第155話「アメリカがグリーンランドを買う!?~トランプ大統領の領土拡大野望と21世紀の植民地主義~」
マリコ「どうもー!サチコ・マリコでーす!」
サチコ「よろしくお願いしますー」
マリコ「サチコ、私な、最近アメリカのニュース見てたらびっくりしたわ」
サチコ「何があったん?」
マリコ「トランプ大統領がグリーンランド買うって言うてるらしいで」
サチコ「ああ、それな。2025年から本格的に動き出してて、今めちゃくちゃ揉めてるわ」
マリコ「島買うって、普通の買い物みたいに言うてるけど、無理やろ?」
サチコ「まあ、普通の感覚やったらそう思うわな。でもアメリカには昔から領土を買う「てきた歴史があるんや」
マリコ「え、そうなん?」
サチコ「有名なのがルイジアナ購入やな。1803年にフランスから1500万ドルで買った」
マリコ「1500万ドル?今の円で言うたらいくら?」
サチコ「当時のレートで考えたら、現在価値で約290億円くらいやな」
マリコ「290億円!?高いなー」
サチコ「いや、安いねん。買うた土地の広さが約214万平方キロメートル。サウジアラビアと同じくらいの広さや」
マリコ「サウジアラビア!?それを290億円で!?」
サチコ「せや。1平方キロメートルあたり約14セント。ほぼタダみたいなもんや」
マリコ「なんでそんな安く売ったん?」
サチコ「ナポレオンが戦費に困ってたからや。ヨーロッパで戦争する金がいるから、いらん土地売ってまえ、みたいな」
マリコ「ナポレオンもお金に困ることあるんやな」
サチコ「戦争は金食い虫やからな。で、この買収でアメリカの領土は一気に倍になった」
マリコ「倍!?」
サチコ「せや。今のアメリカ中部、ルイジアナ州からモンタナ州まで全部含まれとる。15州分や」
マリコ「へー。他にも買うた土地あるん?」
サチコ「あるで。1867年にはロシアからアラスカを720万ドルで購入した」
マリコ「ロシアから!?なんでロシアはアラスカ売ったん?」
サチコ「クリミア戦争で負けて金に困ってたからや」
マリコ「また戦争で金欠かい」
サチコ「せや。で、アラスカ買うた時は、アメリカ国内でめっちゃ批判されてん」
マリコ「なんで?」
サチコ「巨大な冷蔵庫買うてどうすんねん、アホか!って」
マリコ「冷蔵庫って言われたんか。確かに寒そうやもんな」
サチコ「ところが、その後アラスカで金鉱が見つかって、ゴールドラッシュが起きた。さらに石油も天然ガスも出てきた」
マリコ「冷蔵庫が金庫に変わったんや!」
サチコ「うまいこと言うな。でも、まさにそういうことや」
マリコ「ほな、トランプもグリーンランドで金見つけたいんかな」
サチコ「金というより、レアアースやな」
マリコ「レアアース?」
サチコ「希土類って呼ばれる希少な金属や。スマホとか電気自動車とか、ハイテク製品の製造に欠かせへん」
マリコ「ふーん」
サチコ「で、グリーンランドには世界最大規模のレアアース鉱床があるって言われとる」
マリコ「世界最大!?」
サチコ「せや。今、レアアースは中国がほぼ独占しとる。中国からの供給が止まったら、アメリカのハイテク産業は大打撃を受ける」
マリコ「中国依存から脱却したいんや」
サチコ「そういうこっちゃ。グリーンランドを手に入れたら、中国に頼らんでもレアアースが手に入る」
マリコ「なるほどなー。でも、グリーンランドって誰のもんなん?」
サチコ「デンマークの自治領や」
マリコ「デンマーク?北欧の?」
サチコ「せや。1721年から300年以上デンマークが支配してきた。1953年に植民地から海外郡になって、1979年に自治権を獲得した」
マリコ「自治権あるんや」
サチコ「せやから内政は自分たちで決められる。でも外交と防衛はデンマークが担当しとる」
マリコ「微妙な立場やな」
サチコ「で、グリーンランドの住民は約5万7000人。ほとんどがイヌイットの子孫や」
マリコ「5万7000人!?少ないな」
サチコ「面積は日本の約5.7倍あるのに、人口は5万7000人。スカスカやで」
マリコ「なんでそんな少ないん?」
サチコ「80%が氷で覆われとるからや。住める場所がほとんどない」
マリコ「なるほど。で、トランプはそこを買いたいと」
サチコ「そうやねん。で、最新のニュースやと、住民一人あたり最大10万ドル、約1500万円を払う案を検討してるらしい」
マリコ「1500万円!?私にも払ってくれへん?」
サチコ「お前グリーンランド人ちゃうやろ」
マリコ「今から移住する!」
