第170話「宇宙で一番弱いくせに一番偉い力~グラビトン発見への一歩と、串カツの二度づけ禁止が教えてくれる科学の作法~」
マリコ「どうもー!サチコ・マリコでーす!」
サチコ「よろしくお願いしますー」
マリコ「サチコ、私な、最近ずっと考えてることがあんねん」
サチコ「何を考えてるん?」
マリコ「重いねん」
サチコ「重い?何が重いん?人生?」
マリコ「違う。体重の話やない。重力の話や」
サチコ「重力!?急に物理の話か」
マリコ「朝起きて布団から出られへんかったんや。で、思ったん。「なんで私は布団に引っ張られてるんやろ」って」
サチコ「それは重力やなくて、ただの怠惰や」
マリコ「怠惰ちゃうねん。地球が私を引っ張っとるんやろ。その力って、何が運んでるんやろって」
サチコ「...何が運んでる?」
マリコ「電気は光子が運んでるんやろ。核の力はグルーオンっていうのが運んでる。弱い力はウィークボソンが運んでる。ほな、重力は誰が運んでるん?」
サチコ「...マリコ、あんた今日、朝からどうしたん?賢いんかアホなんか全然わからへんようになっとるやんけ」
マリコ「んで、布団の中でスマホ見とったら、すごいニュースを見つけてん」
サチコ「そろそろ布団から出ろや」
マリコ「九州大学と神戸大学の研究チームがな、重力を運ぶ粒子、つまりグラビトンの手がかりを見つけたっていうニュースや」
サチコ「あー、2月12日のやつやな。Physical Review Lettersに載った論文」
マリコ「Physical Review Letters!なんか強そうな名前やな」
サチコ「強そうやなくて、物理学で一番権威ある学術誌の一つや」
マリコ「一番権威ある!週刊少年ジャンプみたいなもんか」
サチコ「ジャンプやない!学術誌や!連載してるのは漫画やなくて論文や」
マリコ「打ち切りとかあるんか」
サチコ「ない!査読っていう審査があるだけや。でもな、マリコ、今回の話は本当にすごい話やで」
マリコ「すごいんか」
サチコ「すごい。なんでかっていうと、重力を運ぶ粒子「グラビトン」は、自然界の4つの力を伝える粒子の中で唯一、まだ見つかってへんねん」
マリコ「唯一!最後の一個か」
サチコ「最後の一個。自然界には4つの力があってな。まず電磁気力。これを運ぶのが光子。発見済み」
マリコ「光子。光の粒やな。さっきもうちが言うたけど」
サチコ「次に、強い力。原子核の中でクォークをくっつけてる力。これを運ぶのがグルーオン。発見済み」
マリコ「グルーオン。糊みたいな名前やな。まあ、それもさっきうちが言うたけどな」
サチコ「glue、糊から来とるからな。で、弱い力。放射性崩壊とかに関わる力。これを運ぶのがW粒子とZ粒子。発見済み」
マリコ「WとZ。なんか最後のアルファベットに近いな。追い込まれてる感じがする」
サチコ「追い込まれてへん。で、最後。重力。これを運ぶはずの粒子がグラビトン」
マリコ「グラビトン」
サチコ「これが未発見なんや」
マリコ「4つの力のうち3つまでは運び屋が見つかってて、重力だけ運び屋が行方不明やと」
サチコ「行方不明って言い方は変やけど、まあそういうことや」
マリコ「重力の配達員が見つからへん。Uber Eatsに頼まなあかんな」
サチコ「配達員って言うな。それに微妙に食い意地出とるし!でも比喩としては合うてる」
マリコ「Uber Eatsで注文したのに、配達員がずっと見つかりませんみたいな状態か」
サチコ「せやから宇宙規模でUber Eatsの話はせんでええ」
マリコ「でもなんで見つからへんの?重力って身近やん。りんごが落ちるのも、私が布団から出られへんのも重力やろ」
サチコ「身近やけど、実は4つの力の中で圧倒的に弱いんや」
マリコ「弱い!?布団に張り付けるくらい強いのに!?」
サチコ「冷蔵庫にマグネット貼れるやろ。あのちっちゃい磁石が、地球全体の重力に勝って冷蔵庫にくっついてるんやで」
マリコ「あ...確かに。地球丸ごとの重力より、100円の磁石の電磁気力の方が強いんか」
サチコ「強い。具体的に言うと、重力は電磁気力の10の36乗分の1や」
マリコ「10の36乗分の1!?それ、どれくらい弱いん」
サチコ「1の後ろにゼロが36個つく数字で割るんや。つまり、1000000000000000000000000000000000000分の1」
マリコ「ゼロが多すぎて数えられへん」
サチコ「数えんでええ。とにかくめちゃくちゃ弱いねん」
マリコ「じゃあ、グラビトンが見つからへんのは弱すぎるからか」
サチコ「そう。弱すぎて物質とほとんど反応せえへん。フリーマン・ダイソンっていう有名な物理学者が計算したところによると、地球サイズの検出器を太陽の近くに置いても、10億年に1個しかグラビトンを捕まえられへんって」
