第四話 デビュー戦&出会い
第四話 デビュー戦&出会い
3月
それは毎年空手の試合が
行われる月である
その名を
少年大会
(普通すぎる)
この試合の結果次第では
県大会、全国大会にでられるのだ
拓也、良、寛、翔貴
「どきどきするな」
大器&健汰
「まあ優勝はぼくかな」
綾「 ハハハ」
神無「優勝できるとしたら りょう君かあやちゃ んでしょ」
良「僕には無理だよ」
あや「わたしも」
拓也「二人はうちのエース だよ」
寛&翔貴「だよね」
健汰&大器「エースはぼく だよ」
健汰と大器以外は良と綾をエースとして認めていた
空手を始めて11ヶ月
当然それだけたてば実力にも差が出てくる
頭角をあらわしたのが良と綾だった
今では頭二つぶんぐらい
とびてている
まぁ本人たちには自覚がないのだが
そして試合が始まった
健汰、綾、良はAブロック
翔貴、寛、神無、大器はBブロック
拓也はCブロック
拓也「ぼくひとりだよ」
試合はAブロックから始まった
期待の良と綾はその実力を発揮しデビュー戦で
ベスト16に入った
健汰は三回戦まで
初出場ということを考えれば上出来だろう
続いてBブロックでは
寛、翔貴、神無が二回戦までいった
本人たちも初勝利に喜んでいた
大器はというと
持ち前の負けん気の強さと自分への自信で
四回戦までいった
初出場ではすごすぎるできだが、
本人は不満そうだった
拓也「みんなすごいなぁ」
良「たぁーくんなら大丈夫 だよ」
健汰&大器
「まぁ僕より上はむりだろ うけどがんばって」
翔貴&寛「ファイト」
神無「がんばって」
綾「応援席でみてるね」
拓也「ありがとうみんな」そういって拓也は試合に向かった
副審「それではこれより
一回戦を始めます」
「赤、内君」
拓也「は、はい」
審判「お互い礼、はじめ」
拓也「え?なになに あれ はじまってる
えーと? えーと? どうすれば」
初めての試合
みんなは勝ったのに自分だけ負けられない
そういった目には見えないプレッシャーが拓也をおそう
拓也は人一倍緊張しやすい不運なことに
声をかけてくれる仲間が
Cブロックにはいない
拓也の頭の中は真っ白に
なった
そして気づいたときには
副審「判定」
4人の審判がバサッと旗を上げる
副審「白4、赤0で白の勝 ち 礼」
相手「ありがとうございま した」
拓也はとりあえず列に戻った
そして拓也は自分が負けたことを理解した
拓也「負けた。ぼくは負け た。もう次はない みんな一回は勝った のに」
いつの間にか拓也は大粒の涙をこぼしていた
A「うわ、こいつ泣いてる よ」
B「だっさ やーい泣き虫」
拓也は何も言わなかった
怒ることすらできなかった
拓也「やめてやる 空手な なんて大嫌いだ」
拓也が空手をやめる決意をしようとした時だった
?「泣かないで」
そういって慰めてくれた
?「くやしいよね わたし もくやしくて一生懸命 練習したんだ
私の名前はさくら
よろしくね
じゃあ私の番だから 行ってくるね」
そういって桜はいった
気づいたときには泣き止んでずっと桜をみていた
そして
拓也「きれい」
ずっとそうつぶやいていた
今でも忘れられない
11年 たった今でもしっかりと
脳裏に焼き付いている
例えるなら
彼女は「蝶」
「蝶のように舞い蜂のようにさす」
時にきれいで時に力強い
彼女の型はまさしくそれだとそう思った
そして拓也はそのとき
「かっこいい ぼくも あんなふうになりたい」
結局、その試合は桜が優勝した
拓也「さくらちゃんか」
この時拓也はさくらにものすごい憧れをいだいていた
そして空手を頑張ろうと
決意した