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サチコとマリコの時事ネタ漫才  作者: 藍埜佑


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第181話「言語は消えるで!~イーロン・マスクの『脳みそ直結』宣言と、私たちの頭に穴を開ける日~」

マリコ:(頭にコードをつけたようなパントマイムをしながら登場)ピロン♪ピロン♪……接続中……接続中……


サチコ:なんやなんや。舞台上でロボットの起動音出しながら登場すな。


マリコ:これはな、私がイーロン・マスクさんの予言に備えて、もう脳を直接ネットワークにつなぐ練習をしてるんや!


サチコ:コードもWi-Fiもないのに何も繋がってへんで。それただのパントマイムや。


マリコ:でも本当にもうすぐそんな時代が来るんやろ?マスクさんが言うてた。「言語は消滅するだろう」って!


サチコ:せやな。ニューラリンクって会社で「脳とコンピューターを直接つなぐ」チップを作ってて、2026年から大量生産を始めると宣言した。すでに世界で約20人が頭に埋め込んでる。


マリコ:20人!どんな人が入れてるんや!?


サチコ:最初はダイビング事故で四肢が麻痺した人や。そのチップを入れた後、思考だけでマウスのカーソルを動かしてチェスをプレイしたり、ビデオゲームをしたりして世界を驚かせた。


マリコ:えっ!思考だけでゲーム!?最強やん!ゲームコントローラー買わんでええやん!手が腱鞘炎にならんでええやん!


サチコ:そんな感想でええんか。まあ、それが今後どんどん進化して、最終的には「脳と脳が直接つながる」ところまで行くっていうのがマスクのビジョンや。


マリコ:脳と脳が直接!?つまり……私がサチコに「お腹すいた」って思った瞬間、サチコの脳に「お腹すいた」が飛んでくるんか?


サチコ:理論的にはそういうことになるわな。


マリコ:いや、それは困る。私の「お腹すいた」は四六時中飛んでいくで。サチコの脳が「また来たか」ってなるわ。


サチコ:そこが問題やない!でも、マスクが言う「言語は消滅する」の意味はもっと深いとこにあるんや。


マリコ:どういう意味なん?


サチコ:今な、人間がコミュニケーションするとき、「頭の中で思ったこと」を「言葉に変換して」「相手に伝えて」「相手が解釈する」っていう段階を踏むやろ?


マリコ:せやな。


サチコ:その過程で、情報が劣化するんや。思ってることを100%言葉にできひんし、言葉にしても相手が誤解するし、翻訳したらニュアンスが変わるし。つまり言語は「低帯域の通信手段」やと言うてるんや。


マリコ:低帯域!Wi-Fiで言うたら「電波1本」の状態やな。動画見ようとしたらクルクルしてずっと止まってるやつや。


サチコ:うまいこと言うな!で、脳と脳を直接つなげば、思ったことをそのままデータとして送れるから「言語という翻訳レイヤーが不要になる」っていうわけや。


マリコ:なるほど!じゃあ、例えば私がカレーの美味しさを伝えたいとき、「辛くてコクがあって……」って言葉で説明せんでも、あの口の中でとろけるルーの感触をそのままサチコの脳に送れるんか!


サチコ:理論上はそうなる。


マリコ:それ最高やん!言葉で伝えきれひんこと、山ほどあるもんな!「秋の夕暮れの切ない感じ」とか「やめようと思てるのにやめられへん謎の中毒」とか!


サチコ:「謎の中毒」はうちの脳に送らんでええ。感染するやろ。


マリコ:でもさ、「言語が消滅する」って言っても、完全になくなるわけやないんやろ?


サチコ:そうやね。マスクも正確には「言語が主役でなくなる」と言いたいみたいで、日常会話とか文学とか詩とか法律とか契約書は残ると言われてる。でも「高度な意思疎通」は言語を使わんようになる、と。


マリコ:ほな、漫才はどうなるん!?


サチコ:漫才?


マリコ:言語がなくなったら、漫才できへんやん!「アホか!」ってツッコめへんやん!「ワキの甘さ」も「間の取り方」も全部言葉の世界やん!


サチコ:「ワキの甘さ」とか「間」って、ほんまに漫才師らしい心配やな。感心するわ。確かにな、言語の「不完全さ」から生まれるもんって、すごく多いんやで。


マリコ:どういうこと?