マリコ「10億年に1個!?私ら、生きてる間に1個も見られへんやん」
サチコ「見られへん。木星サイズの検出器を中性子星の横に置いても、10年に1個が限界やって」
マリコ「木星サイズって...木星って地球の1300倍やで。そんなデカい検出器作れるわけないやん」
サチコ「作れへんな」
マリコ「じゃあ諦めるしかないんか」
サチコ「そう思われてたんや、長い間。ところがや」
マリコ「ところが!」
サチコ「九州大学の菅野優美准教授と、神戸大学の早田次郎教授、それから九大の大学院生の谷口彰さんが、全く別のアプローチを考え出した」
マリコ「別のアプローチ?」
サチコ「グラビトンを一個一個捕まえるんやなくて、重力波全体の中にグラビトンの「量子の指紋」が潜んでないかを調べたんや」
マリコ「量子の指紋!?重力波に指紋がついてるん?」
サチコ「比喩やけどな。2015年にLIGOっていう装置が重力波を初めて検出したやろ。ブラックホール同士がぶつかった時に出る時空のさざ波や」
マリコ「時空のさざ波。聞いたことある」
サチコ「あの重力波は、これまで古典的な波として扱われてきた。つまり、普通の波として計算してきたんや」
マリコ「古典的って、クラシック音楽みたいなことか」
サチコ「クラシック音楽やない。量子効果を考えへん、昔ながらの物理学の記述のことや」
マリコ「昔ながらの」
サチコ「でもな、光も昔は波やと思われてたのに、実は光子っていう粒でできてることがわかった。アインシュタインが1905年に示したんや」
マリコ「光も粒やったんか」
サチコ「波でもあり粒でもある。それが量子力学の基本や。で、同じ理屈で、重力波も波に見えるけど、実はグラビトンっていう粒の集まりちゃうか、ということを研究チームは考えた」
マリコ「なるほど。で、どうやって調べたん?」
サチコ「すでに確立されてる光の量子論を、重力に当てはめたんや。光子の物理をグラビトンに応用するっていう発想で」
マリコ「光のやり方を重力にパクったんか」
サチコ「パクったて言うな。応用したんや」
マリコ「応用な。で、何がわかったん?」
サチコ「連星ブラックホール、つまり2つのブラックホールが互いの周りをぐるぐる回ってる天体から出る重力波を量子力学的に計算したら、コヒーレント状態からのズレが10のマイナス4乗のオーダーで存在することを突き止めた」
マリコ「...サチコ、今なんて言うた」
サチコ「せやからコヒーレント状態から10のマイナス4乗のズレが」
マリコ「日本語に訳してくれ」
サチコ「ああ、そういうことか、すまん。えっとな、重力波が完全に古典的な波やったら、量子の世界では「コヒーレント状態」っていう一番波に近い状態になるはずやねん」
マリコ「一番波に近い状態」
サチコ「でも実際に計算したら、そこからちょっとだけズレてた。0.0001くらいのズレ」
マリコ「0.0001!ちっさ!」
サチコ「ちっさいけど、《《ゼロやないことが重要やねん》》」
マリコ「ははあ、なるほど」
サチコ「このズレは「スクイーズド状態」って呼ばれる量子特有の状態への偏りで、これが存在するってことは、重力波が完全な古典的な波やなくて、量子的な性質を持ってるっていう証拠になりうるんや」
マリコ「ほな、グラビトンが存在する可能性を示したってこと?」
サチコ「そういうことや。ただし、大事な注意点がある」
マリコ「注意点?」
サチコ「これは「グラビトンを発見した」わけやないんや。あくまで理論的な解析で、重力波の中に量子の痕跡があることを示したっていう段階」
マリコ「発見やないんか」
サチコ「発見やない。研究チーム自身も「グラビトンの発見に迫るための画期的なステップ」って慎重に言うてる」
マリコ「ステップか。階段の一段目を登ったみたいな」
サチコ「そうや。でも、その一段目がめちゃくちゃ大きい一段なんや。これまで観測不可能やと思われてた重力の量子効果が、定量的に評価できるレベルで存在してるって示したんやから」
マリコ「つまり、「あるかもしれんけど絶対見られへん」やったのが、「あるし、こうやったら見られるかも」になったと」
サチコ「そうや。その転換がすごいんや」
マリコ「なるほどな。でもサチコ、ちょっと確認してええか」
サチコ「何?」
マリコ「このズレ、0.0001って言うたやろ。それって、新世界の串カツ屋で串カツ1万本頼んで、そのうち1本だけ衣がちょっと厚いみたいな感じか」
サチコ「串カツで例えるな!でも...まあ、比喩としてはそう遠くもないか」
マリコ「1万本中1本の衣の厚さの違いを見つけたようなもんなんやな」
サチコ「スケール感としてはそんな感じかもしれん。ただ、その「ちょっとした違い」が宇宙の根本法則を変えうるっていうのが物理学のすごいところや」
