弐十弐 如月の手紙
夜光が読んだ、如月の手紙。
【殿
元気ですか? 私は元気にやっています。
今まで手紙を書くっていうことを全然思いつかなかったことに自分でびっくりした。半年も殿に会ってないなんて信じられない、今までも手紙書けばよかった。
でも今日はちょっと大事な用があってこうして手紙を書くことを思いつきました。
殿、母上が私に縁談を持ってきた。お相手は……うーんと、説明されたけど忘れちゃった。
これから自分がどうすればいいのか分からない……。
殿に言われたことが忘れられないんだ。私がたくさん新しいことを経験して、その話を殿にしてくれって、言ってくれたでしょ。嫁いでもそれが出来なくなるわけじゃないのかもしれないけど、でも
ううん、違う。書いみてやっと分かった。私、やっぱり殿のそばにいたい。
すぐ近くじゃなくてもいいから、前みたいに森で暮らせればそれで……。
私、佳代にならなかったら良かった。
如月のままなら国がどうとかなんて考えずにいられたのに。
国の人たちとの交流はすごく温かくてね。私にいろんなものをくれたよ。
でも、やっぱり、どんなに考えても殿の隣が一番心地良かったんだ。
……兄様が言うにはね、私が嫁がないと国の人たちが苦しむことになるって。
如月は殿の隣いたいって叫ぶんだ。でも佳代がそれを許してくれない。
ねぇ、殿、私はどうすればいいんだろう。
殿は今でも、私のこと待っててくれるのかな……。
私の帰る場所は殿のところにもあるって、殿は言ってくれた。
私は殿のところに帰っていいのかな……。
如月と佳代、私はどっちを取ればいいんだろう。
お願い殿、私を助けてください。
如月・佳代】
今回は短くなってしまいました。
これだけにするかどうかは非常に悩みましたが、やはり今回はこれで。
次話もよろしくお願いいたします。