第154話「露天商から大富豪、そして死刑囚へ!?~ベトナム不動産女王チュオン・ミー・ランの栄華と没落~」
マリコ「どうもー!サチコ・マリコでーす!」
サチコ「よろしくお願いしますー」
マリコ「サチコ、私な、最近ベトナム料理にハマっとんねん」
サチコ「へー、ええやん。フォーとかバインミーとか?」
マリコ「そうそう!生春巻きもうまいし。で、ベトナムのこと調べとったら、えらいニュース見つけてん」
サチコ「何や?」
マリコ「なんか、女の人が6兆円横領して死刑判決受けたらしいで」
サチコ「ああ、チュオン・ミー・ランの事件やな。ベトナム史上最大の金融詐欺事件や」
マリコ「6兆円て!宝くじ何回当たったらそんなになるん?」
サチコ「いや、宝くじちゃうねん。銀行から不正に引き出したんや」
マリコ「銀行強盗?」
サチコ「ちゃう。銀行強盗より巧妙や。彼女は銀行そのものを支配しとったんや」
マリコ「銀行を支配?どういうことやねん?」
サチコ「サイゴン商業銀行っていうベトナムの大きな銀行があんねんけど、この人、株式を実質的に91%も握っとった」
マリコ「91%!?ほぼ自分の銀行やん」
サチコ「せやねん。でもベトナムの法律では、個人が銀行株を5%以上持つことは禁止されとる」
マリコ「ほな、違法やん」
サチコ「せやから、名義貸しを使ったんや。73人以上の代理人、つまりダミーの株主を立てて、自分の名前が表に出んようにした」
マリコ「73人!?そんなに友達おったんや」
サチコ「友達ちゃうわ!家族、親戚、部下、取引先...とにかく信用できる人間を使って、間接的に支配したんや」
マリコ「なるほど。黒幕ってやつやな」
サチコ「せやせや。で、この銀行の融資の93%を、自分の不動産会社に流してた」
マリコ「93%!?ほな、銀行のお金ほぼ全部自分のもんにしとったんやん」
サチコ「そういうことや。一般市民が預けたお金を、自分の事業につぎ込んでたちゅうことや」
マリコ「それ、泥棒やん」
サチコ「まあ、法的には横領罪やな。総額で約270億ドル、日本円で4兆円以上の損害を出してんねん」
マリコ「4兆円...想像つかへんな」
サチコ「ベトナムのGDPの約6%に相当する額や」
マリコ「GDP6%!?日本で言うたらどれくらい?」
サチコ「日本のGDPは約600兆円やから、6%やと36兆円や」
マリコ「36兆円!?消費税何年分やねん」
サチコ「計算してみ。消費税収入は年間約23兆円やから、1年半分くらいやな」
マリコ「えー!1年半分の消費税を一人で盗んだようなもんか」
サチコ「まあ、規模感としてはそんな感じや」
マリコ「で、その人は死刑になったん?」
サチコ「そうや、2024年4月に死刑判決を受けた。でもな、2025年6月にベトナムで法改正があって、横領罪の死刑が廃止されたんや」
マリコ「えっ、ほな助かったん!?」
サチコ「死刑は免れた。終身刑に減刑されたんや」
マリコ「終身刑か。まあ、一生牢屋やろうけど」
サチコ「でもな、さらに面白い話があってな。もし横領額の4分の3、つまり約90億ドルを返還したら、刑期がさらに短くなる可能性があるらしい」
マリコ「90億ドル返したら減刑?お金で刑罰買えるん?」
サチコ「そこが議論になっとるとこやな。金持ちは金で罪を軽くできるんか、っていう」
マリコ「不公平やな。私が万引きしたら絶対捕まるのに」
サチコ「うわ、あんた、万引きしたことあるんか?」
マリコ「ないわ!例え話や!」
サチコ「まあ、法の前の平等って何なん、って話やわな」
マリコ「でもさ、そもそもこの人、なんでそんな大きな会社作れたん?」
サチコ「そこがこの話の面白いとこやねん。彼女の人生は、ベトナムの発展史そのものなんや」
マリコ「ベトナムの発展史?」
サチコ「チュオン・ミー・ランは1956年にサイゴン、今のホーチミン市で生まれた」
マリコ「1956年か。うちのおばあちゃんより年上やな」