マリコ「串カツ1本の衣の厚さで世界が変わるんやな」
サチコ「串カツの話はもうええ!」
マリコ「でもサチコ、日本の研究チームがこれをやったっていうのがすごくないか」
サチコ「すごい。しかもな、世界ではアメリカでも別のアプローチで動いてるんや」
マリコ「アメリカも!」
サチコ「スティーヴンズ工科大学のイゴール・ピコフスキっていう物理学者が、イェール大学と協力して、世界初のグラビトン検出実験を始めてる」
マリコ「世界初のグラビトン検出実験!どうやって検出するん?」
サチコ「超流動ヘリウムっていう、めちゃくちゃ冷やした液体ヘリウムを使った共振器を作って、重力波が通過した時にグラビトン1個分のエネルギーが吸収されるのをレーザーで測るんや」
マリコ「ヘリウム!風船に入ってるあのガスか」
サチコ「あのガスを極限まで冷やすと、超流動っていう不思議な状態になるんや。摩擦がゼロになって、容器の壁を這い上がったりする」
マリコ「壁を這い上がる液体!ホラー映画やん」
サチコ「ホラーやなくて物理や。で、その超流動ヘリウムをセンチメートルサイズの筒に入れて、量子の基底状態まで冷却する。そこに重力波が通過した時、グラビトン1個分のエネルギーが振動に変換されるのを捕まえようっていう計画や」
マリコ「振動に変換される!?グラビトンが揺れに化けるんか」
サチコ「化けるっていうか、エネルギーが変換されるんや。これを「グラビトフォノニック効果」って名づけてる」
マリコ「グラビトフォノニック効果!必殺技みたいやな」
サチコ「必殺技やない。物理現象や」
マリコ「でも、さっき「10億年に1個しか捕まえられへん」って言うてたのに、実験で捕まえられるようになったん?」
サチコ「ダイソンの計算は古い前提に基づいてたんや。当時は量子状態をマクロな物体で制御する技術がなかった。でも最近の量子技術の進歩で、ナノグラム以上の重さの物体を量子状態で制御できるようになった」
マリコ「技術が追いついてきたんか」
サチコ「追いついてきた。しかもな、LIGOの重力波観測データと、この新しい検出器のデータを照合することで、ノイズの中からグラビトンの信号を拾い出せる可能性があるって」
マリコ「LIGOのデータと組み合わせるんか。チームプレーやな」
サチコ「チームプレーや。九大・神戸大の理論的な成果と、スティーヴンズ・イェールの実験的なアプローチが、両方からグラビトンに迫ってる」
マリコ「日米共同作戦やん」
サチコ「共同作戦というか、独立に進んでるんやけど、お互いの成果が補完し合う関係にある」
マリコ「でもさ、サチコ。仮にグラビトンが本当に見つかったら、何が起きるん?」
サチコ「ここからが本番やで。グラビトンが発見されたら、《《物理学の歴史が変わる》》」
マリコ「歴史が変わる!?」
サチコ「まず一番大きいのは、アインシュタインの一般相対性理論と量子力学の統一への突破口になるってことや」
マリコ「統一...何と何を統一するん?」
サチコ「現代物理学には2本の柱があるんや。一つはアインシュタインの一般相対性理論。これは宇宙とか星とかブラックホールとか、でっかいもんの動きを説明する理論」
マリコ「マクロの世界」
サチコ「もう一つが量子力学。原子とか電子とか、ちっちゃいもんの動きを説明する理論」
マリコ「ミクロの世界」
サチコ「この2つ、どっちもめちゃくちゃ正確で、それぞれの領域では完璧に近い理論なんやけど」
マリコ「けど?」
サチコ「《《本質的に相容れへんねん》》」
マリコ「相容れへん!?」
サチコ「一般相対性理論では重力は時空の滑らかな曲がりとして記述される。でも量子力学ではすべてが離散的な粒子として振る舞う。この2つを一つの理論にまとめようとすると、計算が無限大に発散して破綻する」
マリコ「破綻!物理学が壊れるんか」
サチコ「壊れるっていうか、今の理論では両方を同時に扱えへんのや。これが現代物理学最大の未解決問題」
マリコ「最大の未解決問題...前の漫才で言うてた未解決事件みたいやな」
サチコ「事件やなくて問題やけどな。で、グラビトンが見つかったら、「重力も他の力と同じように量子的や」ということが証明される。そうなると、両方の理論を橋渡しする「万物の理論」への道が一気に開ける」
マリコ「万物の理論!なんかかっこええ名前やな」
サチコ「Theory of Everythingや。宇宙のすべてを一つの方程式で説明する究極の理論」
マリコ「宇宙のすべてを一つの方程式で!...それ、テストに出るん?」
サチコ「テストに出るとかそういう次元の話やない。人類の知の到達点の話や」
マリコ「ほな、覚えんでもええんか」
サチコ「覚えるかどうかやなくて...まあ、教科書は大幅に書き換わるから、将来の学生は覚えなあかんようになるかもしれん」