サチコ:誤解とか曖昧さとか「言いたいことがうまく言えへん」っていうモドカシさ。それが実は文学にもなるし、ユーモアにもなるし、詩にもなるんや。俳句とかまさにそうやろ。「古池や蛙飛び込む水の音」の7割は行間で成立してる。


マリコ:確かに!「うるさいカエルがドボンと飛び込んで急に静かになって、その静けさの中で宇宙を感じた」って完璧に言語化したら俳句やなくなるもんな。わびもさびもあらへんわ!


サチコ:そう。言語の「低帯域ぶり」こそが芸術を生んでるんや。だから一部の専門家は「マスクの言い方は工学的には正しいが、人間のコミュニケーションを情報伝達にしか還元してへん」って批判してる。


マリコ:工学的には正しいが人間的には違う、か。理系の彼氏が「愛してるという言葉には科学的根拠がない」って言うようなもんか。


サチコ:そういう彼氏とは別れたほうがええで。でもな、マスクの本質的な狙いは「人間同士のコミュニケーション効率化」だけやないんや。AIとの関係や。


マリコ:AIと?


サチコ:AIは人間より圧倒的に速く思考する。その速さについていけへん人間は、AIの意思決定ループから完全に締め出される。「言語という低帯域出力しか持たない旧人類のまま」では、AIに乗り遅れる。だから脳と直接接続することで、人間をAIと「融合」させようとしてる。


マリコ:えっ、人間とAIが融合!?それってもう……


サチコ:「ホモ・サピエンスからホモ・コネクトゥスへの進化」って言われてる。


マリコ:ホモ・コネクトゥス!FF14の新職業みたいな名前やな!「ホモ・コネクトゥス、テレパシー必殺技が使えます!」


サチコ:必殺技とちゃう!でも、これが実現した場合、世界はユートピアになるんかディストピアになるんかっていう議論があるんや。


マリコ:ユートピアとディストピア。天国か地獄か、どっちや!


サチコ:まずユートピア側の話からいこか。脳が直接つながる世界では「誤解がほぼ消える」と言われてる。感情や意図をそのまま共有できるから、言葉のニュアンスで生じる誤解がなくなる。


マリコ:えっ、それ最高じゃん!誤解がなくなったら、戦争も減るんちゃう?「ロシアがウクライナの気持ちを直接脳で体験したら、侵攻できへんやろ」みたいな!


サチコ:そこなんやけど、「誤解が消えたら平和になる」は少し甘いと言われてるんや。


マリコ:へ?なんで?


サチコ:人間の対立って、誤解から生まれてるんやなくて「相手の意図を完璧に理解した上で、それでも利害が衝突するから」起きてることが多いねん。領土の争いとか資源の奪い合いは、誤解がなくても解決せえへん。むしろ相手の本音が丸見えになることで「やっぱりあいつは悪いやつや!」ってさらに対立が先鋭化するかもしれへん。


マリコ:「心が読めたら仲良くなれる」と思ってたけど、「心を読んで余計に嫌いになる」可能性もあるんか……姑と直接脳接続したら絶対に関係悪化するやつやん。


サチコ:先読みして悲観的になるな!でもそういう指摘はある。ユートピア側の可能性として他に大きいのは「教育革命」や。スキルや知識を直接インストールできるようになる。


マリコ:直接インストール!「マリコ・スキル」って入力したら、すべての芸が私の脳に入るん!?


サチコ:そんな都合のいいスキルは売ってへん。でも、外科医の手術技術とか、言語習得とか、楽器の演奏とかが、時間をかけずに習得できる可能性がある。


マリコ:学校の概念がなくなるんか!「ハーバード・インストール、1時間で完了!」みたいな?


サチコ:まあ理論上はな。それから「共感の爆発的拡張」。他人の痛みや喜びを直接体験できるなら、差別が成立しにくくなる。「自分とは違う人」への想像力が、技術で補完されるかもしれへん。


マリコ:難民の苦しみを直接体験できたら、誰も無関心でいられへんな。ガザの子どもたちの飢えを、世界のリーダーが直接脳で感じたら……。


サチコ:(少し間を置いて)そうやな。そこが一番意味のある部分かもしれへん。でも、次がディストピア側の話で、こっちの方が現実的に深刻や。


マリコ:どんな怖いことが起きるん?