サチコ「当時のベトナムはまだ南北に分断されとって、ベトナム戦争が始まろうとしとる時期や」
マリコ「戦争の時代に生まれたんやな」
サチコ「せや。彼女の家族は華人、つまり中国系ベトナム人で、ホーチミン市の市場で化粧品や髪飾りを売る露天商やったんや」
マリコ「露天商!?屋台みたいな?」
サチコ「せやせや。ベンタイン市場っていう有名な市場で、お母さんと一緒に商売しとった」
マリコ「へー、そういう小さいとこからスタートしたんや」
サチコ「1975年にベトナム戦争が終わって、南北統一されたやろ。そこからベトナムは社会主義国家になって、私有企業は禁止、計画経済になった」
マリコ「計画経済?」
サチコ「政府が全部決める経済や。何を作るか、いくらで売るか、誰に売るか、全部国が決める」
マリコ「自由に商売できへんのか」
サチコ「できへん。で、どうなったかというと、経済はボロボロになった。インフレ率700%超え、国民の大半が貧困に苦しんだ」
マリコ「700%!?100円のパンが700円になるってこと?」
サチコ「そういうこっちゃ。1年で物価が8倍になるような状態や」
マリコ「それはヤバいな」
サチコ「せやから、1986年にベトナム共産党は大転換を決断した。それがドイモイ政策や」
マリコ「ドイモイ?」
サチコ「ベトナム語で刷新っていう意味や。社会主義体制を維持しながら、市場経済を導入するっていう大改革やった」
マリコ「社会主義と市場経済の合体?ハイブリッドやな」
サチコ「まさにそう。中国の改革開放と似た路線や。私有企業が認められて、外国投資も解禁されたんや」
マリコ「ほな、自由に商売できるようになったんやな」
サチコ「せやねん。で、チュオン・ミー・ランはこの波に乗ったんや。1992年にバン・ティン・ファット・グループっていう会社を設立して、不動産業に参入した」
マリコ「露天商から不動産会社の社長に?」
サチコ「そうや。ドイモイ政策で土地の売買が可能になって、都市開発が進んだ。彼女はホーチミン市の一等地を次々と買い占めて、高級ホテルやショッピングセンターを建てた」
マリコ「うまいこと波に乗ったんやな」
サチコ「ほんまやな。1990年代のベトナムは年平均7~8%の経済成長率を達成して、アジアの虎と呼ばれるようになった」
マリコ「虎!カッコええな」
サチコ「2007年にはWTOにも加盟して、世界経済に完全に組み込まれた。で、この時期、彼女の資産も急増しとる」
マリコ「時代の追い風に乗ったんやな」
サチコ「せや。でも問題は、経済成長のスピードに法制度が追いつかへんかったことや」
マリコ「どういうこと?」
サチコ「銀行の監督体制が甘かった。規制はあっても、それを執行する力が弱かった。で、賄賂が横行した」
マリコ「賄賂?」
サチコ「彼女は国家銀行、つまり中央銀行の検査官18人に賄賂を渡して、不正を見逃させてた」
マリコ「中央銀行の人まで買収したん!?」
サチコ「せや。最高で39万ドル、約6000万円を一人の検査官に渡してた」
マリコ「6000万円!私の年収何年分やねん」
サチコ「お前の年収知らんけど、まあ普通のサラリーマンの20年分くらいやろな」
マリコ「20年分の給料もらったら、そら黙るわな」
サチコ「せやから、10年間もこの不正が見逃されてた。2012年から2022年まで、誰も止めへんかった」
マリコ「10年も!?なんで誰も気づかへんかったん?」
サチコ「気づいとる人はおったと思うで。でも、金で黙らされるか、権力で押さえ込まれるかしとった」
マリコ「恐ろしい話やな」
サチコ「せやねん。で、転機は2016年に来た」
マリコ「何があったん?」
サチコ「グエン・フー・チョンっていう共産党書記長が、燃える炉っていう反汚職キャンペーンを始めたんや」
マリコ「燃える炉?」
サチコ「ベトナム語でドット・ローって言うんやけど、汚職を焼き尽くすっていう意味や」