マリコ「教科書が書き換わるほどの話か」
サチコ「書き換わる。しかもな、もう一つ大事なことがある。グラビトンは素粒子物理学の標準模型で予測される最後の未発見粒子やねん」
マリコ「最後の未発見!2012年にヒッグス粒子が見つかったっていうのはニュースで見た」
サチコ「そうや。ヒッグス粒子の発見で標準模型はほぼ完成したけど、重力だけがまだ組み込まれてへん。グラビトンが見つかれば、4つの力すべてに運び屋がおることが証明されて、標準模型のその先の物理への道が開ける」
マリコ「その先の物理って何があるん?」
サチコ「超弦理論とかループ量子重力理論とか」
マリコ「超弦理論!ひもの理論やろ」
サチコ「お、知っとるんか」
マリコ「知っとる。すべての物質は小さいひもでできてるっていう理論やろ。私、ひもなら得意やで。靴ひも結ぶの速いし」
サチコ「靴ひもの話やない。10のマイナス35乗メートルっていう、想像を絶するちっちゃさのひもの話や」
マリコ「ちっちゃすぎて目に見えへんな」
サチコ「見えへん。で、超弦理論にはグラビトンに対応するモードが必ず含まれてるんや。だからグラビトンの性質を実際に測れるようになったら、超弦理論が正しいかどうかを判定できる可能性がある」
マリコ「正しいか判定!物理学界のジャッジメントデーやな」
サチコ「大げさやけど、まあそういうことや」
マリコ「ところで、サチコ。前の漫才でやったダークマターとかダークエネルギーにも関係あるん?」
サチコ「あるで。宇宙の全質量・エネルギーの約95パーセントはダークマターとダークエネルギーでできてるんやけど」
マリコ「95パーセント!ほとんど全部闇やん」
サチコ「闇。で、量子重力理論が確立されたら、ダークマターの正体解明に新しいヒントが出る可能性がある」
マリコ「どんなヒント?」
サチコ「中国の南方科技大学の研究では、グラビトン同士が引き合って「プランクボール」っていうコンパクトな天体を作り、それがダークマターの候補になるかもしれんっていう提案があるんや」
マリコ「グラビトンがくっついてボールになる!?重力の粒が集まって新しい天体になるってこと!?」
サチコ「理論的にはありうるっていう話やな」
マリコ「プランクボール...通天閣の下の新世界でビリヤードやってるおっちゃんらに言うたら、「プランクのボール?何番や?」って聞かれそうやな」
サチコ「ビリヤードのボールやない!プランク質量スケールのや!」
マリコ「「そのプランクボール、コーナーポケットに入るんか?」」
サチコ「入らへん!サイズが10のマイナス35乗メートルやから、原子よりはるかに小さいわ」
マリコ「見えへんかったらビリヤードにならへんな」
サチコ「ならへん。あと、ダークエネルギーの問題にも関係する。ミュンヘン大学の研究では、量子重力モデルから宇宙の加速膨張が自然に導かれることが示されてる」
マリコ「宇宙が膨張してるのは知ってる。しかも加速して膨張してるんやろ」
サチコ「そうや。なんで加速してるのかが分からん。その謎を解く鍵がグラビトンにあるかもしれん」
マリコ「宇宙の95パーセントの謎を解く鍵が、0.0001のズレから始まったんか。熱いな」
サチコ「始まったんや。小さなズレから大きな真実が見える。それが物理学や」
マリコ「小さなズレから大きな真実...串カツの衣の厚みの違いから、お店の品質が分かるようなもんか」
サチコ「また串カツか」
マリコ「串カツ好きやねん。でもサチコ、串カツで思い出したけど」
サチコ「何や?」
マリコ「新世界の串カツ屋に「二度づけ禁止」って書いてあるやんか」
サチコ「あるな。ソースに一回つけたら、もう一回つけたらあかんっていうルール」
マリコ「あれって、科学と似てへん?」
サチコ「...どこが似てんねん」
マリコ「科学も「一回の実験結果だけで断定したらあかん」やろ。再現性がないとあかん。でも同じ実験を何回もやって確かめなあかん」
サチコ「...」
マリコ「串カツの二度づけは禁止やけど、科学の二度づけ、つまり再検証は必須やねん」
サチコ「...マリコ、今のはちょっと感心したわ」
マリコ「感心した!?」
サチコ「串カツから科学の作法を導き出すとは思わんかった」
マリコ「大阪の食文化から学べることは多いんや!(ドヤ顔)」
サチコ「で、その再検証の話やけど、今回の理論を実験で確かめるためには」
マリコ「確かめるためには?」
サチコ「「ハンブリー・ブラウンとトゥイス型」っていう強度干渉計を使った重力波観測が必要やと言われてる」
マリコ「ハンブリー・ブラウンとトゥイス型...呪文みたいな名前やな」
サチコ「呪文やない。もともと光の量子性を測るために開発された技術で、それを重力波に応用するんや」
