第二十二話 少年大会⑤
???「拓也君」
突然誰かが拓也に声をかける
拓也「茜先輩」
茜「悔しいのは分かるけど物に当たるのは良くないよ」
拓也「茜先輩」
茜「こうしてみると、小学校の時の慶太君を思い出すよ」
拓也「僕が慶太先輩に」
茜「慶太君も小学校の時は拓也君みたいに人のいない所で泣いてたよ」
拓也「あの慶太先輩が?でも、慶太先輩が負けるっていっても上の方でですよね」
茜「ううん。慶太君は今でこそ立教のエースだって言われているけど、慶太君は小学校三年生までずっと一回戦負けだったのよ」
拓也「あの強い慶太先輩が」
茜「そうよ。でも、慶太君と拓也君には一つだけ違うことがあるよ」
拓也「???」
茜「慶太君はね、人のいない所で泣いた後、ただひたすらに練習してたのよ。それが実を結んだから今の慶太君がある。慶太君はどんな時でもあきらめずに頑張っていたのよ」
拓也「慶太先輩」
茜「今の拓也君の方が一年生の時の慶太君よりもずっと上手いよ。だから、あきらめずに頑張って」
拓也「茜先輩、ありがとうございました。僕、頑張ります」
茜「うん。それと、今日、拓也君が何で負けたのか分かる」
拓也「いいえ。分かりません」
茜「拓也君、君はこの一年間でとても強くなった。良君にも勝ったし、最後の練習試合では雪江ちゃんにも勝った。拓也君、あなたはその事で自信を持ちすぎていたのよ。自分が自分を信じることはとても大切なことよ。でもね、自分を完璧だと思ってはだめ。そしたらそこで成長が止まるよ。拓也君にはちょっと難しかったかな」
拓也「少し難しかったですが、大丈夫です。僕、頑張ります」
茜「頑張ってね。まだ試合が終わったわけじゃないからね。その悔しさは団体戦にとっておいてね」
拓也「はい」
茜「じゃあ、私は先に戻るからね」
拓也は戻っていく茜に向かって一礼した。
それは拓也の決意の表れでもあった。
慶太「余計なことまでしゃべりやがって」
茜「拓也君を励ましてこいって言ったのは慶太君でしょ」
慶太「確かに言ったが、オレが隠れて練習していたことまでは言わなくていいだろ」
茜「いいじゃない。事実なんだから」
慶太「人のいない所でだまって努力するのが男なんだよ」
茜「それはそうと何で私に行かせたの?慶太君でも良かったんじゃないの?」
慶太「昔から落ち込んでる男を励ますのは女って相場は決まってるんだよ。
そ、それに、かわいい女ならなおさらな(ボソッ)」
茜「慶太君って年ごまかしてるんじゃないの。何か古いよ。それ。最後のなんて言ったの?よく聞こえなかったけど」
慶太「余計なお世話だし、何も言ってねぇよ」
茜「そう(本当は聞き取れてたんだけどね。もう一回言ってほしかったな。ふふ慶太君シャイなんだから)でも良かったの?拓也君に勝てない本当の理由を教えなくて?」
慶太「今はまだ教える時ではないさ。今、教えたら拓也の未来に関わるからな」
茜「慶太君に教えてもらうまでは気づかなかったけどね」
慶太「絶対に拓也に話すなよ」
茜「分かってるって。そろそろ私達の試合も始まるよ。行こう慶太君」
慶太「ああ」
慶太「(そうかだから先生は拓也を次鋒に入れたのか。先生は気づいていたのか。やっぱり先生には敵わないな)」
拓也の勝てない理由とはいったい何なのか
拓也が勝てない理由とは
皆さんも考えてみて下さい。
次回からは団体戦です