プロローグ
「っ桜!!」「お姉ちゃん!」
「桜!お願い、目を覚まして頂戴!」
「先生っ!娘を、桜を助けてください!!」
ここは日本のとある病院の一室、そのベットにはもうすぐで16歳の誕生日を迎える筈だった少女が顔色をなくし、まるで死人の様に眠っていた。
そのそばには、涙を流し悲痛な表情をした少女の姉弟と両親、そして苦しそうに、それでも残酷に少女の最期を伝える担当の医師がいた。
「一ノ宮さん・・・残念ながら、娘さん、桜さんには手を尽くしましたが「そんなっ!娘は助からないんですか!?」
医師と両親が話し合うその時、少女が静かに目を覚ました。
「桜?お母さん!お父さん!桜が目を覚ましたわ!」
「っぁ・・・ぉ母さん・・・ぉ父さん・・・」
少しかすれた声で、でも意識がしっかりある少女を見て家族の表情は明るくなった。
でも、少女が発した次の言葉には絶望とも悲しみとも言えぬ表情が浮かんだ。
「桜!良かったわ。お母さんはここに居るわ」
「父さんも居るぞ!」
「・・・お母さん・・・お父さん、私もう、家に帰れないみたい・・・」
そう、少女は自分の命に時間が残されてないことに気付いていた。だからこそ、今最期の力を振り絞るように声を発した。
「・・・お父さん、お母さん・・・私、長く生きれなかったけど、皆に、愛されていたから、とても幸せだったゎ・・・」
「っ何で!桜、後少しで誕生日でしょ!誕生日ケーキ一緒に作りたいって言ってたじゃない!」
「お姉ちゃん!僕ともいっぱい遊ぼうって」
少女の姉弟は泣きながら、少女に生きてほしいと訴えかけた。
「・・・うん、お姉ちゃんも、あきちゃんも、約束、守れなくてごめんね・・・私・・・幸せだったから、皆泣かないで・・・笑ってほしいな・・・」
少女のその最期の願いに、家族は涙の跡を残して少し悲しみの滲む笑顔を少女に向けた。
「・・・お母さん、お父さん・・・お姉ちゃん・・・あきちゃん、皆、だーい好き」
「「「「私(僕)たちも桜のこと(お姉ちゃんのこと)愛してる(わ)」」」」
その言葉を聞き、少女は幸せそうな笑顔を浮かべて静かに、息を引き取った。
一ノ宮 桜 享年15歳だった。