マリコ「光で使ってた技術を重力に使う。さっきの「光の量子論を重力に当てはめた」のと同じ発想やな」
サチコ「そうや。光が先輩で、重力が後輩みたいな関係や」
マリコ「先輩が後輩に技術を伝授する。吉本新喜劇みたいやな」
サチコ「新喜劇にたとえるなや」
マリコ「でも本当に、ベテランの技を若手が受け継ぐ話やろ」
サチコ「まあ...そう言えんこともないけど。で、次世代の重力波検出器も計画されてる」
マリコ「次世代!」
サチコ「日本が主導してるDECIGOっていう宇宙重力波望遠鏡があってな。宇宙空間にレーザー干渉計を浮かべて、今の地上の装置より格段に高感度で重力波を観測する計画や。2030年代の打ち上げを目指してる」
マリコ「宇宙に望遠鏡を浮かべる!?」
サチコ「地上だとノイズが多すぎるからな。地震とか、車の振動とか、風とか」
マリコ「地震って...日本は揺れすぎやもんな」
サチコ「日本のKAGRAっていう重力波望遠鏡も岐阜県の地下に作ってあるけど、それでもノイズとの戦いや。宇宙なら地面の揺れがないから、もっと微小な信号を拾える」
マリコ「宇宙に行けば静かやもんな。隣の部屋のおっちゃんのいびきもないし」
サチコ「おっちゃんのいびきの話はせんでええ。あと、ヨーロッパではアインシュタイン・テレスコープ、アメリカではコズミック・エクスプローラーっていう第3世代の地上観測施設も計画されてて、感度が今の10倍以上になる」
マリコ「10倍以上!それだけ感度が上がったら、さっきの0.0001のズレも見えるようになるんか」
サチコ「可能性はある。まだ技術的なハードルは高いけどな」
マリコ「でも、道筋が見えてきたっていうのが今回の研究のすごいとこやな」
サチコ「そうや。「理論的に不可能」から「理論的に可能」に変わった。次は「実験的に検証」のフェーズに入る」
マリコ「理論から実験へ。机の上の計算から、実際に宇宙を測る段階に進むんか」
サチコ「進む。ただ、時間はかかるで。アインシュタインが1905年に光が粒子やって示してから、それが完全に確立されるまで約70年かかった」
マリコ「70年!」
サチコ「70年。だからグラビトンも、理論から確認まで何十年もかかるかもしれん」
マリコ「何十年...私が生きてる間に見届けられるかな」
サチコ「分からん。でも、一歩一歩進んでることは確かや」
マリコ「サチコ、ところでこの話、哲学的にもすごいことやと思うんやけど」
サチコ「お、マリコが哲学の話をするんか」
マリコ「する。だってな、グラビトンが見つかるってことは、時空そのものが量子でできてるってことやろ」
サチコ「...せやな」
マリコ「つまり、空間も時間も、突き詰めたら粒々《つぶつぶ》でできてるってことやろ」
サチコ「離散的な構造を持つ可能性がある、という話やな」
マリコ「私らが「連続で滑らかや」と思ってる空間が、実はつぶつぶでできてる」
サチコ「量子化されてるかもしれん、ということやな」
マリコ「サチコ、それって怖ない?」
サチコ「怖い?」
マリコ「だって、私らが立ってるこの地面も、頭の上の空も、「時間が流れてる」っていう感覚も、全部量子のつぶつぶの上に成り立ってるってことやろ」
サチコ「まあ、そういうことになるかもしれん」
マリコ「道頓堀のグリコの看板の前に立って「世界は粒々でできてるんや」って思ったら、なんか足元がふわふわしてこうへん?」
サチコ「道頓堀でそんなこと考えるな。でもな、カントっていうドイツの哲学者がおってな」
マリコ「カント!聞いたことある。「純粋理性批判」の人やろ」
サチコ「お、知っとるんか」
マリコ「名前だけ知っとる。中身は知らん」
サチコ「正直でよろしい。カントは「人間は空間と時間を前提として認識する。でも、空間と時間そのものが何かは知りえない」って言うたんや」
マリコ「空間と時間そのものが何かは知りえない...」
サチコ「でもグラビトンの発見は、その「知りえない」はずの時空の正体に、物理学が手を伸ばすことを意味する」
マリコ「哲学が「分からん」って言うてたことに、物理学が「分かるかも」って言い始めた」
サチコ「せや。しかも、それだけやないで。すべての力が量子的やってことが確認されたら」
マリコ「されたら?」
サチコ「「世界は粒でできている」という世界観が完成する。決定論と確率論、連続と離散、局所性と非局所性...そういう哲学の根本問題に、物理学がデータを突きつけることになる」
マリコ「データを突きつける...哲学者にとっては嬉しいんか、困るんか」
サチコ「両方やろな。新しい議論のネタが増える意味では嬉しいし、前提が崩れるかもしれん意味では困る」
マリコ「前の漫才で、宇宙人が来たら宗教観が崩れるかもしれんって話したやん。グラビトンが見つかったら、世界観そのものが崩れるかもしれんのか」
