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序 降りしきる雨の中で。
初投稿になります。
まだまだ地盤のゆるい作品ではありますが、如月と共に頑張って物語りを織り上げていきたいと思います。
雲の上に行きたい。
前髪から滴るしずく。
ぐっしょりと重くなった服。
目に入る雨水。
そして、胸から流れ出す血。
全て他人事のように感じる。
「殿……」
唇からこぼれ出る最期かもしれない言葉。
あぁ……私はこんなに殿のことが好きなんだ。
そんなことを思って、口元に浮かぶのは自嘲。
体を支えきれなくなって、ずるずるとへたりこむ、その場所は。
かつての育ちの家、その焼けあと。
何を、今さら。
そんなこと、ずっと前から知っていた。
そう、殿と出会ったあの日から。
如月はずっと殿の傍にいたのだから――
いきなりなにやらすごいところから入っていきましたが……。
如月に少しでも興味を持っていただけたら幸いです。