マリコ「かっこええ名前やな!」
サチコ「このキャンペーンで、大物政治家や実業家が次々と逮捕された。元大統領や首相経験者まで含まれとる」
マリコ「元大統領まで!?」
サチコ「せや。聖域なき汚職撲滅を掲げて、誰であっても例外なしや」
マリコ「共産党が自分たちの汚職を取り締まるって、珍しいな」
サチコ「まあ、いろんな見方があるわな。本当に汚職撲滅なのか、政治的な権力闘争なのか」
マリコ「どっちなん?」
サチコ「両方やと思う。汚職がひどすぎて国民の不満が高まっとったのは事実やし、同時に政敵を排除する手段としても使われとる」
マリコ「なるほど。チュオン・ミー・ランもその流れで捕まったんや」
サチコ「せや。2022年10月に逮捕されて、その直後にサイゴン商業銀行で取り付け騒ぎが起きた」
マリコ「取り付け騒ぎ?」
サチコ「銀行がヤバいって噂が広がって、みんなが一斉に預金を引き出そうとすることや」
マリコ「あー、銀行の前に長蛇の列ができるやつか」
サチコ「せやせや。結局、ベトナム国家銀行が管理下に置いて、なんとか収拾したけどな」
マリコ「危なかったんやな」
サチコ「そうや。で、2024年3月から4月にかけて裁判があって、86人の被告が裁かれた」
マリコ「86人!?」
サチコ「彼女一人でこんな大規模な不正はできへん。家族、部下、銀行幹部、政府関係者...みんなグルやったんやな」
マリコ「組織的犯罪やな」
サチコ「せや。で、チュオン・ミー・ラン本人は裁判で何て言うたと思う?」
マリコ「何て?」
サチコ「私は銀行経営についてほとんど専門知識を持っていない。こんな困難なビジネス環境に関与するほど愚かだった、って」
マリコ「えー!自分は何も知らんかったって言うてるん?」
サチコ「せや。銀行の93%の融資を自分の会社に流しといて、知らんかったは通らへんやろ」
マリコ「そら無理やわ。私でもそれはおかしいって思うわ」
サチコ「結局、裁判所は死刑判決を下した。経済犯罪で死刑は異例中の異例や」
マリコ「なんでそこまで厳しかったん?」
サチコ「見せしめやと思う。どんな大金持ちでも権力者でも、共産党の統制を超えて暴走したら許さへん、っていう明確なメッセージや」
マリコ「なるほど。国家の威信をかけた裁判やったんやな」
サチコ「せや。で、さっき言うたように、2025年6月の法改正で死刑は終身刑に減刑された」
マリコ「運が良かったんやな」
サチコ「まあ、終身刑も一生牢屋やからな。68歳の彼女にとっては、実質的に人生の終わりや」
マリコ「68歳か。普通やったら孫と遊んどる年齢やのにな」
サチコ「せやな。露天商から始まって、不動産女王として栄華を極めて、最後は獄中で人生を終える。まさに波乱万丈や」
マリコ「でもさ、サチコ」
サチコ「なんや」
マリコ「この人の話聞いとったら、なんか複雑な気持ちになるわ」
サチコ「どういう意味や」
マリコ「だって、最初は市場で化粧品売っとった普通の女の人やったんやろ?ドイモイ政策っていうチャンスを掴んで成功した」
サチコ「せやな」
マリコ「それ自体は悪いことちゃうやん。むしろすごいことやん」
サチコ「確かにな」
マリコ「でも、どっかで道を踏み外した。いつから悪い人になったんやろ?」
サチコ「ええ質問やな。うちもな、たぶん、最初から悪い人やったわけちゃうと思うんや」
マリコ「じゃあ、何が彼女を変えたん?」
サチコ「システムやと思う。規制が甘くて、賄賂が効いて、誰も止めてくれへん。そういう環境におったら、普通の人でも道を踏み外す可能性は大いにある」
マリコ「環境が人を変えるってこと?」
サチコ「せや。もちろん、最終的な責任は本人にある。でも、制度がしっかりしとったら、ここまで大きな犯罪にはならへんかったかもしれん」
マリコ「なるほどなぁ」
サチコ「ベトナムは1986年から市場経済を導入したけど、法制度や監督体制の整備は遅れた。経済の自由化と制度の整備の間に30年近いギャップがあった」
