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落ち武者(1)
むらむらしてやった。
後悔はしてないけど、反省もしてないけど、罵詈雑言は受け付けます。
幽霊に名前を与えてはならない。
言葉は力を持つ。
不確かな存在が名前を持てば、それは確かに“そこ”に存在する事になる。
人々の意識下、またはあくまで噂であるはずの存在が形を持ってしまう。
噂の出所が何処にあるか、それが本当なのか嘘なのか。
それらを一切合財無視をして、この世に居つくきっかけを持ってしまう。
故に幽霊に名前を与えてはならない。
もし、幽霊に名前を与えた者がいれば―――
その人物の結末は、皆の想像に任せる事にする。