サチコ「崩れるというか、《《更新されるんやな》》。「時空は連続的で滑らか」という常識が、「時空は量子的でつぶつぶ」に更新される」
マリコ「常識の更新か。スマホのOSアップデートみたいなもんやな」
サチコ「スマホやなくて人類の世界観のアップデートやけどな」
マリコ「世界観のアップデート。でも、更新に失敗して固まる人もおるやろ」
サチコ「おるかもしれん。「そんなの信じられへん」っていう人は出てくる。でも、それは量子力学が出てきた1920年代にも起きたことや」
マリコ「アインシュタインも量子力学には抵抗したんやろ」
サチコ「「神はサイコロを振らない」って言うて」
マリコ「「神はサイコロを振らない」か。格好ええ言い方やな。でも、グラビトンが見つかったら「神は重力のサイコロも振ってた」ってことになるんやろ」
サチコ「...マリコ、それ名言やな」
マリコ「名言やろ。Tシャツにして売りたい」
サチコ「売るな。ところで、マリコ」
マリコ「何?」
サチコ「これまでの漫才でずっと言うてきたことと、今回の話、つながると思わんか」
マリコ「つながる?」
サチコ「前の漫才でトランプさんのUFO公開指示の話をした時、「空を見ろと言われた時に足元を確認しろ」って言うたやろ」
マリコ「言うた」
サチコ「今回の研究は、まさに「足元」の話やねん」
マリコ「足元?」
サチコ「宇宙人とかUFOとかいう派手な話題の裏で、地道に論文を書いて、量子の世界と重力の世界を橋渡しする研究者がおる。派手なニュースに目を奪われてる間に、本当に世界を変えるかもしれへん研究が静かに進んでる」
マリコ「なるほど。「死んだ猫戦略」の裏で、本当に大事なことが起きてるっていう」
サチコ「そうや。トランプさんが「宇宙人のファイルを公開する」って騒いでた2月に、九大と神戸大が「重力の量子性を初めて定量評価した」って論文を出してる」
マリコ「どっちが人類の未来にとって重要かって言うたら」
サチコ「グラビトンの方が圧倒的に重要や」
マリコ「でも、ニュースの扱いは」
サチコ「UFOの方がデカいやろな」
マリコ「前の漫才でやった「アテンション・エコノミー」やな。注目が集まるのは派手な方で、地味やけど大事な方は埋もれる」
サチコ「そうや。「宇宙人は実在する!」の方がクリックされるし、「重力波のコヒーレント状態からのスクイーズドパラメータが10のマイナス4乗」なんて、誰もクリックせえへん」
マリコ「確かに。「スクイーズドパラメータ」って言われても、何をスクイーズしてるのか分からんもんな。そもそもスクイーズが分かれへんし」
サチコ「量子の揺らぎを一方向に圧縮してるんやけど...まあ、言葉が難しいのは認める」
マリコ「言葉が難しいと、人は興味を失うんやな」
サチコ「失う。だからこそ、漫才で伝える意味がある」
マリコ「漫才で物理学を伝える。吉本新喜劇やのうて、吉本量子劇場やな」
サチコ「量子劇場って何や」
マリコ「観客が見てる時と見てへん時で、演者の演技が変わる劇場」
サチコ「それは量子力学の観測問題やないか!シュレーディンガーの猫みたいなこと言うな」
マリコ「観てる時だけ真面目にやって、観てへん時はサボる。それ、芸人やん」
サチコ「芸人を量子化するな!」
マリコ「でもサチコ、今回の研究者の方々の名前をちゃんと覚えておきたいんやけど」
サチコ「ええことやな。菅野優美准教授、早田次郎教授、谷口彰さん。谷口さんに至っては博士課程1年生やで」
マリコ「博士課程1年!大学院の1年目でこの研究に参加してるんか」
サチコ「参加してる。若い研究者が最先端の成果に貢献してるっていうのは希望やろ」
マリコ「希望やな。前の漫才で「若い人に任せたい」みたいな話があったけど、もう任せてるやん」
サチコ「任せてるし、結果を出してる」
マリコ「しかも、もしグラビトンの存在が将来確認されたら、ノーベル物理学賞クラスの業績やろ」
サチコ「間違いなくノーベル賞候補や。2012年のヒッグス粒子発見、2017年の重力波初検出に匹敵する」
マリコ「すごいな。日本からノーベル賞が出るかもしれんのか」
サチコ「可能性はある。ただ、確認まで何十年もかかるから、その頃に研究者の皆さんが元気でおってくれんとあかん」
マリコ「長生きしてほしいな」
サチコ「ほんまやな」
マリコ「ところでサチコ、もう一個聞いてええか」
サチコ「何や」
マリコ「グラビトンが見つかったら、将来的に何か技術に応用できるん?反重力装置とか、ワープとか」
サチコ「夢のある質問やな。正直に言うと、《《短期的には何もない》》」
マリコ「何もない!」
サチコ「基礎物理学の成果やからな。でも、歴史を見たらこういうパターンがあるんや」
マリコ「パターン?」