サチコ「無理やわ。仮に全員に10万ドル払ったとしても、総額は約60億ドル、9400億円くらいや」
マリコ「9400億円か。トランプの金持ちパワーなら払えそうやな」
サチコ「個人の金ちゃうで。アメリカ政府の金や」
マリコ「そらそうか」
サチコ「でもな、問題は金だけやないねん」
マリコ「何が問題なん?」
サチコ「住民の意思や。世論調査によると、グリーンランド住民の85%がアメリカへの併合に反対しとる」
マリコ「85%!?ほとんどやん」
サチコ「せや。グリーンランドの与党も、私たちは売り物ではない、私たちはアメリカ人になりたいわけではない、私たちはグリーンランド人でありたい、って声明出してる」
マリコ「はっきり断っとるやん」
サチコ「デンマークの首相も、グリーンランドは売り物ではない、って言うてる」
マリコ「ほな、もう終わりやん。諦めたらええのに」
サチコ「ところがトランプは諦めへん。それどころか、軍事力の行使も排除しないって言うてる」
マリコ「軍事力!?戦争するってこと?」
サチコ「せや。簡単な方法でやるか、難しい方法でやるか、どっちかだって」
マリコ「え、それヤクザのやり口やん」
サチコ「まあ、言い方はそうやな。脅しに近い」
マリコ「NATO同盟国のデンマークに軍事力行使するって、おかしくない?」
サチコ「おかしいで。デンマークの首相は、アメリカがグリーンランドに軍事侵攻したらNATOの終わりや、って警告してる」
マリコ「そらそうやろ。味方攻撃してどうすんねん」
サチコ「欧州各国も共同声明出して、グリーンランドのことを決める権利があるのはデンマークとグリーンランドだけや、ってトランプを牽制してる」
マリコ「世界中から批判されてるやん」
サチコ「せやけど、バンス副大統領は真剣に受け止めるべきや、って逆に警告してる」
マリコ「アメリカ政府は本気なんや」
サチコ「本気やと思う。トランプは私たちはグリーンランドが必要だ、ロシアや中国がグリーンランドを取るのを防ぐためだ、って言うてる」
マリコ「ロシアと中国?」
サチコ「グリーンランドは北極圏の戦略的要衝やねん。北米とヨーロッパの間にあって、ミサイル防衛にも重要」
マリコ「ふーん」
サチコ「実際、アメリカはすでにグリーンランドに軍事基地を持っとる。ピツフィク空軍基地っていう、ミサイル早期警戒システムの拠点がある」
マリコ「もう基地あるんや!?」
サチコ「第二次世界大戦中、デンマーク本国がナチスに占領された時、グリーンランドはアメリカの保護下に入った。その時から軍事的に重要な場所やったさかいな」
マリコ「歴史があるんやな」
サチコ「1946年にはトルーマン大統領が1億ドルでグリーンランドを買おうとしたけど、断られた」
マリコ「前にも買おうとしてたんか!」
サチコ「せや。アメリカは100年以上前からグリーンランドに目をつけてる。1868年には当時の国務長官スワードが報告書作らせてるし」
マリコ「しつこいなー」
サチコ「アラスカ買うたスワードと同じ人や。グリーンランドとアイスランドを次の買収候補にしとった」
マリコ「野望でかいな」
サチコ「で、トランプは2019年の第1期政権の時にも買収を言い出した。デンマークの首相にばかげてる、って一蹴されて、怒って訪問をキャンセルした」
マリコ「子どもかいな」
サチコ「第2期政権になって、また言い出してる。今度は本気度が増してる感じやな」
マリコ「なんで今なん?」
サチコ「いくつか理由があると思う。一つは今年2026年がアメリカ独立250周年やってこと」
マリコ「250周年?」
サチコ「せや。1776年に独立したさかい、今年で250年。トランプは偉大な大統領として歴史に名を残したいんやと思う」
マリコ「レガシー作りか」
サチコ「二つ目は、地球温暖化でグリーンランドの氷が溶け始めてること」
マリコ「温暖化?」
サチコ「氷が溶けると、地下資源の採掘がやりやすうなる。レアアースとか石油とか天然ガスとか」
マリコ「皮肉やな。温暖化で価値が上がるって」
サチコ「せやな。三つ目は中国の進出への警戒や」
マリコ「中国?」
サチコ「中国企業がグリーンランドのレアアース開発に投資しようとしてた。空港の拡張工事にも参入しようとしてた」
マリコ「中国に取られたくないんや」
サチコ「せや。トランプにとって、グリーンランドが中国の影響下に入るのは悪夢や」
マリコ「なるほどなー。でもさ、サチコ」
サチコ「なんや」
マリコ「これってさ、結局植民地主義やない?」
サチコ「鋭いな。まさにそこが問題やねん」
