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終わりは始まり


シャイニィ聖王国という国がある。


人口は約三億人らしいが、戦時中なので細かくは判らない。


国土は広く、緑も多いし魔法研究だって進んでいる。


恵まれていると言って差し支え無いだろう。


国教は「戦神教」。

戦を司る神、戦神ギクスを祀る宗教だ。


さて、先程人口の話の時に戦時中と言ったけれど説明しよう。


まず、シャイニィ聖王国には敵対国がいる。

アルクネス魔導帝国、それが敵対国の名前。


といってもあっちが何かして来たって訳じゃ無い、いってしまえば宗教や風習の違いによる争いだ。


なんでもアルクネス魔導帝国は多神教で、五万と神様が居るらしい。


シャイニィ聖王国としては戦神ギクスを蔑ろにされて我慢ならないってなんともまあ大人気ない理由で戦争を吹っかけてる訳だ。


御愁傷様としか言い様が無い。


で、僕はと言うとシャイニィ聖王国の一魔法使いな訳で———



世界歴2000年、光の月、一日、アルクネス魔導帝国、シェド平原、シャイニィ聖王国前線基地、講堂。


「勇敢なるシャイニィ聖王国の諸君!時は来た!」


「「「「うおおおおおおぉぉぉぉっっ!」」」」


「先日の戦で我らは多大なる戦果を挙げた!奴らは正に虫の息!ついに悪しき邪教の巣窟たるアルクネス魔導帝国に終止符を打つ時が来たのだ!」


「「「「うおおおおおおぉぉぉぉっっ!」」」」


講堂内に暑苦しい歓声と兵士達が満ち溢れている。


今作戦の指揮官だかなんだか知らないけど、今の発言には修正点が二つある。


一つ、アルクネス魔導帝国内で信仰されている宗教の中には「戦神教」もしっかり含まれているので、今の発言だと自分達も邪教徒だと言っているという点。


二つ、「戦神教」は本来、戦神ギクスの嫌った争いを根絶させるべく、日夜たゆまぬ平和努力をしているという点だ。


馬鹿げている、軍上層部は、聖王様は一体何を考えているんだ?


「戦神教」の教えを権力による圧力で歪めて政治に利用している。

今やこの国の教育は洗脳だ。

なんの意味も無い。


という風に暑苦しい講堂の中、二人の兵士は暑苦しい空気に乗らずに静観を決め込んでいる。


一人は背はそれなり、銀髪に紅い瞳、眼鏡、中肉中背の紅いフード付きのローブを身に纏う幼い顔付きの男、つまりこの僕、チェスター・ソルラ。


前述の通り魔法使いで実家は代々優秀な文官を排出する魔法使いの名門、ソルラ。

僕が周囲と違った思想に染まっているのはなんでも真実や真相に拘る実家の影響だ。


もう一人は背が高く筋骨隆々としてかつ引き締まった鍛えられた肉体を持つ栗毛に黒い瞳、健康的な肌にシャイニィ聖王国の緑色の戦闘服にバンダナを身につけた凛々しい顔付きのイケメン野郎、僕の親友ジェラルド・エヴェ。


バリバリの戦士で実家は世界的な武術の名門、エヴェ。

来るもの拒まず、一つの卓を共にした者は家族という超オープンで人を疑うとかあんまりしない脳筋の一族出身で、祖先にして開祖である「初代エヴェ」を崇拝....いや尊敬しているので、そもそも国の洗脳教育が通用しない

思考の持ち主だ。


どっちかといえば教祖タイプ。


幼少期、運命的でどこかロマンチックな出会いを果たした僕ら二人は幼馴染で、シャイニィ聖王国軍内でもかなり少数派な穏健派。

今日も冷めた目戦で国の行く末を憂いている。


「まったくあの凶信者王.....良い加減隠居してくれないかな」


「チェスター」


「わかってるよー」


今のは確実に不敬罪。

迂闊な事言って罰せられるのはゴメンだ。


「あーあ、上層部に口出し出来る権力があれば戦争なんて終わらせられるのになー.....」


悲しいかな、結局世の中力だ。


明確で強大な力を持つ国のトップが正しい人間でなければ国の未来は無い。


現状、世界から見てシャイニィ聖王国の立ち振る舞いたるや酷い横暴だ。


このままでは魔導帝国との戦争が終わった所で聖王がマトモになるなんて望み薄。


でも権力さえあれば僕が出て行って内部から変える努力ができる。


でもそんな簡単に権力なんて掴め無いのが現実、コツコツやるのか結局一番近道......


「んー.....手っ取り早く手柄を立てる方法なら、あるにはあるぞ」


「.................はぃ?」


僕は間抜けな声を発した。


誤字等修正しました。

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