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サチコとマリコの時事ネタ漫才  作者: 藍埜佑


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第176話:「消えゆく街角のオアシス~自販機撤去ラッシュと『安さの代償』、そして残された防災インフラの行方~」

マリコ「どうもー!サチコ・マリコでーす!」


サチコ「よろしくお願いしますー」


マリコ「サチコ、私な、今日めっちゃショックなことあってん」


サチコ「何があったんや。財布でも落としたんか」


マリコ「ちゃうねん。いつもの帰り道にある自販機がな、ごっそり無くなっとってん!」


サチコ「あー、自販機撤去か。最近多いよな」


マリコ「めっちゃ困るねん!あそこの自販機のコーンスープ、冬の帰り道のオアシスやってん!あの『最後のひと粒が出てこない問題』と格闘するのも含めて私のルーティンやったのに!」


サチコ「ああ、あれ地味にイライラするよな。でもなマリコ、その自販機が消えたのって、単なる『ちょっとした不便』で終わる話やないねん」


マリコ「え、どういうこと?裏で巨大な陰謀が動いてるとか?」


サチコ「陰謀やない。構造変化や」


マリコ「構造変化...また難しそうな言葉出てきたな」


サチコ「分かりやすく説明するわ。まず、今日本の自販機業界で何が起きてるか。ダイドーグループホールディングスは過去最大の303億円の赤字出して、27万台のうち不採算の2万台を撤去するって決めたんや」


マリコ「2万台!?私のコーンスープもその犠牲に...」


サチコ「さらに、ポッカサッポロは自販機事業を売却して事実上撤退。あのコカ・コーラでさえ、自販機事業で881億円の減損損失を出してるんやで」


マリコ「ええっ!天下のコカ・コーラ様が!?なんでそんなことになってもうたん?」


サチコ「理由はいくつかあるんやけど、一番デカいのは『スーパーとドラッグストアの台頭』や」


マリコ「あー、確かに。スーパー行ったら、お茶が80円とかで売ってるもんな。自販機やと150円とかするし」


サチコ「それや。インフレでみんなのお財布の紐が固なっとる今、毎日150円のペットボトル買うのって、けっこうな贅沢になってきてるんや」


マリコ「私なんて、スーパーの特売日に水箱買いして、水筒に入れて持ち歩いてるもん」


サチコ「それが『自販機離れ』の象徴的な行動や。昔は『喉乾いたなー、チャリン』やったのが、今は『あ、水筒忘れた。まあ後でスーパー寄るしええか』になってるんや」


マリコ「確かに!なんか自販機で買うと『負けた感』あるもんな」


サチコ「『負けた感』て。でも、スーパー側からしたら、その心理は狙い通りなんやで」


マリコ「狙い通り?」


サチコ「スーパーにとって、飲料の安売りは『客寄せパンダ』やねん。お茶を80円で売って利益出んくても、ついでにお肉とか野菜とか買ってもらえれば、トータルで儲かる仕組みなんや」


マリコ「『ロスリーダー戦略』ってやつやな!」


サチコ「おっ、マリコ、よく知ってるな!」


マリコ「この前、スーパーの裏で店長がバイトに力説してるの聞いてん」


サチコ「盗み聞きかい!でも、その通りや。自販機は定価販売しかできへんから、この『ついで買い』のパワーには太刀打ちできへんのや」


マリコ「なるほどなー。でもサチコ、自販機って電気代とか結構かかりそうやけど」


サチコ「そこも痛いところや。24時間ずっと冷やしたり温めたりせなあかんし、新紙幣の対応でお金もかかる。それに、商品を補充するトラックの運転手さんの人手不足...いわゆる『2024年問題』も直撃してる」


マリコ「電気代高騰、新紙幣対応、人手不足...。トリプルパンチやん。そら撤退もするわ」


サチコ「さらに、外食産業の変化も影響してるんやで」


マリコ「外食?レストランと自販機って関係あるん?」


サチコ「コンビニの100円コーヒーや、ファストフード店のドリンクバーが普及したやろ?昔は『仕事の合間に缶コーヒーで一服』やったのが、今は『コンビニコーヒーで一服』に変わったんや」


マリコ「あー、確かに!淹れたてのコーヒーの方が美味しいもんな」


サチコ「そういう『体験』の価値には、自販機は勝てへん。結果として、自販機は『スーパーより高くて、カフェより体験価値が低い』っていう、どっちつかずのポジションに追いやられてしまったんや」