マリコ「21世紀にもなって、島を買うとか、軍事力で脅すとか、時代遅れやろ」
サチコ「せやな。グリーンランドの住民からしたら、自分たちの意思を無視して土地を売り買いされるのは、まさに植民地主義の再来や」
マリコ「住民は怒ってるやろな」
サチコ「怒ってはる。でも複雑な事情もあってな」
マリコ「複雑?」
サチコ「グリーンランドは財政的にデンマークに依存してるんや。自治政府の歳入の約56%がデンマークからの補助金」
マリコ「半分以上がもらい金か」
サチコ「せや。経済的に自立できてへん。主な産業は漁業で、輸出の87%がエビとか魚や」
マリコ「エビ一本足打法か」
サチコ「せや。だからレアアースの開発で経済的に自立して、いつかデンマークから独立したい、っていう声もある」
マリコ「独立したいんや」
サチコ「住民の約56%が独立志向やと言われとる。でも、経済的に自立できへんから、すぐには無理」
マリコ「そこにアメリカが金チラつかせてきたわけか」
サチコ「せや。一人1500万円って言われたら、心揺れる人もおるかもしれへん」
マリコ「私やったら揺れるわ」
サチコ「お前の意見は聞いてへん」
マリコ「でもさ、仮にアメリカ領になったら、グリーンランドの人にとってはどうなん?」
サチコ「それは分からへんな。アメリカ市民になれば、アメリカの法律が適用されるし、連邦政府の支援も受けられる」
マリコ「悪くないんちゃう?」
サチコ「でも、イヌイットの文化や伝統はどうなる?自分たちの言葉、自分たちの土地との結びつき、狩猟の文化...」
マリコ「それが全部なくなってまうかもわからんわけか」
サチコ「アメリカに先住民がどう扱われてきたか、歴史を見れば分かるやろ」
マリコ「ネイティブアメリカンの歴史か...」
サチコ「せや。強制移住させられたり、同化政策で文化を奪われたり。その歴史を知ってるグリーンランドの人たちが、アメリカ人になりたくないって言うのは当然やと思う」
マリコ「なるほどな」
サチコ「で、もう一つ大事な問題がある」
マリコ「何?」
サチコ「国際法や」
マリコ「前のベネズエラの話と繋がってくるな」
サチコ「せや。国連憲章の第2条4項、覚えてる?」
マリコ「武力による威嚇とか武力の行使は禁止やったな」
サチコ「せやせや。トランプが軍事力の行使も排除しないって言うてるのは、この原則に反してる」
マリコ「NATO同盟国に対してやで。えぐいな」
サチコ「しかもモンロー主義の話もある」
マリコ「モンロー主義?前の話で出てきたやつか」
サチコ「せや。西半球はアメリカの縄張りやっていう考え方。グリーンランドは地理的には北アメリカに近いから、モンロー主義の範囲に入ると解釈してる人もおる」
マリコ「なるほど。ベネズエラといい、グリーンランドといい、全部西半球の話やな」
サチコ「せやねん。トランプ政権はモンロー主義を復活させて、西半球全体をアメリカの影響下に置こうとしてる」
マリコ「21世紀のモンロー主義か」
サチコ「カナダを51番目の州にするとか、パナマ運河を取り戻すとか、メキシコ湾をアメリカ湾に改名するとか、全部つながってる」
マリコ「パナマ運河も!?」
サチコ「せや。1977年にパナマに返還した運河を、取り戻したいって言うてる」
マリコ「返したもん取り返すって、子どものケンカやん」
サチコ「まあ、アメリカが作った運河やから、言い分はあるんやろうけど」
マリコ「でも一回返したんやから、もう諦めなあかんやろ」
サチコ「普通はそう考えるわな。でもトランプは普通やない」
マリコ「確かに」
サチコ「で、この問題は日本にとっても他人事やないんや」
マリコ「日本に関係あるん?」
サチコ「日本政府は力による一方的な現状変更は認めないって言うてきたやろ?ロシアのウクライナ侵攻とか、中国の南シナ海進出とか」
マリコ「言うてたな」
サチコ「でも、同盟国のアメリカが同じことをやり出したら、どう対応する?」
マリコ「あー、前も言うてたな、板挟みやな」
サチコ「前のベネズエラの話でも言うたけど、アメリカを批判したら同盟関係に傷がつく。かといって黙認したら、ロシアや中国を批判する時の説得力がなくなる」
マリコ「ダブルスタンダードって言われるもんな」
サチコ「せや。国際法は大国が守らんかったら意味がない。アメリカもロシアも中国も好き勝手やり出したら、小国は守られへん」
マリコ「日本も小国やもんな、軍事的には」
サチコ「せや。ルールに基づく国際秩序が崩れたら、一番困るのは日本みたいな国や」