サチコ:まず「心のプライバシーが消える」。思考や感情が読み取られる世界では、自分の内面が全部監視対象になる。ジョージ・オーウェルの「1984年」より怖い世界になる可能性がある。


マリコ:「1984年」か。「ビッグ・ブラザーが見ている」っていうアレやな。でも今の国家が脳データを握ったら……中国みたいな国が全国民の思考を監視できるってことやん。


サチコ:「反体制的思考が検出されました。再教育プログラムを開始します」ってなる。


マリコ:うわぁ!「私は正直者じゃないから一番困るんやけど! 隠したいこと100個あるねん!」


サチコ:隠したいことが100個あるって、それ自分で言うな!


マリコ:でも普通の人も「見せたくない心の中」ってあるやんか。「この人苦手やな」とか「今日の会議くそつまらんわ」とか。


サチコ:「心のプライバシー」が消えることは、実は人類の最も根本的な自由の喪失になりうるって言われてる。現代のスマホ監視よりも何十倍も深刻な話や。


マリコ:スマホは位置情報とか行動履歴やけど、脳は「思考そのもの」やもんな。


サチコ:そして二番目の恐怖が「脳のハッキング」や。脳がネットワークに繋がったら、ハッカーに「偽の記憶を植え付けられる」可能性が出てくる。


マリコ:偽の記憶!?「マリコはあの時自分でここに置いた」みたいな記憶を植え付けられたら、なんでも自分のせいにされるやん!


サチコ:「感情の強制誘導」もできるようになる。「この商品を見ると幸せになる」みたいな感情をプログラムで植え込まれて、気づかへんうちに購買行動を操られるとか。


マリコ:えっ、それ今のSNSのアルゴリズムの脳内版やん!YouTubeがお勧めを操作するんやなくて、脳みそが直接操作される!


サチコ:サイバー攻撃がそのまま精神攻撃になる世界や。


マリコ:怖すぎる……。それに、さっきの「自我の崩壊」問題もあるよな。脳と脳が直接つながったら、「どこまでが自分の思考で、どこからが他人の思考か」分からんくなるんちゃうか?


サチコ:おっ、マリコ。ええとこ突いてきたな。それを「ハイブマインド化」って言うんや。蟻の巣みたいに、個別の意思がなくなって全体の意思だけが残る状態。


マリコ:個別の「私」がなくなるんか……それはなんか、死んでるのと変わらん気がするな。


サチコ:それが今日の一番の哲学的問いとつながってくる。「人間は個であり続けるべきか」っていう問いや。


マリコ:個であり続けるべきか……。でも私、「完全な個」って、実はもともと存在してへんと思うんやけど。


サチコ:お、どういうことや?詳しく聞かせてもらおやないか。


マリコ:私が今日しゃべってることも、全部誰かから学んだ言語で、誰かの影響を受けた考え方で、お母さんに育てられた感情で……「完全に私だけのもの」って何もないかもしれへん。


サチコ:マリコ、すごいな。それはウィトゲンシュタインっていう哲学者が言ったことに近いで。「思考は言語に依存し、言語は社会に依存する。つまり完全に孤立した個は存在しない」って。


マリコ:私の考えをドイツの哲学者も考えてたんか!向こうも私と脳が繋がってたんか!


サチコ:時代が違いすぎるわ。でも、「人間はもともと他者でできている」という意味では、一人じゃないんや。


マリコ:でも逆に「完全な一体」になったらどうなるんやろ。みんなの思考が全部繋がって一つになったら。


サチコ:「選択が消える」「創造性がなくなる」「自由が成立しない」って言われてるな。創造ってな、「他人と違うズレ」や「誤解」から生まれるんやって。完全に同期された世界では新しいものが生まれにくい。


マリコ:漫才も同じやな!私がサチコの考えを100%分かって、サチコが私の考えを100%分かってたら、ボケとツッコミが成立せえへんもんな。


サチコ:(笑いながら)鋭いな。漫才はお互いの「ズレ」が命やからな。


マリコ:じゃあ、「半透過的な個」がええってことか?