マリコ「なんか、自販機がめっちゃかわいそうに思えてきた...」


サチコ「同情する気持ちは分かる。でもな、自販機が減ることで、実はもっと深刻な問題が起きる可能性があるんや」


マリコ「深刻な問題?」


サチコ「『防災インフラ』としての役割が失われることや」


マリコ「防災インフラ?自販機が?」


サチコ「そうや。災害対応自販機って知ってるか?」


マリコ「あ、地震の時とかに、無料で飲み物出してくれるやつ?」


サチコ「それや。東日本大震災の時には、約400台が稼働して、8万8000本以上の飲料が無償提供されたんやで」


マリコ「へー!すごい役に立ってるやん!」


サチコ「飲料だけやない。電光掲示板で災害情報を流したり、停電時でも手回し発電機で動いたり、Wi-Fiのアクセスポイントになったりする機種もある」


マリコ「もはやただの箱ちゃうやん!街のスーパーヒーローやん!」


サチコ「そう、1台に400~500本の飲料が入ってるってことは、全国の自販機が『分散型の備蓄倉庫』になってるってことなんや」


マリコ「なるほど!巨大な倉庫をドーンって作るより、街のあちこちにちょっとずつ置いておく方が、いざって時に助かるもんな」


サチコ「でもな、ここで大きな矛盾が起きるねん」


マリコ「矛盾?」


サチコ「採算が取れなくて撤去される自販機って、どんな場所にあると思う?」


マリコ「うーん...人があんまり通らへんような、田舎道とか、住宅街の路地裏とか?」


サチコ「その通りや。でも、そういう場所って、近くにコンビニもスーパーもないことが多いやろ?」


マリコ「あ...」


サチコ「つまり、災害の時に一番支援が届きにくくて、自販機の備蓄が頼りになる場所から、自販機が消えていってるんや」


マリコ「それって、一番アカンやつやん!命綱切られてるようなもんやん!」


サチコ「経済合理性だけを追求すると、こういう『防災の空白地帯』が生まれてしまうんや」


マリコ「じゃあ、どうしたらええの?メーカーに『赤字でも置いといて!』って頼むん?」


サチコ「それは民間企業には酷な話や。だから、これからは『自販機=民間企業の儲けの道具』っていう考え方を変えなあかん」


マリコ「どう変えるん?」


サチコ「『街の公共インフラ』として扱うべきやって声が上がってるんや。例えば、自治体が設置費用や電気代の一部を補助するとか、公園や避難所に優先的に設置するとか」


マリコ「なるほど!信号機や街灯みたいに、みんなで支える仕組みにするんやな!」


サチコ「そういうことや。あとは、複数のメーカーが相乗りして1台の自販機で売る『シェアリング』も進むやろな。ライバル同士が手ぇ組んで、コストを下げるんや」


マリコ「コカ・コーラとペプシが同じ自販機に並ぶ日も来るかもしれんのか!胸熱やな!」


サチコ「そこまではいかへんかもしれんけどな。でも、生き残るためにはそれくらいの覚悟が必要や」


マリコ「サチコ、私な、今日のお話聞いて、なんか反省してん」


サチコ「どうした、急に」


マリコ「安さばっかり追い求めて、自販機の価値を見落としてたなって。150円の中には、冷たさとか温かさだけやなくて、いざという時の安心代も含まれてたんやなって」


サチコ「おっ、マリコ。今日はええこと言うやんけ」


マリコ「そやろ?だから私、これからはもっと自販機で買うようにするわ!」


サチコ「おお、その心意気は立派や」


マリコ「まずは、あの撤去された自販機の場所に行って、コーンスープの缶をお供えしてくるわ」


サチコ「お供えすな!ただの不法投棄や!」


マリコ「『今までありがとう、そして、さようなら...』って」


サチコ「ドラマチックにすな!しかも、まだ全国に200万台以上あるんやから、完全に消えたわけやない!」


マリコ「そっか。じゃあ、残ってる自販機を巡る『自販機お遍路』の旅に出るわ」


サチコ「お遍路!?どんだけヒマやねん!」


マリコ「88ヶ所巡って、全部で『当たり』出すまで帰れまテン!」


サチコ「一生帰ってこられへんわ!もうええわ!」


マリコ・サチコ「ありがとうございましたー!」

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