マリコ「そのギャップを利用されたんやな」
サチコ「せや。これは新興国が急速に発展する時によく起きる問題や。中国でも似たような汚職事件が起きとる」
マリコ「日本は大丈夫なん?」
サチコ「日本も昔はひどかったで。高度経済成長期には汚職や談合が横行しとった。ロッキード事件とか、リクルート事件とか」
マリコ「あー、聞いたことあるわ」
サチコ「時間をかけて制度を整備して、少しずつマシになってきた。でも今でも政治資金の問題とかあるやろ」
マリコ「確かに」
サチコ「完璧な国なんてないねん。大事なのは、問題が起きた時にちゃんと対処できるかどうかや」
マリコ「ベトナムは対処できたん?」
サチコ「まあ、遅かったけど、最終的には逮捕して裁判にかけた。燃える炉キャンペーンで大物も捕まえとる」
マリコ「それは評価できるんかな」
サチコ「評価は分かれるな。厳しい処罰で汚職を抑止できるっていう見方もあれば、根本的な制度改革がなければ同じことが繰り返されるっていう見方もある」
マリコ「難しいな」
サチコ「せやな。でも、この事件から学べることはあると思うんや」
マリコ「何?」
サチコ「一つは、経済成長と制度整備は同時に進めなあかんってこと。どっちかが先走ると歪みが生まれる」
マリコ「うんうん」
サチコ「二つ目は、監視体制の独立性が大事やってこと。監視する側が買収されたら、何の意味もない」
マリコ「それはそうやな」
サチコ「三つ目は、法の前の平等。金持ちが金で罪を軽くできるようなシステムは、社会の信頼を壊す」
マリコ「90億ドル返したら減刑ってさっきの話やな」
サチコ「せや。あれは本当に問題やと思う」
マリコ「サチコ、私もひとつ学んだことあるわ」
サチコ「何や?」
マリコ「露天商から始めても、頑張ったら成功できるってこと!」
サチコ「いや、最後は終身刑やで。成功の定義がおかしいわ」
マリコ「でも途中までは成功しとったやん」
サチコ「途中までの成功に何の意味があんねん」
マリコ「ほな、私は途中までの成功を目指すわ」
サチコ「目標が低いんか高いんか分からへんわ」
マリコ「まずは露天商から始める!」
サチコ「何売るん?」
マリコ「漫才のDVD!」
サチコ「売れへんわ!今どき誰がDVD買うねん」
マリコ「ほな、漫才のNFT!」
サチコ「そっちのほうが売れへんわ!なんや漫才のNFTて!」
マリコ「じゃあ、漫才の仮想通貨!マリココイン!」
サチコ「詐欺やん!さっきの事件から何も学んでへんやん!っていうかあんた言うてるだけやろ!」
マリコ「だって、お金欲しいもん」
サチコ「お金欲しいのは分かるけど、まっとうに稼ぎなさい」
マリコ「まっとうに稼ぐって、どうやって?」
サチコ「面白い漫才して、ファンを増やして、劇場を満員にするんや」
マリコ「地道やな」
サチコ「地道が一番や。チュオン・ミー・ランかて、露天商の時が一番幸せやったかもしれへんで」
マリコ「そうかな」
サチコ「お母さんと一緒に市場で働いて、お客さんに喜んでもらって。その時は法律の問題もなかったし、終身刑の心配もなかった」
マリコ「確かに。シンプルな生活やな」
サチコ「大きくなりすぎると、守るものが増えて、失うものも増える。で、道を踏み外しやすくなる」
マリコ「人間てこわいな。ほな、うちらは小さいままでええかな」
サチコ「小さいっていうか、等身大でええんちゃう?無理に大きくなろうとせんでも」
マリコ「等身大の漫才師」
サチコ「せやせや。それでええねん」
マリコ「でもさ、サチコ」
サチコ「なんや」
マリコ「この話、ベトナムの人に聞いてもらいたいな」
サチコ「なんでや」
マリコ「だって、4万2000人以上の人が被害に遭ったんやろ?債券買った一般市民とか」
サチコ「せやな。多くの人が老後の資金とか、子どもの教育費とかを失ったらしい」
マリコ「その人たちのこと、忘れたらあかんと思うねん」