サチコ:そう。「つながれるが、切り離せる存在」が理想や。インターネットもSNSも、繋がることもできるし切断もできるやろ?BCI(Brain-Computer Interface)もそうあるべきで、接続のON/OFFが自分でできることが絶対条件や。


マリコ:でも現実には、スマホを「使わない自由」ってどんどん形骸化してるやんか。スマホ持ってへんと色々不便になって、気づいたら「みんな持ってて当然」になってるもんな。


サチコ:そこが一番現実的な懸念や。「便利さへの欲求」が、少しずつ自由を削っていく。最初は医療用途で「麻痺の治療のため」で始まって、次に「エリート層の能力強化」になって、最終的に「使わないと社会から置いてかれる」になっていく。


マリコ:「脳チップ、持ってない人はお断り」みたいな時代が来るんか。


サチコ:「接続者と非接続者の階級社会」や。高価なチップを持てる富裕層と、持てない貧困層で「人類の能力の格差」が固定化される。


マリコ:資本主義の究極形やな。お金持ちは文字通り「頭が違う」人間になるんか。


サチコ:そこで「誰がこの技術を所有するか」っていう問題が出てくるんや。ニューラリンクは民間企業で、マスクがトップや。その会社が脳データを握ったら……。


マリコ:えっ……脳データ、企業が持つん?


サチコ:今のSNSがあなたの「いいね」と「行動履歴」を持ってるのと同じように、BCIの世界では「あなたの思考そのもの」を企業が持つことになるかもしれへん。


マリコ:怖っ!「マリコさんの今朝の夢」も「マリコさんの心の声」も全部データとして蓄積される……それで広告が出てくるんか。「マリコさんは今、コーンスープを食べたいと思っています。当社の新商品を試してみませんか?」みたいな。


サチコ:ええ加減コーンスープへの執着をどうにかしてくれ!でも本質的にはそういうことや。だから専門家は「脳データは個人の最もセンシティブな情報で、個人所有が前提でなければならない」って言ってる。


マリコ:「魂の所有権」の問題やな。


サチコ:まさにそう表現されることもある。あと「接続の自由とオプトイン原則」。接続は絶対に任意で、強制や差別的扱いを禁じる法整備が必要。「接続してへんから就職できへん」はアカン。


マリコ:「技術の透明性」も大事やな。その脳チップの中で何をやってるか、ブラックボックスはアカン。


サチコ:おっ、マリコ。ほんまに今日は鋭いな。


マリコ:せやろ!今日は私、脳を直接接続したみたいに冴えてるわ!


サチコ:チップなしで冴えてんのが一番ええんやけどな。でな、この問いの最後に、ものすごく重い問いがあるんや。


マリコ:なに?


サチコ:「あなたは他人の痛みを引き受ける覚悟があるか?」


マリコ:(少し黙って)……それは?


サチコ:もし脳が直接つながって、ガザで飢えてる子どもの苦しみが、今この瞬間あなたの脳に流れ込んできたら。ウクライナで砲撃の中にいる家族の恐怖が、全解像度であなたの脳に伝わったら。


マリコ:……それに耐えられる人間が、どれだけおるやろ。


サチコ:研究者は「大多数の人はNOと答える」と言ってる。他人の絶望やトラウマをそのまま味わう覚悟を本当に持てる人は極めて少ない。


マリコ:だからSNSでも、見たくないニュースはスクロールして流せるし、遠い国の悲劇は「かわいそうやな」で終わらせられるんやな。言語というフィルターが、ある意味で私たちを守ってくれてた。


サチコ:「言語の不完全さ」が「人間の精神の防衛壁」でもあったんや。フルHDで全人類の苦しみを感じ続けたら、人間の精神は崩壊する。「共感のオーバードーズ」って言われてる。


マリコ:皮肉やな。「誤解がなくなれば平和になる」と思ってた技術が、「全部分かりすぎて精神崩壊する」世界を作るかもしれへんのか。


サチコ:だからこそ「どこまで共有するかを自分で選べること」が最後の砦や。「他人の痛みを引き受ける覚悟」を問われた時に、全部は無理でもせめて「一部は引き受けようとする選択」を自分でできること。


マリコ:「秘密を持つ権利」が守られること、か。


サチコ:「透明性は善、隠すことは悪」っていう現代の空気に逆らって、「脳に秘密のある部屋を持つ権利」が法律と文化で守られる必要がある。


マリコ:私的には、それが一番難しいと思う。だって「隠してるってことは後ろめたいことがあるんやろ」って空気、すごい強いもんな。


サチコ:そうやな。でも「隠せること」こそが人間の自由の前提やっていう再認識が、この時代に必要なんや。


マリコ:まとめると、どういうことや?