マリコ「なんか、世界がどんどん荒れていく感じやな」
サチコ「せやな。2026年は激動の年になりそうや」
マリコ「ベネズエラは攻撃するわ、グリーンランドは買おうとするわ、パナマ運河は取り返すって言うわ...」
サチコ「カナダを併合するとか、メキシコに関税かけるとか、色々言うてるからな」
マリコ「トランプ、忙しいな」
サチコ「まあ、全部が実現するとは思えへんけど、一部は本当にやりそうやから怖い」
マリコ「どれが本気で、どれがブラフか分からへんもんな」
サチコ「せやねん。そこがトランプの交渉術でもあるんやろうけど」
マリコ「サチコ、私ひとつ思ったことあるわ」
サチコ「なんや」
マリコ「グリーンランドの人がアメリカ人になりたくないって言うてるやん」
サチコ「言うてるな」
マリコ「それって、自分のアイデンティティを守りたいってことやろ?」
サチコ「せやな」
マリコ「お金もらえるからって、自分が何者かを捨てられへんやん」
サチコ「...あんた、たまにはええこと言うな」
マリコ「たまにはって何や!いつもええこと言うとるわ!」
サチコ「まあ、それは置いといて、あんたの言う通りやと思う。1500万円もらっても、自分のルーツや文化を失うのは嫌やろ」
マリコ「私かてな、1500万円もらっても日本人やめたくないもん」
サチコ「お前が日本人やめても誰も困らへんけどな」
マリコ「ひどい!」
サチコ「冗談や。でも真面目な話、グリーンランドの人たちは何百年もあの厳しい環境で生きてきたわけやろ。その歴史と誇りがあるねん」
マリコ「うんうん」
サチコ「それを、金で買えると思ってるところが、植民地主義的な発想なんやと思う」
マリコ「人を物扱いしてるってことか」
サチコ「せや。住民の意思を無視して、国と国の間で土地を売り買いする。それは19世紀の発想や」
マリコ「今は21世紀やのにな」
サチコ「せや。でも、こういうことが起きてるのが現実なんや」
マリコ「私らにできることってあるんかな」
サチコ「まずは知ることやと思う。何が起きてるか、なぜ起きてるか、誰が得して誰が損するか」
マリコ「知識は力なり、やな」
サチコ「せや。で、おかしいと思ったら声を上げること。国際社会の世論が、大国の暴走を止める力になることもある」
マリコ「欧州各国が共同声明出したみたいに?」
サチコ「せやせや。一国じゃ無理でも、みんなで声上げたら影響力になる」
マリコ「なるほどなー」
サチコ「あと、グリーンランドの人たちの声に耳を傾けることも大事やな。当事者が何を望んでるか」
マリコ「私たちはグリーンランド人でありたい、って言うてたもんな」
サチコ「その声を尊重するのが、民主主義の基本やと思う」
マリコ「サチコ、私も声上げるわ!」
サチコ「何を言うねん」
マリコ「グリーンランドを守れー!」
サチコ「ここで叫んでも届かへんわ」
マリコ「ほな、SNSで発信する!」
サチコ「お前のフォロワー何人おるん」
マリコ「...23人」
サチコ「影響力なさすぎやろ」
マリコ「でも、23人から始まる革命もあるかもしれへんやん」
サチコ「まあ、気持ちは分からんでもない」
マリコ「ほな、今から私、グリーンランド語勉強するわ」
サチコ「グリーンランド語なんてあるんか?」
マリコ「カラーリット語っていうらしいで。イヌイットの言葉」
サチコ「調べたんや。えらいやん」
マリコ「こんにちははアルーって言うらしい」
サチコ「アルー?」
マリコ「アルー!」
サチコ「なんか、犬呼んでるみたいやな」
マリコ「失礼なこと言うな!グリーンランドの人に怒られるで」
サチコ「すまんすまん」
マリコ「とにかく、グリーンランドのこと、みんなに知ってもらいたいわ」
サチコ「せやな。遠い国の話やと思わんと、自分たちの問題として考えることが大事やと思う」
マリコ「国際法が壊れたら、日本も困るもんな」
サチコ「そういうこっちゃ。だから他人事やないねん」
マリコ「よっしゃ、今日から私、国際問題評論家になるわ!」
サチコ「急になれるわけないやろ」
マリコ「マリコ・グローバル・コメンテーター!」
サチコ「名前だけ立派でも中身がないと意味ないで」
マリコ「中身はこれから詰める!」
サチコ「まず漫才の中身詰めてくれ」
マリコ「それはサチコに任せる!」
サチコ「丸投げすな!」
マリコ「分業や、分業!」
サチコ「90対10は分業って言わんねん!もうええわ!」
マリコ「どうもありがとうございましたー」
サチコ「ありがとうございましたー」
二人「「サチコ・マリコでしたー!はなまたなー!」」