サチコ「...お前、たまにはええこと言うな」
マリコ「たまにはって何や!いつもええこと言うとるわ!」
サチコ「いや、いつもはボケ倒しとるやん」
マリコ「ボケの中に真実があるんや!」
サチコ「まあ、それはそうかもな」
マリコ「結局さ、大きな事件の裏には、たくさんの普通の人の人生があるんやと思う」
サチコ「せやな」
マリコ「4兆円って数字だけ見たら、ピンとこうへんけど、その4兆円は4万2000人の夢とか希望とか、老後の安心とかが詰まっとったわけやろ」
サチコ「せや。一人一人にとっては、一生かけて貯めたお金かもしれへん」
マリコ「それを考えたら、チュオン・ミー・ランの終身刑は、当然の報いなんかもしれへんな」
サチコ「せやな。法の正義って、被害者のためにあるんやから」
マリコ「うん。で、サチコ」
サチコ「なんや」
マリコ「私、一つ決めたことあるわ」
サチコ「何?」
マリコ「今日からベトナム料理屋さんに行く時は、ちゃんとお金払うわ」
サチコ「当たり前やろ!今まで払ってへんかったんか!?」
マリコ「違う違う!チップの話や」
サチコ「日本にチップの習慣ないやろ」
マリコ「ほな、ベトナムに行った時にチップ払うわ」
サチコ「お前、ベトナム行く予定あるんか」
マリコ「ない!」
サチコ「ないんかい!」
マリコ「でも、いつか行きたいなと思って」
サチコ「まあ、ベトナムはええ国やで。発展もしとるし、食べ物も美味しいし」
マリコ「ドイモイ政策のおかげやな」
サチコ「せやな。問題もあるけど、全体として見れば、ベトナムの発展はすごいことや」
マリコ「1989年には一人当たり96ドルやったのが、今は5000ドル超えとるんやろ」
サチコ「おお、ちゃんと覚えとるやん」
マリコ「50倍以上やで。私の貯金も50倍になったらええのに」
サチコ「50倍ってことは、1万円が50万円になるってことやで」
マリコ「私の貯金1万円しかないんか」
サチコ「知らんわ!自分の貯金くらい把握しとき」
マリコ「まあええわ。とにかく、ベトナムの発展はすごい」
サチコ「せや。でも、その発展の陰で犠牲になった人もおる。チュオン・ミー・ランの被害者たちもそうや」
マリコ「光あれば影あり、やな」
サチコ「せや。大事なのは、その影をなくす努力を続けることや」
マリコ「燃える炉キャンペーンみたいな?」
サチコ「それもそうやし、もっと根本的な制度改革も必要や。透明性のある行政、独立した司法、市民社会による監視...」
マリコ「難しいことばっかりやな」
サチコ「せやけど、それをせんかったら、また同じことが起きる」
マリコ「ベトナムには頑張ってほしいな」
サチコ「せやな。日本も他人事やないけどな」
マリコ「日本も?」
サチコ「政治資金の問題とか、官僚の天下りとか、企業の不正会計とか...規模は違うけど、根っこは同じ問題や」
マリコ「どこの国も大変やな」
サチコ「せや。だからこそ、私ら一人一人が関心を持って、おかしいことにはおかしいって声を上げることが大事なんや」
マリコ「私、声上げるわ!」
サチコ「何に対して?」
マリコ「ギャラが安いことに対して!」
サチコ「それは労働問題や!汚職と関係ないやろ!」
マリコ「でも、ギャラが安いから私も横領したくなる」
サチコ「したらあかん!終身刑になるで!」
マリコ「じゃあ、ギャラ上げて」
サチコ「うちに言うな!事務所に言え!」
マリコ「事務所に言うたら、もっと安くされそう」
サチコ「どんな事務所やねん」
マリコ「ブラック事務所や」
サチコ「そっちの問題解決せなあかんな」
マリコ「チュオン・ミー・ランより先に、うちの事務所を燃える炉で焼いてほしいわ」
サチコ「事務所焼けたら、うちらどこで漫才すんねん!もう、ええわ!」
マリコ「どうも、ありがとうございましたー」
サチコ「ありがとうございましたー」
二人「サチコ・マリコでしたー!」