サチコ:言語は消えへん。でも「主役の座」をAIとBCIに少しずつ譲っていく。本当の問いは「個がどこまで可逆的で、どこまで秘密を許されるか」を社会がどう設計するか。ユートピアとディストピアの分岐は「接続のON/OFFを誰が握るか」で決まる。


マリコ:「接続する権利」やなくて「切断する権利」を守る、か。


サチコ:「完全な個」も「完全な一体」も不自然で、「半透過的な膜のような個、つながりながらもいつでも『ここは私の領域』と言える存在」が、次の人間の姿や。


マリコ:サチコ、あんな、うちな、今日の話聞いて思ったんやけど。


サチコ:なんや。


マリコ:今の私らの漫才って、すごい贅沢なことやと思って。


サチコ:贅沢?


マリコ:言語の「不完全さ」を全力で使って笑いを取ってるやん。ボケって「本来の意味から外れる」ことやし、ツッコミって「ズレを指摘する」ことやん。誤解と、ニュアンスと、行間と、タイミングと……全部「言語が不完全やから」成立してるんや。


サチコ:……それはほんまにそうやな。


マリコ:脳が直接つながって全部が分かり合える世界になったら、漫才はなくなるかもしれへん。でも逆に言うたら、私らが今こうして言葉で笑い合ってる間は、人間はまだ「個」として生きてるってことや。


サチコ:マリコ。今日の一番かっこいいセリフ、言うたな。


マリコ:たまにあるねん、こういう瞬間が。かっこええやろ!


サチコ:言語が消えた世界で最後まで残るのが漫才やったら、おもろいけどな。


マリコ:絶対残したるで!……あっ、でも一個だけ聞いといてええか?


サチコ:なんや。


マリコ:Neuralinkのチップ、頭に穴開けて入れるんやろ?……どんくらい痛い?


サチコ:手術ロボットで全身麻酔でやるんから、手術中は痛くないで。


マリコ:レーシックみたいに日帰りでできるようにしたいって言うてたな。


サチコ:そうや。「気軽に脳チップを入れる時代」を目指してる。


マリコ:……「そんじゃ私もちょっと入れてきます」みたいな感じで入れる時代が来るんか。コンビニでタピオカ頼むのと同じくらいの気軽さで。


サチコ:「脳チップ、ショートとロングどっちにしますか」にはならへんと思う。


マリコ:私は絶対「ショート」にして、お腹すいた信号だけ飛ばせるようにするわ!


サチコ:「お腹すいた」専用の脳チップとか要らんわ!


マリコ:でもサチコ、真面目な話、この技術が普及する前に「ルールを決めること」がほんまに大事やな。スマホの時は普及してから問題が出て、後追いでルール作り始めたやんか。脳チップはもっと手遅れになったら怖いで。


サチコ:そこは今、世界中の研究者と政策立案者と倫理学者が必死に議論してる。「脳データの個人所有」「接続の自由」「透明性と監査」「ハッキング対策」「公平なアクセス」……全部、今から設計せなあかん。


マリコ:もし「切断する権利」が守られない世界になったら、私が戦うわ。「切断権利リーグ」を結成して!


サチコ:リーグ結成が早すぎる。


マリコ:スローガンは「私の脳に無断で接続すな!ワイヤレスは嫌や!」!


サチコ:語呂が悪すぎてスローガンにならへんわ!


マリコ:でもほんまに最後に一個だけ。マスクさんは「言語は消滅するだろう」って言うたけど、私は「言語と漫才は最後まで残る」って思てる。なんでか分かるか?


サチコ:なんで?


マリコ:効率悪くて、誤解されて、伝わらなくて、それでもなんとかして伝えようと格闘する。そこに人間らしさがあるんやと思う。「うまく言えへん」ことを、それでも必死に言おうとすること。漫才ってまさにそれやん。


サチコ:……マリコ、今日は最初から最後まで、ほんまにええこと言い続けてたな。


マリコ:せやろ!今日の私の脳、完全に「高帯域モード」やったわ!チップなしで!


サチコ:チップなしで高帯域になれるなら、最初からチップいらんやないか!いつもその感じで頼むわ!


マリコ:ということで、次回は「脳チップを入れたマリコ、サチコの考えを読みすぎてツッコミを全部先読みして、漫才にならない」をお届けします!


サチコ:漫才の崩壊を予告すな!もうええわ!


マリコ・サチコ:どうもありがとうございましたー!


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