表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
30/31

弐十九 邂逅

ようやく出会えた、それなのに。

「如月! しっかりしろ、如月!」


いつもと違う、焦ったような夜光の声。しかし、如月にとっては聞くだけで落ち着くその声。そして温かなその手のぬくもりを肩に感じて、如月はぼんやりと夜光に目を向ける。

おぼつかない視界でも、それでも間違えることなんてない、その人影。


「あ、れ……っ……あ、あはは、ほん、とに、殿だ……」

「如月、お前どうしてこんな……」

「呼んだら……き、来てくれたね……え、えへへ、嬉しいな……」


目の前の夜光の顔がかすむ。


死ぬのかな。

でも殿がこうして目の前にいてくれるのがとっても幸せだから。

幸せだから……。


「と、殿……」


少しでも触れたくて。

力の入らない手を必死で持ち上げて彼の手に自分の手を重ねる。

そんな如月の手をそっと握って、夜光は如月に顔を近づけた。


「なんだ?」

「わ、私、私ね……殿のこと、大好き、なんだ……」

「……あぁ、分かっている。分かっているからもう話すな」


如月の目尻から一筋、涙が伝った。


「だから、ね、殿……っ……ず、ずっと、ずっと一緒に……ずっと側で……」


幸せなのに。いや、幸せだからだろうか。

溢れた涙が止まらない。


「私の……私の……」


ふわりと温かい殿の手に抱かれて。

如月は夜光の腕の中にいた。


「あぁ。あぁ、如月。叶えてやるさ、お前の望みならいくらでも叶えてやる」

「や、やった……っ……えへへ、殿、約、束だよ」

「そうだな。約束だ」

「……良か……た……」

「……如月? 如月っ」

「……」


もう見えない。聞こえない。

でも殿のことを感じられるから。













ただもうそれだけで。

ようやく出会えたのに……としか言えません……。


次話もよろしくお願いします。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