サチコ「量子力学が発見されたのは1920年代やけど、それがトランジスタになったのは1947年。コンピュータやスマホに化けるのに何十年もかかってる」
マリコ「20年以上かかったんか」
サチコ「もっとや。相対性理論が1905年と1915年やけど、それがGPSの時間補正に使われてるのは21世紀の話や。100年かかってる」
マリコ「100年!でも、今使ってるスマホのGPSはアインシュタインのおかげなんやろ」
サチコ「そうや。基礎物理が数十年後に日常技術に化ける。光子の理解がレーザー技術を生んで、光通信や医療に使われてるのと同じで、グラビトンの理解が何を生むかは、今は想像もつかへん」
マリコ「想像もつかへんけど、何かが生まれるかもしれん」
サチコ「かもしれん。量子重力技術とか、超高精度の重力センサーとか、新しい通信手段とか」
マリコ「重力で通信!?」
サチコ「電磁波が通れない場所でも重力波は通るから、理論的には新しい通信手段になる可能性がある。ものすごく長期的な話やけど」
マリコ「地球の裏側と重力波で電話するとか」
サチコ「技術的にはSFの域を出えへんけど、原理的には否定できへん」
マリコ「夢があるなあ」
サチコ「夢や。でも、その夢の一歩目が今回の研究なんや」
マリコ「0.0001の一歩」
サチコ「0.0001の一歩。でもそれは、宇宙の根本法則に触れた一歩や」
マリコ「サチコ、ここまでの話をまとめていいか」
サチコ「まとめてくれ」
マリコ「九大と神戸大の研究チームが、ブラックホールの重力波に量子の指紋を見つけた。これは自然界の4つの力の中で唯一見つかってへんグラビトンの手がかりで、見つかったら物理学の歴史が変わる」
サチコ「その通り」
マリコ「アメリカでは実際にグラビトンを捕まえようとする実験も始まってる」
サチコ「スティーヴンズとイェールのチームやな」
マリコ「もし本当にグラビトンが確認されたら、アインシュタインの相対性理論と量子力学が統一されて、ダークマターやダークエネルギーの謎にも迫れて、ブラックホールの中心やビッグバンの瞬間まで理論的に記述できるようになるかもしれん」
サチコ「完璧なまとめや」
マリコ「しかも教科書が書き換わって、哲学者が頭を抱えて、将来は想像もつかん技術に化けるかもしれん」
サチコ「そうや。でも、確認まで何十年もかかるかもしれんから」
マリコ「気長に待たなあかん」
サチコ「気長にな」
マリコ「でもサチコ、私一個だけ最後に言いたいことがあんねん」
サチコ「何や」
マリコ「重力って、4つの力の中で一番弱いんやろ」
サチコ「一番弱い」
マリコ「一番弱いくせに、地球を太陽の周りに回して、ブラックホールを作って、宇宙全体の構造を決めてる」
サチコ「...そうやな」
マリコ「一番弱い力が、一番大きなスケールを支配してる」
サチコ「確かに、言われてみたらそうやな」
マリコ「これって、何かに似てへん?」
サチコ「何に似てるん?」
マリコ「漫才のボケや」
サチコ「...は?」
マリコ「ボケって、一見アホなことを言うてるだけやん。一番弱い立場や。でも、ボケがないと漫才は成り立たへん。ボケが全体の構造を決めてる」
サチコ「...」
マリコ「重力がグラビトンっていう小さな粒で宇宙を支えてるように、ボケの一言一言が漫才全体を支えてるんや」
サチコ「...マリコ」
マリコ「何?」
サチコ「あんた、自分をグラビトンに例えたんか」
マリコ「例えた。私はサチコ・マリコのグラビトンや」
サチコ「未発見のまま70年以上探されてるグラビトンに自分を重ねるな」
マリコ「でも考えてみてくれ。ツッコミは光子みたいなもんやろ。目に見えて、パッと光って、みんなに分かりやすい」
サチコ「光子って言われたら悪い気はせえへんけど」
マリコ「ボケは重力みたいなもんで、一見弱くて何をやっとるか分かりにくい。でも、なかったら全部バラバラに崩れる」
サチコ「...なんか、今日もマリコがええこと言い続けてるな」
マリコ「前の漫才でも言うたやろ。「笑いは最後の砦」って」
サチコ「言うた」
マリコ「物理学も最後の砦に迫ってるんや。最後の未発見粒子グラビトンに」
サチコ「最後の砦と最後の粒子を重ねてきたか」
マリコ「重ねた。串カツの串のように、全部刺し通してまとめるのが漫才の力や」
サチコ「串カツまた出てきた」
マリコ「大阪のおばちゃんは串カツ片手に宇宙の真理を語れるんや」
サチコ「語れるかどうかは別として...まあ、串カツ片手に物理学を語る漫才師がここにおるのは確かやな」
マリコ「おる。しかも今、世界で一番分かりやすくグラビトンの話をしてる自信がある」
サチコ「自信だけは宇宙規模やな」
マリコ「グラビトンの弱さと、私の自信の強さは反比例してる」
サチコ「反比例してたらまずいわ」
マリコ「でもサチコ、最後にもう一個だけ」
