見つけた瞬間だった。


眠 る の に 必 要 な モ ノ な ん て 、 何 も な い で し ょ う ?


びしょ濡れのまま、如何でも好さそうに吐き捨てたその言葉が、

彼女を見つけて慌てたようにタオルで簀巻きにする大人の声が、

そんな大人たちを愚かなモノを見るように見下している視線が、

その視線の意味を正確にとらえて「めぇ!」と叱る従兄の声が、

ぐにゃりと奇妙に溶け合って ずぶずぶと世界を呑みこんでゆく夢を視せた。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