サチコ「また?今日、何回「最後」って言うねん」
マリコ「もし将来、グラビトンが本当に見つかった日に、私らで記念漫才やりたいな」
サチコ「記念漫才!」
マリコ「「本日、グラビトンが発見されました」「おめでとうございます」「これで4つの力すべてに運び屋がおることが証明されました」「長い旅やったな」って」
サチコ「...何十年後になるか分からんけどな」
マリコ「何十年でも待つわ。アインシュタインの光量子仮説から70年かかったんやろ。私らの漫才も70年続けたらええ」
サチコ「70年!?私ら、100歳超えてるやんか」
マリコ「100歳の漫才師。通天閣より長生きしたる」
サチコ「通天閣は1956年に建て替えられて70年やから、もうすぐ並ぶな」
マリコ「通天閣と並んで、グラビトンの発見を見届ける。それが私の人生の目標や」
サチコ「目標がデカすぎるわ」
マリコ「デカくてええねん。重力は弱いけどスケールはデカいんやから」
サチコ「うまいこと言うな」
マリコ「ところで、サチコ」
サチコ「まだあるんか」
マリコ「グラビトンがもし見つかって、ノーベル賞の授賞式があったとするやん」
サチコ「うん」
マリコ「その授賞式の記念パーティーに、大阪から串カツを持っていったらどうやろ」
サチコ「ノーベル賞のパーティーに串カツ!?」
マリコ「ストックホルムの王宮で、フルコースのディナーの横に、串カツとソースの壺を置くんや」
サチコ「場違いやろ!」
マリコ「で、ノーベル賞受賞者に「二度づけ禁止ですよ」って注意する」
サチコ「ノーベル賞受賞者に串カツのルールを教えるな!」
マリコ「でもグラビトンの研究も、串カツの二度づけ禁止も、どっちも「ルールを守って正しく検証する」っていう姿勢が大事やんか」
サチコ「串カツのルールと科学の作法を同列に語るな!」
マリコ「同列や。新世界の串カツ屋の「二度づけ禁止」の張り紙と、Physical Review Lettersの査読基準は、根っこは同じ。「みんなが信頼できるように、ルールを守りましょう」っていう精神や」
サチコ「...それは...ちょっと一理あるかもしれんけど」
マリコ「あるやろ。科学も串カツも、信頼が命やねん」
サチコ「信頼が命...まあ、確かに再現性と信頼性は科学の根幹やからな」
マリコ「ほら。大阪の食文化は宇宙の真理を含んでるんや」
サチコ「含んでへんわ!...たぶん」
マリコ「たぶんって言うた!迷ってるやん!」
サチコ「迷ってへん!...もうええわ!今日はグラビトンから串カツの二度づけまで全部やったんやから、もう十分や!」
マリコ「あ、551の豚まんの話もしたかったのに」
サチコ「豚まんはいらん!関係ないわ!」
マリコ「関係ある。551の豚まんは新幹線の中で匂いが広がるやん。あの匂いの伝わり方と重力波の伝わり方は」
サチコ「似てへん!匂いは分子で重力波は時空の歪みや!全然違う!」
マリコ「でも、どっちも「見えへんけど確実にそこにある」っていう意味では」
サチコ「もうええ!終わり!豚まんの匂いでグラビトンを説明するのは私が許さん!」
マリコ「サチコ、鼻をつまむな。グラビトンの香りを嗅ぎ逃すで」
サチコ「グラビトンに匂いはない!質量ゼロで電荷もゼロで匂いもゼロや!」
マリコ「ゼロだらけやな、グラビトン。存在感薄いわ」
サチコ「存在感は薄いけど宇宙を支えてるっていうのがさっきの話やろ!自分で言うたことを忘れるな!」
マリコ「あ、そうやった。グラビトンは宇宙のボケ担当やった」
サチコ「ボケ担当とは言うてへん!もうほんまに終わるで!」
マリコ「ほな最後に、視聴者の皆さんにお伝えします」
サチコ「何を伝えるん」
マリコ「重力は弱いです。でも、弱いからこそ宇宙を丸ごと動かせます。串カツは小さいです。でも、小さいからこそ何本でも食べられます」
サチコ「オチが串カツかい!」
マリコ「グラビトンの発見まであと何十年かかるか分かりません。でも、新世界の串カツ屋は今日も開いてます。宇宙の謎が解けるまで、串カツ食べて待ちましょう」
サチコ「待ち方がおかしい!」
マリコ「あ、最後の最後に」
サチコ「まだあるんか!」
マリコ「宇宙人がUFOで地球に来た時に」
サチコ「前の漫才の話まで持ち出すな!」
マリコ「宇宙人に最初にすすめるのは、串カツにします」
サチコ「前は別のもんをすすめてたやろ!」
マリコ「でも串カツの方が種類が多いから、宇宙人の未知の消化器官にも対応できる可能性が高い」
サチコ「消化器官の話はせんでええ!もうほんまに終わり!」
マリコ「ただし二度づけは禁止で」
サチコ「宇宙人にも二度づけ禁止を守らせるな!もうええわ!」
マリコ「どうもありがとうございましたー!」
サチコ「ありがとうございましたー!」
二人「サチコ・マリコでしたー!」




